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21.中華街の子どもたち−横浜ネイバーズNo.6− 22.サバイブ! |
【作家歴】、文身、プリズン・ドクター、この夜が明ければ、生者のポエトリー、最後の鑑定人、付き添うひと、完全なる白銀、横浜ネイバーズ、飛べない雛、楽園の犬 |
凪の海、暗い引力、人生賭博、われは熊楠、科捜研の砦、ディテクティブ・ハイ、舞台には誰もいない、夜更けより静かな場所、いつも駅からだった、汽水域 |
21. | |
「中華街の子どもたち−横浜ネイバーズ6−」 ★★ |
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“横浜ネイバーズ”シリーズ第6弾。 なお、本巻は、第一シーズンの完結編とのこと。 その所為か、これまでの巻のような連作ものにはなっておらず、まるごとの長編。 そしてその内容はというと、主人公ロンと、その実母であり今や犯罪集団の共同代表となっている南条不二子との対峙。 とはいえ、南条不二子が何故今に至ったのか、これまでその理由や事情は深く描かれてはきませんでした。 本巻ではそれが、生い立ちから含めて不二子側、舅であった良三郎の側、そしてロンの側から語られることによって、明らかになります。 南条不二子、どうであれ今は犯罪者であることに変わりはないのですが、ロン、その不二子さえ救おうとする。 何故ならそれは、実母だからではなく、○○だから、というロンの言葉はもう決め台詞ですね。 幼馴染みだったマツやヒナもそれぞれの道を歩み始めた中、ロンだけが取り残されていた観があり、それにロン本人も焦りを抱えている状況でしたが、本巻の最後でようやくロンにも進みたい道が見つかったようです。 また、皆をヤキモキさせてきたヒナとの関係もやっと前進。もっともこの部分は、強引に取って付けたような感じです。 ともあれ、第二シーズンが楽しみです。 |
22. | |
「サバイブ! Survive!」 ★★ |
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大学四年生の黒川虎太郎、既に大企業からの内定も取得済だというのに、悪性リンパ腫、それもステージW。 絶望にかられたものの二度目の治療が成功し、無事退院。 入院中、有名な投資家=ベルナルド宮本の著書に出会ったことがコタローの人生を変え、起業を決意。県庁に入庁したばかりの友人=白井博(ハク)を引っ張り込み、二人して新潟県から上京、株式会社<サバイバーズ>を立ち上げます。 しかし、そう簡単に上手く行く訳がありません。二人ともバイトに明け暮れながら、少しずつ動画制作の事業を前進させていきます。 そして苦闘の中で、森野四葉(ヨツバ)、谷山健之助(タニケン)という仲間が加わりますが、苦闘ぶりは少しも変わらず・・・。 ベンチャー起業に夢をかけた青年たちの奮闘を描く、ビジネス青春譚という処なのですが、さすが岩井圭也さん、単なる青春物語には終わりません。 ベンチャー企業とはどういうものなのか、ベンチャー経営者に必要なものとは何なのか、投資を受けるためには何が必要なのか、そうしたメッセージを含むストーリーとなっています。 TV等でよく見かけるベンチャー企業は、成功し順調軌道に乗った会社ばかり。起業したばかりの時代はどのようなものだったのか。本ストーリーが実態そのままとは思いませんが、いやー、大変だぁ。 これだけの奮闘を続けるためには、それだけの意義、目的、目標がないと出来ないようなァと思う次第です。 終盤になって仲間に加わる新出真帆(シンディ)のキャラクター、存在感が面白い。そのままコタローたちへの批判になっていますから。 是非お薦めしたい、ベンチャービジネス青春譚です。 ※なお、個性ある仲間たちが集まって何かを成し遂げようとする辺り、<横浜ネイバーズ>と似た雰囲気を感じます。名称も似ていますしね。 1.はじめるか、ビジネスを/2.おれの人生ってなんだ?/3.求められるものを愚直に/4.たとえ百敗しようが/5.おれ、死なないから |
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