4819.米国の政治的混乱を見る



下院の共和党ベイナー議長が最後の最後に折れて、暫定債務上限引
上げ法案を下院で採決したことで、今回の危機は去ったが、しかし
、来年2月中旬に再び期限を迎える。さあ、どうなりますか?
                  津田より

0.米国の政治混乱
米国のデフォルト(債務不履行)の危機は、調整機能を失った下院
に代わり、かろうじて“良識”を発揮した上院の主導により土壇場
で回避された。抵抗を続けた下院共和党も最後は折れた。下院本会
議で賛成285、反対144で債務引き上げ法が可決された。

債務不履行の危機を土壇場で回避したことについて、オバマ米大統
領は17日、「これほどまでに世界における米国の信頼と地位を損
ねたものはない」と語った。それはそうだ。

そして、米経済が16日間にわたる米政府機関の閉鎖によって被っ
た損失は、派生的な影響を含めると200億ドル(約2兆円)を超
える可能性があるという。行政サービスの縮小に加え、民間契約や
観光収入などに影響が波及したためだ。2013年10〜12月期
の米経済成長見通しは0.6ポイント押し下げられる公算という。

それと、米連邦債務の上限はいったん引き上げられデフォルト(債
務不履行)は回避されたが、専門家からは、来年再び期限を迎えた
ときに財務省が引き延ばせる余地は限られ、3月中旬までとの厳し
い見方が出ている。リポートによると、期限到来時の債務上限は約
6000億ドル増の17兆3000億ドルとなるので、それまでに
は合意を得る必要があるようだ。

今後、予算面では「シクエスター」と呼ばれる歳出の自動削減措置
をどうするかで、民主、共和両党の政策優先項目は違うために、揉
めることが確実である。

両党の合意の一環として、議会は税制・支出プラン作成のための超
党派の両院予算協議会を招集するようになっているが、シクエスタ
ーの調整は、同委員会の取り組むべき課題の上位に置かれる。

ここで、民主党は、教育や研究など広範囲な内政プログラムの削減
を緩和したいと願い、一方、多くの共和党議員は国防に対する削減
の打撃を緩和したがっている。歳出の自動削減は、社会保障など大
半の義務的支出には適用されない。

しかし、国防支出削減には強く反発しているにもかかわらず、共和
党は、シクエスターを予算交渉で民主党に対抗する際に用いる武器
とみなし、上院のミッチ・マコネル共和党院内総務(ケンタッキー
州)は、シクエスターに伴う削減を温存したことは共和党の勝利だ
と自賛した。民主党が政府機能再開と債務上限延期のための交渉の
一環としてシクエスターによる自動削減の停止を求めていたにもか
かわらず、共和党は応じなかった。

民主党は、シクエスターに基づく来年の削減は経済に打撃となり、
極めて重要な政府サービスが妨害されると主張する。同党は、共和
党がシクエスターの代わりに、増税のほか一連の支出削減で最終的
に同意するよう望んでいる。

議会予算局(CBO)の直近の推計によると、年間の歳出の削減は、と
りわけ国防予算に打撃になる見通しで、2014年は国防プログラムか
ら約540億ドル(9.8%)が削減される予定だ。しかし、非国防プロ
グラムでさえ、2、3年前に議会が14年の支出として推定した1兆0580
億ドルから9670億ドルへと削減される。

シクエスターは、毎年自動的に予算が削減されるので、義務的な経
費ではない防衛費の削減が大きく、そのほかでは、教育や研究など
予算がある。このため、社会保障予算を減らそうと共和党は目論む。

そして、民主、共和両党は17日朝、両院予算協議会の初会合を開い
た。しかし、会合後の記者団の取材に対し、指導者らは暫定合意に
盛り込まれた次の交渉期限である12月までに本格合意にこぎ着ける
かは確約しなかった。それだけ難しいことなのである。

この協議会の使命は今年に入って上下両院がそれぞれ採択した予算
決議の調和を図り超党派の合意形成をすることだ。下院側決議案は
増税を避けながら、今後10年間で財政支出を大幅に削る内容となっ
ている。特にメディケイド(低所得者向け医療保険)が削減対象。
一方、上院側決議は大幅増税と政府社会保障給付の下院案に比べ小
幅な削減をうたっている。

