濱野京子作品のページ No.4



31.あたたかな手 

32.わたしは跳ぶ! 

33.星の花 

34.読書会を魔女といっしょにやってみたら 


【作家歴】、その角を曲がれば、フュージョン、トーキョー・クロスロード、レッドシャイン、碧空の果てに、白い月の丘で、木工少女、紅に輝く河、レガッタ!、レガッタ!2

 → 濱野京子作品のページ No.1


くりぃむパン、レガッタ!3、石を抱くエイリアン、ことづて屋、ことづて屋−停電の夜に−、アカシア書店営業中!、ことづて屋−寄りそう人−、この川のむこうに君がいる、谷中の街の洋食屋−紅らんたん、南河国物語

 → 濱野京子作品のページ No.2


夏休みにぼくが図書館で見つけたもの、with you、野原できみとピクニック、マスクと黒板、空と大地に出会う夏、シタマチ・レイクサイド・ロード、金曜日のあたしたち、はじまりは一冊の本!、となりのきみのクライシス、girls 

 → 濱野京子作品のページ No.3

 


                

31.
「あたたかな手−なのはな整骨院物語− ★★


あたたかな手

2025年01月
偕成社

(1500円+税)



2025/05/10



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新米柔道整復師の西田春哉(27歳)が働くことになったのは、緑野町にある<なのはな整骨院>。

ベテラン整復師である
藤本達生院長浅川なつき先生の指導の下に、常連客、近所の人、緑野小学校の子どもたち、さらには地域ネコと関りながら春哉の新しい日々が始まっていきます。

整骨院といっても通ってくる人々の症状等は様々。
題名の「あたたかな手」は、患者たちの痛みを和らげる先生たちの手が温かいということを差していますが、身体の不具合だけでなく、心の改善にも及んでいくようです。
温かいというのは、施術する手だけではなく、施術側の心にも通じるものなのでしょう。

なのはな整骨院が入居しているのは5階建マンション。
その五階で父親と二人暮らし、なのはな整骨院のお花係を自称している
丸山ひかりという小学6年生の存在が面白い。
浅川先生曰く、「フシギな子」なのだと。

少年野球チームのエースである木下凌太( 6年)、何か隠している様子の岡部星良( 3年)、祖父に付き添う森颯佑( 5年)、ひかりと仲良くなった島田美桜( 6年)、彼ら小学生を、自分たちの身内のように気遣う先生たちの温かさが気持ち良い。
濱野京子さんらしい作品ですねぇ。


1.はじめまして/2.お花係のひかり/3.エースの右肘/4.ささやかな晩餐/5.父と子/6.ピンクの長袖の少女/7.魔法が解けるとき/8.地域ネコのマル/9.おじいちゃんの杖/10.親と子/11.颯佑のねがい/12.肩凝りの少女/13.夏の花/14.また明日

             

32.
こんな部活あります わたしは、跳ぶ!−トランポリン部− ★★


わたしは、跳ぶ!

2025年03月
新日本出版社

(1500円+税)



2025/05/29



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学校スポーツを題材にした作品は随分と読んできましたが、今回の舞台は中学校、そして中学には珍しいトランポリン部。
そしてその部活の特徴は、努力、励む、試合といったスポーツ部特有の要素はなく、とにかく参加し3人という人数が揃ってくれればいいという、極めてユルい部。

主人公は、春休み中に引っ越してきてそのまま朝木市立朝木中学校に入学した
庄司瑠理花
真面目にコツコツするタイプなので勉強の方はまあまあですが、運動は苦手、という女子。
ところが体育館で、高く跳ぶ部員たちの姿を見て引き込まれ、ユルい部だからと勧められ、そのまま入部。

1年生一人、2年生二人、新1年生二人という少人数であるとはいえ、中々に個性的な面々が揃った部。
真面目に部活動に参加する内、また個性的な面々と関わり合う内に、瑠璃花にも少しずつ変化が生じていきます。

トランポリンというちょっと興味惹かれる部活を舞台に、中学生のちょっとした友情&成長ストーリー。
楽しさと気持ち良さが満溢している作品、私は好きです。

※体育系の部活でもユルい部があっても良いと思うのです。そうでないと運動が苦手という生徒は、体育系の部活をしたいと思っても行き場所がありませんから。


※なお、トランポリンを題材にした作品、趣向は違いますが、過去に読んでいました →
桂望実「頼むからほっといてくれ

1.運命の出会い/2.ユルすぎる部長/3.チャラ男とダイエット男子/4.不機嫌な新入部員/5.コーチが来た/6.麦先輩の事情/7.秋山くんの腹落ち/8.一瞬のスキ/9.くやしいキモチ/10.海里のヒミツ/11.だれのために跳ぶのか/12.めざすものは

