■菅不信任の大義は在るか? ?「復興救国政権」への必要条件? 自民党と公明党は、6月上旬に菅内閣に対する不信任決議案を衆院 に共同提出する方針を固めた。 民主党内でも小沢グループを中心に、これに賛成もしくは欠席する 動きがある。 しかしながら、その後の新政権が今よりマシなものになる保証がな ければ不信任決議案には何の大義もない。 ◆「復興救国政権」の条件◆ 新政権の必要条件は、以下の3点に集約される。 ●官僚機構を駆使し、遅延している瓦礫撤去、補償金等の配分、仮 設住宅建設等の復旧作業を格段に迅速に行う事。 ●これまでの東電任せと情報隠しを止めて、政府が主体となり大胆 な手段を用い原発事故を早期に収束させる事。 ●増税に頼らず、復興により東北と日本を成長させ財源をも生む東 北復興モデルの策定と実施。 菅政権は、政治主導を履き違え「脱官僚」を唱える一方、逆に財源 問題等では官僚の単なる代弁者となり、結局官僚機構を道具やシン クタンクとして、あるいは有機体として使いこなす事が出来ていな かった。 平時に出来ない事が有事に出来るはずも無く、結果は官僚に怒鳴り 散らすのみで指揮系統を確立出来ず、震災復旧が大きく停滞してい る。 原発事故対応については、発生当初から今日に至るまで一貫して、 対応の主体となる事から逃げ続け、巧妙に東電の「サポーター」的 立場を取り、事態をここまで悪化させている。 情報隠しについては、常に事態を小さく見せるため小出し楽観的な 発表に終始し、国民の健康を危険に晒すと共に国際的信用を完全に 失っている。 菅政権が想定する復興計画は、政府の復興構想会議の初会合の席で 五百旗頭議長が「復興税」の導入を提唱したように、財務省がお膳 立てした増税シナリオに乗ったものだ。 復興財源は、一旦復興債を発行し、復興需要と東北復興後の経済成 長による自然税収増による償還によって賄うべきであり、菅政権の 想定しているような十分な経済成長の見込めない志の低いものなら 、そもそも復興策の名に値せず、東北と共に日本全体が沈んで行く だろう。 ◆首班予備選挙の実施も◆ さて、菅不信任後の新政権がこれらを克服し、今よりマシな政権に なるであろうか。 筆者は、新首班の選出は、不信任決議案とセットでその数日後に賛 成議員と趣旨に賛同する参議員を加えて予備選を実施するのが分か り易いと考えている。 しかしながら、もし話し合いで決めるなら新首班は野党第一党総裁 の谷垣氏とするのが無難な線か。 仮にそうなった場合は、谷垣氏のお公家的なキャラクターを考えれ ば、実務型政治家を閣僚に多数登用して大胆に権限を移譲する必要 があるだろう。 なお、谷垣氏は、震災直後に最も早く「復興増税」に言及したが、 新政権ではその封印を明言しなければならないと筆者は考える。 新政権樹立のためには、各員が小異を捨てて大同に就く必要がある が、この点を曖昧にして新政権という訳にも行くまい。 その結果、石破茂氏のような信念の消費税増税論者は、新政権を離 れて菅氏や与謝野馨氏、玄葉光一郎氏等と新党を結成する事になる かも知れないが、元よりそれが理念に沿った望ましい政界再編の姿 である。 菅内閣に対する不信任決議案は、賛同者達が「復興救国政権」の内 容と形を国民の前に具体性と説得力を持って明示すれば成就し、出 来なければ不首尾に帰す。 以上 佐藤 ============================== 吉田所長を評価したい。 読売新聞をみて驚いたが、このコラムでFさんが紹介した福島原発の 吉田所長が、渦中の人になっている。 上からの指示に逆らって、海水注入を続けた。もしバレたら首であ ったと思いますが、保身よりも冷却を優先しました。ここが東電ト ップの官僚とは違う。 現場にこんな気骨のある人がいて、良かったと思います。管内閣は 間違っても、この人を処罰してはならない。 淵