1087.世界の見方について



このコラムで述べてきた昔の世界観を変更する必要にあるようだ。
                Fより

類型的な世界の見方では、時代の変化に付いていけない可能性があ
る。元共産国家であるロシアと中国は米国と敵対関係にあるという
のでは、今後の国際動向を読めない。1990年まで、米国はソ連
との対応上、全方位で対応できる体制であったが、今は北朝鮮とイ
ラクの二正面も作戦ができないようになっている。

共産または社会主義国家は今や無い。北朝鮮は太古に消滅した専制
主義王制国家であり、国民を大量に殺しても政府は軍事力で国民を
押さえるだけである。キューバぐらいが社会主義国家と言えるのか
もしれない。

ロシアはもとより中国は市場主義から資本主義・民主主義に移行す
るであろうから、世界はそう言う意味でも、グローバル・スタンダ
ード、ワン・ワールドに向かう。国際政治的にもその方向に行って
いる。米露友好は、いろいろな場面で出てきているし、中国も米国
との友好を最優先課題にしている。
あの反米的な中国でさえ無理なのに、日本で反米反グローバルを騒
ぐのはおかしいし、できっこない。日本の学者の世迷いごとで、政
治家がその影響を受けると、日本自体もおかしくなる。

このコラムを反米と見ている人がいるが、米国国内での反タカ派、
親パウエル派、欧州と同様な国際協調主義の立場で、反米ではない
ですよ。誤解しないでほしいですね。

このような世界状況で、米国の国際戦略は9.11以降の対テロ戦
争で明確に全面対応から部分対応に変化している。対テロ対策で、
米国国内安保省も築いた。この動向を抑えているのは神浦さんのよ
うな軍事専門家とYSさんなど米国の政治・軍事関係資料文献をよ
く読んでいる人たちであろう。その他の人たちの文面からはまだ、
昔の冷戦のイメージを感じる。このような戦略にしたのは、米国に
明確な敵がいなくなって、欧州が米国タカ派の言うことを聞かなく
なったのと、米国の1990年代の軍事力削減が効いている。

そして、米国は中露などより、むしろイスラム圏テロを警戒し、
かつそのテロ集団を支援する国家群を問題視している。そして、
その石油の経済的な利得もある中東の覇権を確立することに意義を
感じている。その意義を裏付ける国際的な合意ができる目標として
、中東に民主主義を確立するという構想を打ち出したのです。
この戦略の文脈を押さえないと、世界の動向、米国の意向が読めな
い。よって国際情勢の予測も当たらない。

北朝鮮はイスラム・テロに核を提供する可能性があるために問題視
しているだけで、中国・ロシアや韓国で経済封鎖すれば、経済的に
破綻するであろうから、核をもっているだけなら恐ろしくない。
そして、北朝鮮は日本・韓国にはあるが、米国国内にテロのネット
ワークを持っていないと見られている。このため、米国に核を運ぶ
手段を持っていない。

北朝鮮は経済封鎖だけで倒れるために、あえて経済的負担が大きい
戦争をする必要がない。やっても、イラクと戦争ができなかった時
のガス抜き程度であろう。北朝鮮の兵器は長期に更新されていない
ため、旧式なものになっている。米国・韓国に化学兵器で少し被害
が出る可能性はあるが、戦争になれば北朝鮮はほとんど壊滅的なこ
とになり、短期に終結する。北朝鮮軍は国内でのゲリラ活動もでき
ない。軍を使った圧政を長期にしていたために、軍が国民から浮き
上がっている。

しかし、経済的封鎖のガンは韓国である。韓国は北朝鮮崩壊による
難民などの経済的な負担より北朝鮮があるほうがいいに決まってい
る。このため、最低限の経済援助をすることになる。
しかし、そのために北朝鮮国民は、何人餓死したか?200万人以
上500万人とすると、人口は現在1600万人程度であり、経済
封鎖が厳しいこの冬を越せるのは何人であろうか??

