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| 「音のない理髪店」 ★★☆ | |
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一色さゆりさん、最近勢いがあるなぁと感じていて、機会を見つけて読もうと思っていた処で思い出したのが、刊行時に興味を感じていた本作。という訳で読むに至った次第です。 主人公は3年前に作家デビューしたものの、次作が書けないままとなっている五森つばめ。 老舗出版社の編集者に励まされ、ろう者だった祖父=五森正一のことを知りたい、作品として書こうと、取材を始めます。 その正一は“日本の聾学校で初めてできた理髪科を卒業した一期生で、自分の店をもった最初の人”。 まずは、父=海太、そして伯母=暁子を皮切りに、当時のことを知る人々に取材。そこから浮かび上がってきた正一に関する疑問を解こうと、さらにつばめの取材は深まっていきます。 ろう者にとっての過酷さ、苦労、苦闘はどんな処にあり、どんなものだったのか。本作を読んで初めて実感できること多々あります。それでもまだまだ理解は及ばないのでしょう。 時代の差ということも当然大きいのですが、互いにろう者であった祖父と祖母=喜光子の苦しみ、“コーダ”であった父親と伯母の苦しみ。それは中々人に理解してもらえないものだったのではないか、それこそが苦しみ、悲しみではなかったのでしょうか。 そんな境遇の中で自分の道を切り拓いていった祖父=正一の強さは、いったい何処から生まれたものだったのか。 これはもう本作を読んでもらうほかありません。是非お薦め。 ※現在の聴覚障がい者である高校生の挑戦、奮闘を描いた村崎なぎこ「オリオンは静かに詠う」もお薦めです。 1.コーダの娘/2.海の向こう/3.聞こえない側と聞こえる側/4.明けない雪夜/5.白昼の月/6.秘密/7.つないだ人/8.幸せ/9.言葉の要らない世界/エピローグ |