流通研究会で水産卸会社社長のお話を聞いた。 Fより 大店法の緩和で巨大ショピングモールが誕生して、地方文化が衰退 した。このため、平成14年から16年で20%も街の魚屋さんが 無くなっている。この傾向はその後も続いている。 この小売店に卸す卸業も無くなって、H14年に1000店あった 築地の仲買は現時点750店しかない。この仲買も70%は赤字で あり、黒字は10%だそうだ。 この上に豊洲への移転で1000万円も資金が必要であり、赤字の 仲買の多くがいけない。このため、豊洲へ行けるのは450店しか ない。このため、築地卸市場の理事会でも賛成・反対が半々である。 賛成しているのは、面積の広い方がいいという理由である。反対は 移転すると着いていけない仲買がいるということだ。 スーパーは、298円とか198円という値立てをするので、卸の 価格の柔軟性もなくなっている。おいしい魚を高く買うことが出来 ない。また、スーパーとの値上げ交渉は遅く、値下げ交渉は早い。 この他に輸送費などのフィーや売上達成フィーを要求されるなど、 価格交渉力はスーパーの方が断然上の状態になっている。 中国産の魚を日本人は嫌うが、骨無し魚などの加工は日本の労賃で は高いので中国で行うことが必要である。しかし、このような加工 でさえも出来なくなっている。また、春先では台湾産うなぎの方が 日本産うなぎよりおいしい。これも日本の消費者は買わないために 、仕入れできない。昔の魚屋ならお客と会話があったから売れるが、 今のスーパーでは説明ができない。説明するとクレームを付けるお 客がいて、スーパーもしない、させないようである。 一時、欧米の魚価格が日本の価格より高く、マグロなどが世界が買 い、日本の食卓に入らないことが起こったが、現時点は円高で全般 的に安くなっている。特にタラやタコなどは暴落している。一時の 半額までなっている。キンググリップのように日本で食べる習慣が ない魚は値段が付かない状態になっている。世界景気の悪化や国内 景気の悪化が、ここでも出てきている。 もう1つ、日本の消費者は賞味期限に過剰反応している。原産地証 明も必要などで卸会社の事務量は大変になっている。賞味期限間近 のものを廃棄するが廃棄率が30%もなる。またスーパーからの木 屑が入っているというようなクレームがあると、賞味期限も関係な く、廃棄にしている。 このため、1kg廃棄で50円程度も掛かるので、賞味期限が迫っ ている魚やクレームの魚を山谷や横浜寿町、名古屋大通り公園に無 償で提供しているし、上野公園の炊き出しに使ってもらい、また手 伝っている。賞味期限は加工品で2年程度あるし、冷凍品では4年 程度ももつが日本の食糧問題から考え直す必要を感じている。