この協議会には7人の下院議員と22人の上院議員の計29人が参加す
る。

この協議会で決まらないと、また来年2月には、今回と同じことが
起こる可能性がある。

1.ティーパーティの今後
今回の政治混乱は、共和党下院ティーパーティが引き起こした。そ
の中心人物が、テッド・クルーズ議員である。オバマケアを無理や
り、交渉条件にしたことで混乱したのである。

ナショナル・インタレスト誌は「Is Corporate America Going to 
War Against the GOP?」で、共和党は共和党支持の企業から離反さ
れた。米商工会議所と全米製造者協会は、予算と債務引き上げの決
裂に警告を出していた。それを共和党ティーパーティは行った。こ
のままでは支持できない。このため、民主党が勝利を得たという。

共和党を支持するアメリカン・コンサバティブ誌は「How the Tea 
Party Becomes a Force for Big Government」でこの政治混乱で、
ティーパーティは3つの勝利を手にしたという。1つがオバマケア
や社会保障費の予算成立を延期した。2つに小さな政府への見方を
選挙民に広めた。3つに、他の2つの目的を破産させずにより強い
意志で他日を期す覚悟がティーパーティにできたことである。とい
う。

しかし、共和党の支持率は急落して、歴史的に一番低くなってしま
った。ティーパーティの中心的なテッド・クルーズ議員の議席を将
来保証されないのはいいが、他の共和党議員の議席も保証されなく
なった。それと小さな政府に対して疑問を持つ人が増えているとい
う。

また、アメリカン・プロスペクト誌は「The Tea Party, Now and 
Forever」で、ティーパティは次の選挙で死が予想できる。しかし
、その名を使わないが同じような政策を掲げるグループができる。
しかし、そのグループは、ティーパーティのような熱気ある運動を
しない。そして、共和党も本当の保守主義にならないといけないと。

このように、保守主義に熱気的な運動をもたらしたが、それは失敗
であったと保守誌が認めている。熱気で米国を衰退に向かわすのは
勘弁ということであろう。しかし、まだ下院選挙まで1年もあり、
その間は、危機が襲うかもしれないのである。ティーパーティも捨
て身でくることが予想されるためである。

2.米国・世界経済の今後
最近の予測によると、ここ数年の米国政治をめぐる混乱が経済成長
を急速に減速させ、約200万人を失業に追いやったままにしてい
る。
大幅な歳出削減が大きな要因だが、政治の機能不全も、企業が投資
や雇用より内部留保の蓄積を優先する要因になってるかもしれない
とエコノミストらは指摘する。米国経済に大きな影響が出ているが
、世界的な影響もある。

それは、債務上限額引き上げがスムーズでないことで、米国債の安
全性に疑問が出て、それに伴い基軸通貨ドルの信頼も減少した。こ
のため、ドルから他通貨へ回避することが考えられるが、ドルの代
わりになる通貨がない。ユーロも不安定であり、円では量がないし
元はまだ国際通貨の信任を得られていない。

IMFのSDRがドル代替の第1候補であるが、プロジェクト・シンジケ
ート誌の「Revoking America’s Exorbitant Privilege」で、米国
の予算削減で、2010年に決まったIMFの各国割り当て変更が延期
になっっているようだ。SDRの安定的な運用を開始できないようであ
る。

米国の衰退が政治的な混乱から始まっているように感じる。

しかし、米国の衰退が急速であると、他の諸国が準備する前に米国
が衰退してしまうので、その速度に危機感を感じているように思う。

早急に日本は円を国際通貨として確立して、円の通貨量を増やすこ
とを行うべきであろう。量的緩和はその意味では正しいことである。

他の国の外貨準備として日本国債や円を持ってもらう方向で経済外
交を行うことも考えられるように感じる。どうせ、米国は来年2月
にまた、今回と同様な混乱が起こり、今度は債務不履行を起こす
可能性があると見て、準備することである。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
How the Tea Party Becomes a Force for Big Government
http://www.theamericanconservative.com/how-the-tea-party-becomes-a-force-for-big-government/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=how-the-tea-party-becomes-a-force-for-big-government

The Tea Party, Now and Forever
http://prospect.org/article/tea-party-now-and-forever

Is Corporate America Going to War Against the GOP?
http://nationalinterest.org/blog/jacob-heilbrunn/corporate-america-going-war-against-the-gop-9253

