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NKaterina Tuckova 1980年チェコ生。美術史家・評論家・劇作家。カレル大学で博士号を取得。2006年小説家デビュー。12年「ジートコヴァーの最後の女神たち」にてヨゼフ・シュクヴェレツキー賞・マグネジア・リテラ読者賞、「チェコの本」大賞等を受賞。 |
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「ジートコヴァーの最後の女神たち」 ★★☆ |
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2025年09月
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チェコの辺境にある寒村に実在した“女神”たちの史実を基にしたフィクション。 主人公はドラ・イデソヴァー。ジートコヴァーで生まれ育ち、学位論文「ジートコヴァーの女神たち」により民俗誌の研究者となります。 8歳の時に母親が死去、障害児である弟と共に女神の一人であった伯母スルメナに引き取られます。 しかし、8年後、スルメナは突然警察に逮捕され、ドラと弟は伯母から引き離されて育つ。 ようやく自立し研究者となったドラは、過去の警察や収容施設等の数多の記録を閲覧し、また関係者を訪ね歩き、“女神”とはどういう存在であったのか、そして何故スルメナと自分たちは生活を奪われたのか、その謎を調べ始めます。 “女神”とは、村人に頼まれ、薬草等による民間治療や、困りごと解決等の役割を担っていた存在。 本作は、実在した女神の実像をひも解くと共に、スルメナの事件の真相を解き明かすというミステリアスなストーリー。 ドラが閲覧を許された文書から事実を追って行くという展開は、リアルかつスリリングで魅了されます。 そして、謎が解き明かされた後に起きたことは・・・、驚愕を超えて衝撃的で、運命の恐ろしさを感じずにはいられません。 ナチス、ゲシュタポまで登場する、歴史&謎解き作品。 滅多に味わえない魅力、深みを備えた逸品。お薦めです。 プロローグ/第一部〜第五部/エピローグ |