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「百年文通 Distance of One Hundred Years」 ★★ |
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15歳の中学生である小櫛一琉(いちる)は、古い日向屋敷の書斎で不思議な机に出会います。 何とその引き出しは 100年前に通じているらしい。 一琉は、大正7年に生きる14歳の少女=日向静(しず)と、引き出しを介して文通を始めます。 初めは互いの時代にについて情報交換するだけでしたが、次第に物まで送り始めた一琉は、ある日放っておけない事実に気づきます。 一方、二人の時代を超えた文通に気づき、それを妨害しようとする人物も現れます。 一琉の側は妹の美頼、そして静の側は姉の寿々という次第。 タイムトラベルものというと、歴史を変えてはいけない、変えられないという前提の下にストーリーが展開されていくのが一般的ですが、本作はその真逆を行きます。つまり、二人の少女は、歴史を変えても構わない、むしろ積極的に変えようとする? いくら何でも歴史を大きく変えてしまってはまずいのでは?と思いますし、どんな影響が生じるのか懸念大なのですが、それは本ストーリーの終わった後のこと。 本作の面白さは、そうした前提をひっくり返している処と、大正時代の少女である日向静が、現代娘以上に好奇心旺盛で奔放、かつ行動力を備えた娘である処。この静の物言いが抜群に面白く、愉快このうえなし。 おかげで、面白く読めました。 ※なお、本作は「コミック百合姫」に2021年、1年間に亘って連載された後、一迅社から電子書籍として配信。今回大幅に加筆改稿されて書籍化されたものとのこと。 百年文通/あとがき/巻末付録:時間SFガイド20(2010〜2025) |