新幹線を航空機に変えた男たち 前間孝則著 さくら舎 http://www.sakurasha.com/9784906732777.html 平成26年(2014)7月4日(金) 仲津英治 日本の近現代の産業・技術・文化史の執筆に取り組んでおられる 前間孝則氏の著作を紹介させて下さい。 日本の新幹線は、20-21世紀の世界の鉄道史を塗り替えた交通機関 です。斜陽視された鉄道を復権させ、交通革命を起こし、日本社会・ 経済&国民生活に欠かせない根幹的交通機関になっています。 昭和39年(1964)第1回東京オリンピックの年に開業した東海道を 始めとする新幹線は、今や西へ、北へと延伸され2,400キロ近いネット ワークを形成し、さらに延長・拡充の構想・計画が進められていま す。 私は、1989年から1996年までJR西日本で、既存の新幹線をより高速 化し、より多くのお客様に利用して頂けるよう尽力して参りました。 そしてそれら努力の傾注対象は、いかに速く走るかより、いかに 静かに走るかということにありました。その時の経験談を著者の前間 さんからインタビューを受け、詳しく話させて頂きました。 山陽新幹線で実現している時速300■、東北新幹線の最高営業速度 時速320■は、航空機の離着陸のスピードに相当します。リニヤモータ ーカーが目指す、時速500■は、かつての名機ゼロ戦の巡航速度です。 私は本書を読んで、初期のゼロ系新幹線の開発に取り組まれた先人 の功績に深甚の敬意を表する気持になり、また航空機の専門家の指導 を受けつつ、速くしかしより静かに走ることに取り組んだ日々を思い 出しました。航空機に学ぶことは空を飛ぶ鳥からも学ぶことに繋がり ます。 そしてさらに現役の諸兄が、より完成度の高い高速鉄道を目指して 取り組んでいることに嬉しさを感じました。 ご一読して頂くことをお奨め&お願いをするものです。 以上 「地球に謙虚に運動」代表