Revoking America’s Exorbitant Privilege
http://www.project-syndicate.org/commentary/on-the-us-threat-to-the-international-monetary-system-by-jose-antonio-ocampo
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次回の米債務上限引き上げ期限、先延ばしは来年3月中旬まで=専門
家
2013年 10月 19日 08:30 JST
[ワシントン 18日 ロイター] - 米連邦債務の上限はいったん
引き上げられデフォルト(債務不履行)は回避されたが、専門家か
らは、来年再び期限を迎えたときに財務省が引き延ばせる余地は限
られ、3月中旬までとの厳しい見方が出ている。
財務省は今年5月、債務上限に直面した際に、連邦政府職員の一部
年金基金への投資を中止するなど「非常手段」によって5カ月間や
りくりした。
連邦債務の上限は来年2月7日まで引き上げられたが、専門家はそ
の後の展開はこれまでと異なるものになるという。
ワシントンのシンクタンク、バイパーティザン・ポリシー・センタ
ーのアナリスト、シャイ・アカバス、ブライアン・コリンズ両氏は
18日付のリポートで「非常手段は長続きしないだろう」と予想。
債務上限の新たな引き上げ期限が、多額の税還付を行う時期と重な
ることを理由に挙げた。
リポートによると、期限到来時の債務上限は約6000億ドル増の
17兆3000億ドルとなる。
財務省からこれまでのところコメントは得られていない。
ゴールドマン・サックス(ワシントン)のエコノミスト、アレック
・フィリップ氏も、来年3月半ばに先送りの手段が尽きると予想。
「ただ、歳入が予想よりも上振れしたり、税還付額が下振れしたり
すれば、(債務上限の引き上げ)期限はやや後ずれする可能性もあ
る」とリポートのなかで分析する。
債務返済の財源を3月末までやりくりできれば、米連邦住宅貸付抵
当公社(フレディマック)から配当金の支払いを得て、裁量余地が
広がり、デフォルト(債務不履行)への備えを強化できる可能性も
あるとされる。
同公社は向こう数四半期にわたって、約300億ドルの配当金を財
務省に支払うと予想されている。
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米経済損失2兆円=政府機関閉鎖で成長0.6ポイント低下−調査会社
 【ワシントン時事】米経済が16日間にわたる米政府機関の閉鎖
によって被った損失は、派生的な影響を含めると200億ドル(約
2兆円)を超える可能性がある。米調査会社IHSが17日明らか
にした。行政サービスの縮小に加え、民間契約や観光収入などに影
響が波及したためだ。2013年10〜12月期の米経済成長見通
しは0.6ポイント押し下げられる公算という。
 今回の政府閉鎖では約200万人の政府職員のうち、80万人程
度が一時帰休の対象となり、国立公園の利用などが止まった。IH
Sは行政サービス縮小による直接損失を31億ドルと試算。社員
2000人超の一時帰休に追い込まれた防衛大手ロッキード・マー
チンなど民間への影響を踏まえ、損失総額を約200億〜210億
ドルと推定した。(2013/10/18-15:21)
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米財政問題、解決先送りにすぎない
2013年 10月 18日 16:16 JST  WSJ
  米政府指導者らは米大リーグ(MLB)のプレーオフ開催中に経
済の大混乱を回避した。だが、来年初めに行われるフットボール(
NFL)のプレーオフまで先送りしたにすぎない。
 米議会と政府は16日夜、米国債のデフォルト(債務不履行)回避
と政府機関の再開で合意した。これは、歓迎できる展開だ。
 しかし、問題なのは、来年1月に再び財政協議をめぐる与野党対立
が起きる見通しだということだ。議会では、上院と下院でそれ …
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米議会でまた党派対立の公算−再浮上する歳出の自動削減問題
By JOHN D. MCKINNON
2013年 10月 18日 10:46 JST  WSJ
 米議会の16日の合意で、ワシントンの最も急を要する問題、つま
