日米共同フォーラム「エネルギーの未来」で分かる通り、米国が心 配しているのは、中東へのシーレーン防衛を米国がシェール・オイ ルによりエネルギーの自給自足ができることと、国防費削減で中東 地域への派遣をできなくなることでできなくなり、日本の中東から のエネルギー供給が途絶える可能性があるが、これに対して、日本 が危機感なくこの現実に対応もしないことである。 日本人はいつまで米国がシーレーンを守ると考えているかと疑って いる。それは違うと米国は言い始めた。日本よ、認識が甘いと。 この認識違いの上に、原発までゼロにするというエネルギー安全保 証上の論理ではありえない判断を下すことである。日本はエネルギ ー安全保障をどう構築するのかと米国は、問うている。そして、そ のことを日本も当然のごとく考えるべきなのである。 石油の中東依存度は、86%であり、LNGは27%である。この代替 をどこから得るのかということである。 中東への海の道には、中国軍の海外基地が多数あり、タンカーがそ の近くを航行している。このタンカーを餌食にすることは中国軍に とっては簡単である。 安全な海の道は太平洋航路で、米国や豪州、カナダに行く道である 。この道を通るルートにシフトすることが重要になっている。 経済連携協定というと、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や 日中韓経済連携協定に関心が向きがちだが、それと並行して進めら れようとしている2国間の経済連携協定にも注目する必要がある。 日本はいまカナダやEU(欧州連合)との経済連携協定の交渉に入 るべく動いている。 特にカナダが持っている豊富な資源、特に天然ガスやシェールオイ ルなどのエネルギー資源が魅力的だ。伊藤元重氏が指摘している。 その通りである。エネルギーの安全保障を考えて行くことである。 中東の石油に依存する経済からシフトしないといけない。 このためには、石油の得るためにカナダや豪州へシフトすることも 重要であるが、自動車のメカニズムをエンジンからモーターにして 内燃機関からの脱皮が必要になる。そうすると、電気自動車や燃料 電池車が待たれることになる。 エネルギーの多様化の内、自動車エンジンが一番問題になるので、 そのシフトも急速に行う必要がある。2015年にトヨタは燃料電 池車を500万円以下で売り出すという。これに期待するとともに 、国も安全保障の観点から支援するべきである。 ============================== 【日本の未来を考える】 東京大・大学院教授 伊藤元重 2012.11.3 03:27 sankei ■カナダと連携 再確認の時 経済連携協定というと、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP) や日中韓経済連携協定に関心が向きがちだが、それと並行して進め られようとしている2国間の経済連携協定にも注目する必要がある。 日本はいまカナダやEU(欧州連合)との経済連携協定の交渉に入 るべく動いている。これらの経済連携は、相手が大国であること、 そして民主主義国家であり先進国であるということから、日本にと っての意義は非常に大きなものがある。 先日、1週間ほどカナダを訪問する機会があった。カナダは米国 の隣にあるため、経済における米国依存度があまりにも高い。米国 のみに依存する経済から脱するためにも、アジア太平洋の国との経 済関係を深めたいと考えているようだ。 日本から見ると、カナダが持っている豊富な資源、特に天然ガス やシェールオイルなどのエネルギー資源が魅力的だ。カナダのエネ ルギー資源は西海岸に近いところで産出される。大消費地の米国東 海岸までもっていくにはパイプラインを設置しなくてはいけないが 、環境問題などからパイプラインへの反対が強い。そこで西海岸か ら船でアジアへ輸出することに強い関心がもたれている。