               

33.
「星の花 ★★


星の花

2025年06月
静山社

(1800円+税)



2025/08/22



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濱野さん久しぶりの、ファンタジー物語。
母と娘、二代にわたり数奇な運命に翻弄される彼女たちの物語。
ストーリー内容はファンタジー冒険的ですが、その根幹にあるのは反戦争でしょう。

スリング共和国のはずれにあるジンカ村ナジェリシュの母娘は、湿原の近くの家で穏やかに暮らしている。
娘のリシュは、幼い頃から目がつぶれてしまうからと言われていて遮光眼鏡が欠かせませんが、絵の才能を持つ少女。
そのリシュが、村の有力者の息子である
サルナンと親密になったことがきっかけとなり、リシュのもつ異能、目の秘密が明らかになってしまい・・・。

スリング共和国は、かつて隣国の
バスキルから侵略を受けたという過去があり、今は平和を取り戻していますが、両国の間は今にいたるも国交回復がなされていない状況。
そうした歴史を背景に、
第一部・第三部ではリシュを主人公、第二部では若かりし頃のナジェを主人公に、ストーリーが展開されていきます。

濱野さんが描くファンタジー物語の面白さについては、今さら言うまでもありません。本作は、それプラスして、反戦争物語という趣きが濃い作品。

現実的な物語であろうと、ファンタジー物語であろうと、戦争あるいは侵略がどれほど人々に悲劇をもたらし、心を傷つけるか、は変わりありません。
そして、傷つけ合うことは、お互いの間に根深い憎しみしか生み出しません。施政者は、広く人々の幸せを守るための行動をして欲しい。それが、本作から感じる思いです。


第一部.湿原をのぞむ家/第二部.ナジェの青春(十七年前)/第三部.灰色の瞳

                    

34.
「読書会を魔女といっしょにやってみたら ★★


読書会を魔女といっしょにやってみたら

2025年10月
あかね書房

(1500円+税)



2025/12/12



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本好きとしては、題名から惹きつけられます。

主人公は昨年引っ越してきて、今は小六の
石塚稀桜(きお)
親友である
黒木野乃花は、稀桜以上の本好き。
二人の不満は、青葉野町には書店も図書館もないこと。
そんな稀桜はある日、商店街の中にある<
オープンスペース☆黒猫>で大人たちが読書会を開催していることを知ります。
そこから自分たちもやってみたいと、野乃花と相談して、本好きと思われる同級生に声を掛けます。
その結果集まったのは、稀桜、野乃花、
高瀬啓、小林俊太、村松静奈という5人。
<黒猫>のオーナーである
永野愛沙に申し込んで、自分たちの読書会<さくらクラブ>をスタートさせます。

取り上げた本について話し合ったり、好きな本を紹介したりすることは本当に楽しい。気づかなかった面白さに気づかされたり、仲間たちの意外な面を知ったり・・・。
この辺り、本当に彼らのワクワクする雰囲気が満ち溢れるかのようで、分かるなァ、実に楽しそうです。
ゲームばかりじゃない、本って、本当に楽しいものなんです!

やがて、
“一箱本屋”さんなるものがあることを教えてもらった稀桜たち、さっそく見学に行き・・・。

読書会により皆の仲間意識が高まり、一緒に思いがけないことに挑むという、挑戦&成長ストーリーの、何と楽しいことか。
それが本にまつわることとなれば、本好きとしては嬉しくって堪りません。
なお、子どもたちだけで出来ることではなく、親の理解・支援も不可欠。だからこそ親や周囲の大人たちの関心も必要です。

本好きの子どもたちに、心からエールを送りたい。


1.絵本を読む大人たち/2.ざしきわらしが消えた?/3.さくらクラブ、スタート/4.悪いのは、わたし?/5.ハーブの庭/6.さくらクラブの本の箱/7.合同読書会/8.みんなの本棚・紙風船/9.愛沙さんから出された宿題/10.一箱古本市/11.企画案を提出/12.わたしたちの場所を作ろう/13.ブックスペース☆魔女の庭/*ブックリスト

        

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