り債務上限引き上げと政府機関再開問題が解決した。だが、これを
受けて、もう一つの対立要因に焦点が移った。「シクエスター」と
呼ばれる歳出の自動削減措置をどうするかで、このままだと、民主
、共和両党の政策優先項目は来年、再発動される自動削減という障
壁にぶつかることになる。
 こうした歳出自動削減をどのように緩和するかを考え出すことが
、議員たちにとって次の大きな課題になる公算が大きい。来年1月に
予定されている自動削減での対決を回避したいというのが彼らの願
いだ。
 政府機関の閉鎖を解除し、債務上限を来年2月まで凍結することで
合意されたが、この合意の一環として、議会は税制・支出プラン作
成のための超党派の両院予算協議会を招集するよう指示されている。
シクエスターの調整は、同委員会の取り組むべき課題の上位に置か
れる公算が大きい。
 民主党は、シクエスターに伴い予定されている支出削減、とりわ
け教育や研究など広範囲な内政プログラムの削減を緩和したいと願
っている。一方、多くの共和党議員は国防に対する削減の打撃を緩
和したがっている。歳出の自動削減は、社会保障など大半の義務的
支出には適用されない。
 シクエスターに伴う自動削減を阻止するための政治上の駆け引き
は困難を極めるだろう。国防支出削減には強く反発しているにもか
かわらず、共和党は16日、シクエスターを予算交渉の次回ラウンド
で民主党に対抗する際に用いる武器とみなす構えをみせた。
 例えば上院のミッチ・マコネル共和党院内総務(ケンタッキー州
)は16日、シクエスターに伴う削減を温存したことは共和党の勝利
だと自賛した。民主党が政府機能再開と債務上限延期のための交渉
の一環としてシクエスターによる自動削減の停止を求めていたにも
かかわらず、共和党が応じなかったためだ。
 共和党は、来年1月の自動削減が近づくにつれて、一般国民の圧力
が今後、民主党に向けられると期待している。
 下院のベイナー議長(共和、オハイオ州)のスポークスマンであ
るブレンダン・バック氏は「大統領は共和党と協力してシクエスタ
ーの削減幅を緩和する機会が与えられていた。こうした専断的な削
減をもっと賢明な削減に代替することで緩和するはずだったが、大
統領はこれを却下した」と指摘。この結果「彼は今や、こうした削
減の必要を真に認めたことになる」と語った。
 ホワイトハウスはコメントの求めに応じなかった。
 民主党は、シクエスターに基づく来年の削減は経済に打撃となり
、極めて重要な政府サービスが妨害されると主張する予定だ。同党
は、共和党がシクエスターの代わりに、増税のほか一連の支出削減
で最終的に同意するよう望んでいる。
 例えば下院予算委員会の民主党トップであるクリス・バンホーレ
ン議員(メリーランド州)は、「シクエスターはインフラ、教育、
科学、研究といった分野への大切な投資をむしばんでいる」と述べ
た。そして、「共和党内にも、国防に対する自動削減に憂慮してい
る議員が多い。したがって、われわれはシクエスターを、バランス
のとれたアプローチを通じて代替させる方法を見いだせると希望し
ている」と語った。
 来年1月に予定されている歳出自動削減は、議会が2014年から21年
までの間に支出を予定している総額から、毎年約900億ドル(約9兆
円)を削減するというものだ。
 議会予算局(CBO)の直近の推計によると、年間の歳出の削減は、と
りわけ国防予算に打撃になる見通しで、2014年は国防プログラムか
ら約540億ドル(9.8%)が削減される予定だ。しかし、非国防プロ
グラムでさえ、2、3年前に議会が14年の支出として推定した1兆0580
億ドルから9670億ドルへと削減される。一部の義務的支出プログラ
ムも影響を受ける。
 そもそもシクエスターは、政府の債務上限を引き上げるため2011
年に議会を通過した予算法から制定された。同法は議会に対し、赤
字削減合意に達するための超党派の「スーパー委員会」を設置する
よう命じ、さもなければシクエスターが発動されるとした。シクエ
スターによる自動削減はあまりに厳しいため、民主、共和両党は代
替プランで合意するだろうと考えられたのだ。しかし両党は合意に
至ることができず、シクエスターが発動され、自動削減が今年3月1
日に始まった。
 この削減は当初、政府サービスにおおむね控えめの影響を与える
にとどまった。議会が一部政府機関にこれまで以上に柔軟な支出権
限を与えたためで、多くの政府機関も保守点検作業を遅らせたり、