このため、米国として最初に叩くのは、イスラムテロ支援国家にな
る。この目的と一致するのがイスラエルの国家存立の確保である。
それと石油戦略が一致する。このため、中東に米国の焦点は行く。
国連査察についてイラクは全面受け入れをしているが、どうせ米国
はイラクが邪魔をする可能性があると言って、攻撃になる。
リチャード・パールがブッシュ政権としては査察とは関係なくイラ
クを攻撃すると英国ミラー紙で語っている。
北朝鮮には、いくら核開発しても、攻撃しない理由で、経済封鎖を
強化するだけである。
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「北朝鮮が核爆弾1〜2個保有」 CIAが報告(ASAHI)

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が核爆弾1、2個を保有して
いるほか、さらに数個を製造できるプルトニウムも確保している、
と米中央情報局(CIA)が推定していることが21日、わかった
。報告書が機密指定を解除され、米議会関係者らに配られた。「核
爆弾1、2個分のプルトニウムを保有」などという従来の見方より
踏み込んでいる。議会などでの対北朝鮮強硬論を高める可能性もあ
る。 
 AP通信などの報道によると、報告書は北朝鮮が「核爆弾を1個
、場合によっては2個」をすでに製造していると指摘している。
また、いまは国際原子力機関(IAEA)の監視下にある寧辺の核
施設では、再処理すると複数個の核爆弾が製造できるだけのプルト
ニウムを抽出可能な使用済み燃料が貯蔵されている、としている。 

 さらに、10月の米朝高官協議で北朝鮮が米国に認めたとされる
ウラン濃縮計画について、約2年前に始まり、現段階では年間2個
以上の核爆弾が製造可能な量の高濃縮ウランを製造できるだけの設
備が整っている、と推定している。 

 また、94年の米朝枠組み合意が無効となれば、寧辺の核施設で
黒鉛減速炉が再稼働することで年間6キロのプルトニウムの抽出が
予想されるほか、別の複数の原子炉も合わせれば年間275キロの
プルトニウムが抽出可能となる、との見方を示している。 

 これまでは米政府高官らがCIAの調査をもとに、94年の米朝
枠組み合意より前に北朝鮮は核爆弾1、2個を製造できるだけのプ
ルトニウムを抽出、保有しているとの見方を示していた。 
(11:49) 
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2002年11月21日(木) 
米朝枠組み合意維持を主張 中国次官が対米協調表明

【北京21日共同】中国外務省の李肇星次官は21日、同外務省で
日本の主要メディア訪中団と会見し、朝鮮民主主義人民共和国(北
朝鮮)の核開発問題について1994年の米朝枠組み合意に戻るよ
う主張、「米朝両国が協議して平和的に解決するよう希望する」と
強調した。また、共産党16回大会を経た外交政策について「中国
と米国は(世界に対し)共同の利益と共通点、共同の責任がある」
と述べて対米協調優先の立場を説明。先月、江沢民国家主席が訪米
した際「チェイニー米副大統領が来年の早い時期に訪中することを
確認した」と語った。チェイニー副大統領の訪中で、ブッシュ政権
によるイラク攻撃を前に最終的な意見調整が図られる可能性も出て
きた。 
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2002年11月22日(金) 
イラクにおけるロシアの利益を尊重する=米大統領
http://channel.goo.ne.jp/news/reuters/kokusai/20021122/97023-1.html

 [サンクトペテルブルク(ロシア) 21日 ロイター] 米国
のブッシュ大統領は、ロシアのNTVテレビとのインタビューで、
イラクのフセイン大統領が政権から追放された場合、イラク国内に
おけるロシアの経済的利益を尊重する、との姿勢を示した。 

ブッシュ大統領は、翌日プーチン・ロシア大統領と会談する予定。

 ブッシュ大統領は、ロシアは旧ソ連時代から石油部門でイラクと
幅広い協力関係を築いており、イラク国内でロシアが利益を得てい
ることを十分認識している、と述べた。 

そのうえで、米国は引き続き、イラクが大量破壊兵器を保有してい
ると考えており、武力行使を余儀なくされずに、フセイン大統領が
それらの廃棄に同意するよう望んでいる、と強調した。 

 ブッシュ大統領は、「(フセイン大統領が)自らの意志で武装解
除しなければ、我々は平和の名の下に武装解除を行う。我々は当然
、あらゆる立場の利益を尊重したいと考えている。誰かに圧力をか
けたり、(イラクの)国家権力を略奪したりするつもりはない」と
語った。 

さらにブッシュ大統領は、「もし(イラクの)政権交代が実現すれ
ば、我々はすべてのイラク市民の権利を尊重し、かつイラクの統一
を維持する新たな指導体制を擁立する」と語った。


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