YS/2000.09.13 米チェース銀とJPモルガン、合併を発表(9月13日 日経) 【ニューヨーク13日=土屋直也】米国3位の銀行持ち株会社チェース ・マンハッタンと同4位のJPモルガンは13日、来年1―3月期をメド に合併することで合意したと発表した。実質的にはチェースによるモル ガンの買収で、モルガン株1株にチェース株3.7株を割り当てる株式交 換の方式をとる。買収額は12日の株価で計算すると約330億ドル(3兆 5000億円)となり、世界の金融界では最大規模。 新銀行名は「JPモルガン・チェース」とする。チェースはリテール (小口取引)、モルガンはホールセール(大口取引)と投資銀行業務に 強みを持っており、業務を相互に補完する。新銀行の総資産は約6700億 ドル(71兆円)でバンク・オブ・アメリカを抜き、シティグループに次 いで米国第2位、世界でも7位の規模となる。 両行の発表によると、新銀行の社長兼最高経営責任者(CEO)には チェースのウィリアム・ハリソン会長兼CEOが、会長にはモルガンの ダグラス・ワーナー会長兼CEOが就任する。 ******************************** 海外トップニュース Wed, 13 Sep 2000, 7:21pm JST 米チェースのJ.P.モルガン買収報道で市場関係者の見方 ニューヨーク 9月12日(ブルームバーグ):米銀2位のチェース ・マン ハッタンは、同業5位のJ.P.モルガンを総額300億ドル以上 で買収する方向で交渉している。交渉に詳しい複数の関係者が12日、明 らかにした。これについて、米メリルリンチ・インベストメント・マネ ジャーズのポートフォリオ・ マネジャー、エルマン氏は以下のような見 通しを明らかにした。「多くの人がまず懸念することは、J.P.モル ガンは非常に純粋な企業 で、そのことに常に優越感を持ってきたという ことだ。チェースはマニファクチャラーズ・ハノーバーやケミカルなど が合併してできた銀行。そうはいってもロックフェーラー一族の銀行で あるし、ニューヨークで2番目の名門商業銀行だ」「チェースとJ.P. モルガンは非常にしっかりとした組み合わせになるだろう」「投資銀行 業界には(いす取りゲームのように)限られたいすしかなく、音楽も止 まり始めている。つまり素早くいすを見つけたほうが良いということだ。 ゲームに残るためには、かなりの規模を持たなければならない」「チェ ース自身の業務とハンブレクト・アンド・キスト(H&Q)、ビーコン ・グループ、ロバート・フレミング(いずれもチェースが買収)の業務を、 J.P.モルガンが築いた業務と統合すれば、ゲームに残るのに適した 状態に なると言えるだろう」 「2社は独立した状態より合併した方 が確かに強固になる」コスト削減について:「バックオフィス(事務・ 管理)業務の重複部分のコストは相当削減できる。コスト節減の余地は大 いにある」株主の懸念について: 「3つの懸念がある。1つ目は企業 文化に関する懸念。しかし、ケミカル とチェースも異なる文化を持って いたが、合併はうまくいった。2番目の懸念は、収入の減少。フォーチュ ン誌が選ぶ500の大手企業は規模が大きくなるに つれ、最低2社の主要取 引銀行を持つようになる。つまり、(リスクを分散する ため)取引を分 割する企業が多い。J.P.モルガンとチェースはこの2社に なること が多かったため、合併が成立すれば顧客は1社との取引を打ち切ることに なる。打ち切られた取引は競合他社のものになるわけだ」「3番目の懸念 は株価だ。ただ買収当初に価値が低下したとしても、1年後にはコスト削 減効果だけで価値は上がるとみている」「この買収計画を成立させるため、 チェースはかなりのプレミアム価格を提示することになろう。 このニュースでチェースの株価は若干下がることになろうが、買収が完了 すれば収入が伸びる余地が大きいため、株価上昇が市場平 均を上回る可 能性があるとみている。これまで2社は、人々の動揺を避けるためコスト 削減の余地を少なめに発表してきたので、(合併後の)収入は予想以上に なる可能性が高い」 原題:Merrill Lynch's Ellman on Chase, J.P. Morgan Talks: Comment (抜粋) 記者:ボストン Caroline Van Hasselt翻訳:東京 柴田 広基 Hiroki Shibata MK