空席を埋めないなどの対応によって支出削減に伴う打撃をさしあた
りは吸収できた。
 しかし今や、こうしたその場しのぎの策は尽き果てようとしてい
る。
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米民主・共和党幹部、次の予算協議期限までの合意確約せず
By DAMIAN PALETTA
2013年 10月 18日 11:13 JST  WSJ
 財政協議の期限切れ寸前の暫定合意で政府再開とデフォルト(債
務不履行)回避に当面成功した米国の民主、共和両党は17日朝、新
たな予算協議の初会合を開いた。しかし、会合後の記者団の取材に
対し、指導者らは暫定合意に盛り込まれた次の交渉期限である12月
までに本格合意にこぎ着けるかは確約しなかった。
 16日の暫定合意では、暫定予算と債務上限を当面凍結することを
決めたほかに、上下両院の予算委員会で作る協議会に12月13日を期
限とする中期の財政計画と1月以後の予算について決議をまとめるよ
う求めている。
 下院予算委員会委員長のポール・ライアン議員(共和党、ウィス
コンシン州)はこの協議会で「国家のためになる財政合意を目指す
」と述べた上で、「政府債務と財政赤字を制御可能とし将来世代の
ためになり経済成長に資するような合意だ、そのために何をしたら
いいか考える」と説明した。
 ライアン議員の上院側のカウンターパートである上院予算委員長
のパティ・マレー議員(民主党、ワシントン州)は「全ての問題を
議題に上げる。これら全てについて協議する」と述べた。
 この会合の使命は今年に入って上下両院がそれぞれ採択した予算
決議の調和を図り超党派の合意形成をすることだ。下院側決議案は
増税を避けながら、今後10年間で財政支出を大幅に削る内容となっ
ている。特にメディケイド(低所得者向け医療保険)が削減対象。
一方、上院側決議は大幅増税と政府社会保障給付の下院案に比べ小
幅な削減をうたっている。
 この協議会が合意決議の形成に失敗しても、法的な何らかの結果
をもたらすものではない。しかしこの決議に至れなかった場合は、
暫定予算切れの来年1月15日寸前まで今回のような混乱劇が繰り返さ
れる可能性が増すことになる。
 両予算委員長の朝食をしながらの会合には他にクリス・バン・ホ
レン下院議員(民主党、メアリーランド州)とジェフ・セッション
ズ上院議員(共和党、アラバマ州)が同席した。両議員ともこの協
議会の成功に向け努力すると話したが、合意にたどり着ける保証は
ないとも語った。
 セッションズ議員は「現実以上に期待を高めることはしたくない
が、何らかのできることはある」とし、バン・ホレン議員は「話し
合うことが成功を保障するものではない。ただとにかく話さなけれ
ば前進はない」と述べ、両議員とも慎重な言い回しに終始した。
 この協議会には7人の下院議員と22人の上院議員の計29人が参加す
るが、先行きは不透明だ。また、この会合の大半は非公開で行われ
る。
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中国が脱アメリカ化できない4つの理由とは?―米メディア
Record China 10月18日(金)9時23分配信
2013年10月15日、RFI中国語版は記事「米メディア:中国にはまだ
“脱アメリカ化する力はない”」を掲載した。
13日、中国国営通信社・新華社英語版は「米財政危機は脱アメリカ
化の世界の必要性を示した」との社説を掲載した。米国は世界の暴
力を鎮め貧困を減らすどころか、金融リスクを拡散し世界の緊張を
煽っている、偽善国家だと激しく批判。軍事行動は国連主導とする
べきであり、また米ドルに変わる新たな基軸通貨が必要だと訴えて
いる。
この新華社社説に多くの米国メディアが反応したが、その一つが米
誌フォーブス。中国には脱アメリカ化の条件がそろっていないと指
摘している。問題は4つ。第一に資本主義はすでに世界の隅々にまで
拡大しており、中国が脱アメリカ化してもそれに変わる新たな市場
は存在しない。
第二に米国で設計され中国で製造されるiPhoneが典型例だが、中国
企業はイノベーションが乏しくオリジナルの製品を生み出せていな
い。第三に政府とマーケットが位置を取り違えていること。政府は
環境保護など本来果たすべき公的な役割をほとんど放棄しているか
のよう。一方で国有企業が権力を活かしてありとあらゆる商業分野
