|
|
Veronique Ovalde 1972年生。2008年「Et mon coeur transparent」にてフランス文化テレラマ賞を受賞。「Ce que je sais de Vera Candida」は、2009年高校生のルノードー賞、フランス・テレビジョン賞、10年「ELLE」読者賞受賞。24年「わたしたちの不完全な人生へ」にてゴンクール短編小説賞を受賞。 |
|
「わたしたちの不完全な人生へ」 ★★☆ ゴンクール短編小説賞 |
|
|
2025年12月
|
題名どおり、本短編集に登場するのは、不完全な人生を送る人たち。 でも、完全な人生を送れる人など、実際どれだけいることか。 殆どの人の人生は、本来不完全なものでしょう。 とはいえ、不運あるいは不満足な成り行きに道を見失ってしまう人もあれば、良いことだってあるさと前向きに進む人もいる。 人生とは、完全かどうかではなく、自分自身として納得いくかどうかがきっと重要なのでしょう。 各篇の登場人物は、いずれもごく普通の人々。 その失敗や挫折もそう珍しいものではない、だからこそ親近感も湧きます。 本短編集の魅力は、各篇の登場人物が、他の篇にて再び登場し、お互いに関わり合っていることです。 結局、人生が満足いくものになるかどうかは、人ときちんと関わり合えるかにある、そう思わされます。 そんな人々の姿を描いた、普遍的かつ、愛すべき短編集。 お薦めです。 なお、本作中で私の好きな登場人物は、冒頭篇の主人公であるオーギュスト・バランカと、シェフを目指そうとする中で壁にぶつかったボブあるいはローズことマルグリットとエヴァの母娘、スクーンデビューをし損なったジョーの四人人。お楽しみに。 オーギュスト・バラカの狼狽/"あなたは華々しい成功を収めるでしょう"/自分にたどり着くまでの道/未来から来た男と棘のある女/シュムール博士の奇妙な公現祭/天賦の才能の悪用について/水位の上昇/地区(まち)の女王 |