に進出している。
そして第四に中国経済には企業的思考が欠けている。政府官僚のた
めではなく消費者のために発想すること、リソースの配置を政府が
決めるのではなく企業が決めることが必要になる。中国はこうした
問題を抱えており、現時点での脱アメリカ化は不可能だと指摘して
いる。(翻訳・編集/KT)
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オバマ米大統領「世界での信頼損ねた」 債務問題めぐり
2013年10月18日9時52分
 【ワシントン=五十嵐大介】米政府が債務不履行(デフォルト)
の危機を土壇場で回避したことについて、オバマ米大統領は17日
、「これほどまでに世界における米国の信頼と地位を損ねたものは
ない」と語った。政府の債務(借金)上限の引き上げなどをめぐる
16日までの与野党の対立は、外交や安全保障にも悪影響があった
と認めた。
 連邦政府の予算が議会を通らず、2週間以上にわたって閉鎖され
ていた政府機関は17日再開した。記者会見したオバマ大統領は、
「(与野党の対立に)勝者は誰もいない」とし、「我々の敵を勇気
づけ、競争相手を励まし、友好関係にある国を落胆させた」と述べ
た。悪影響は経済にとどまらないとの考えを示した。
 今回の与野党の妥協案では、長期的な赤字削減策を議論し、12
月中旬までに合意するとの内容が含まれている。オバマ大統領は「
経済成長を促進し、赤字を減らす予算のためのバランスの取れた手
法を追求すべきだ」と話した。
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「勝者はいない」結末 米デフォルト回避の舞台裏
2013.10.18 00:01 sankei[米国]
 【ワシントン=青木伸行】米国のデフォルト(債務不履行)の危
機は、調整機能を失った下院に代わり、かろうじて“良識”を発揮
した上院の主導により土壇場で回避された。抵抗を続けた下院共和
党も最後は折れた。デフォルト突入への秒読みが進む中、「危機バ
ネ」が働いた格好だ。
 16日午後10時(日本時間17日午前11時)過ぎ、連邦議会
議事堂の下院本会議場。賛成285、反対144で債務引き上げ法
が可決されると一瞬、ざわめきが起こった。デフォルトに陥る“日
付変更線”まで2時間足らず。きわどいタイミングでデフォルトの
回避が確定した瞬間だった。
 これに先立つ午後8時(同午前9時)過ぎ、上院は賛成81、反
対18で可決していた。
 この日は前日に引き続き、民主党のリード、共和党のマコネル両
上院院内総務による午前の最終調整で幕を開ける。世界の憂慮の視
線が注がれる中、リード氏は正午(同午前1時)過ぎ、上院本会議
場で「合意に達した」と明らかにした。オバマ大統領と下院共和党
の協議が行き詰まり、与野党の上院指導部が乗り出してから5日目
。だがリード、マコネル両氏に満面の笑みは見られない。
 合意の内容では、オバマ氏がメンツに懸け死守しようとする医療
保険改革(オバマケア)は“無傷”。これでは、調整能力を失って
いるベイナー下院議長をトップとし、保守強硬派を抱える下院共和
党が受け入れない恐れがあったのだ。
 合意内容は直ちに下院に伝えられる。午後3時(同午前4時)過
ぎ、議事堂内の「HC5」室。共和党下院議員総会に向かうベイナ
ー氏の表情は、厳しかった。しかし総会後、ベイナー氏が放った言
葉が空気を一変させる。
 「われわれはよく闘った。勝たなかっただけだ」 “敗北宣言”
である。理由は「デフォルトのリスク」。共和党の一連の対応への
不支持率は74%にまで上昇し、デフォルトに突入すれば国内外か
らの批判を一身に浴びてしまう。
 だが、保守強硬派の怒りは収まらない。ゴマート下院議員は「法
案に反対票を投じる」と息巻いた。
 米メディアの一部は今回の結末を、「オバマ氏の勝利」とみる。
しかし世界の米国への信頼は大きく傷ついた。米紙ワシントン・ポ
ストは米国の「政治システム」を「敗者」に挙げた。
 夜、ホワイトハウスで記者会見したオバマ氏は「(政治に)不一
致があるとき、国民に損害を与えないようにするという教訓を学ん
だ」と語った。政治に翻弄されたのは、ほかならぬ国民である。こ
れらの意味で、「勝者はいない」(カーニー大統領報道官)結末だ
ったといえよう。
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焦点:米国経済、政治の機能不全が最大のリスクに
2013年 10月 17日 17:06 JST
[ワシントン 17日 ロイター] - ここのところワシントン(米
政界)では意見の一致を見るのが難しくなっているのかもしれない
が、多くの企業幹部やエコノミストはある一点において意見が一致
しているようだ。それは、米国経済にとっての最大のリスクは自ら
が選挙で選んだ代表かもしれないということだ。
最近の予測によると、ここ数年の米国政治をめぐる混乱が経済成長
を急速に減速させ、約200万人を失業に追いやったままにしてい
る。
大幅な歳出削減が大きな要因だが、政治の機能不全も、企業が投資
や雇用より内部留保の蓄積を優先する要因になってるかもしれない
とエコノミストらは指摘する。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザ
ンディ氏は「米経済が盛り上がらないのはワシントンがつくり出す
不透明感が要因だとの見方を私は強めている」と語る。
米議会は16日、政府機関閉鎖を解除し、来年2月まで債務上限を
引き上げる法案を可決。しかし、危機にそもそも至った根本的な問
題は解決されておらず、数カ月後に再び対立が浮上するのではない
かとの懸念が渦巻いている。
合意内容には、長期的な財政赤字削減策をまとめる上下両院の超党
派委員会を設置することも盛り込まれたが、成功は難しいとの声も
出ている。
ポトマック・リサーチ・グループのアナリスト、グレッグ・バリエ
ール氏は「危機に次ぐ危機で経済が蝕まれている」と指摘。「企業
人ならば、こうした環境下で将来の計画を練ることはできないだろ
う」と話す。
企業幹部も同意する。ブラックロックのローレンス・フィンク最高
経営責任者(CEO)は16日のインタビューで、「米国で言葉を
交わしたCEOの大半は、これ(政治の機能不全)のためにビジネ
スが減速するとみている」と述べた。
<緩慢な回復>
全てのエコノミストがこうした見方に同意しているわけではないが
、2008─09年の景気後退以降の回復ペースは異常なほど緩慢
となっている。
米国内総生産(GDP)は景気後退前の規模を上回っているが、民
間投資は2007年の水準を下回ったまま。雇用の伸びも景気後退
前を下回り続けている。
金融危機が収まって以降、米政界は次々に混乱を招いている。
医療保険改革法への不安もあり、2010年の選挙で共和党が下院
を握った。民主党が多数派を占める上院とのねじれから、税や歳出
をめぐる対立が繰り返されている。
今回の危機のように、議会は土壇場で惨事を回避してきたが、こう
した瀬戸際政策は消費者の信頼感をどん底水準まで押し下げている。
<財政再建が重しに>
景気改善と相まって、歳出削減により、米国財政赤字の対GDP比
率は2011年度の8.7%から、今年9月30日までの会計年度
に3.9%まで低下したが、そのために要したコストは大きい。
経済予測会社マクロエコノミック・アドバイザーズが14日に公表
したリポートによると、国防費などの裁量的歳出を議会が2010
年の水準で維持していたならば、120万の雇用が追加で生まれて
いたと見込まれている。
また同社は、米政治の機能不全により、90万人の失業者が新たに
生まれたとの推計も示している。
政治の不確実性が経済を損なっているとの見方に同意しないエコノ
ミストでさえ、歳出削減と増税はより段階的に導入すべきだったと
の考えに賛同する。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ポール・アッシュウォ
ース氏は「財政再建は景気にとって大きな重しとなっている」と述
べた。
国際通貨基金(IMF)は6月、米国の歳出削減策は「あまりにも
急激であり、いびつだ」と指摘した。
米政界には、さえない実体経済の責任があるかもしれないが、金融
業界への影響はそれほどではないかもしれない。
多くのエコノミストは、米緩和策が先月に縮小されると見込んでい
た。政治の混乱により、緩和縮小は来年まで開始されないのではな
いかとの見方が広がっている。
前出のバリエール氏は「市場は政治の機能不全との付き合い方を学
び始めているのではないか」と話した。
( Andy Sullivan記者 執筆協力 Jason Lange;翻訳 川上健一;編
集 佐々木美和)



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