平時に自決した巡洋艦長
水城圭次
海軍大佐
昭和 2年 8月24日、島根県美保関沖において連合艦隊の夜間高速訓練中に巡洋艦「神通」と
駆逐艦「蕨」が衝突、駆逐艦「蕨」は沈没し乗組員120余名が死亡した。
査問委員会により事故の真相が解明された後、責任を痛感した巡洋艦「神通」の艦長・水城圭次
海軍大佐(海兵32期)は、昭和 2年12月26日に自宅において自決した。
多磨霊園
東京都府中市
取材協力:小村大樹氏(小野田石材店勤務、多磨霊園著名人研究家)
海軍大佐水城圭次君碑 水城圭二海軍大佐墓碑
平時にも係わらず死をもって詫びた行動を士道の鑑として、海軍関係の有志が碑を建立した。
美保関事件
基本演習における研究項目
夜間撤退する艦隊に対する巡洋艦戦隊および水雷戦隊の索敵並びに撃退法
夜間における巡洋艦戦隊の水雷戦隊に対する協同法
薄暮より夜間にわたる飛行機の艦隊接触並びに夜戦部隊との協同法
艦隊の編成
甲軍・・・伊勢、日向、龍田、由良、その他
乙軍・・・神通、那珂、蕨、葦、菱、その他
事故発生
8月24日 22:00 乙軍艦隊は美保湾を発進
23:06 左30度に伊勢型2隻を認む、神通 探照灯により友隊に通報
23:19 敵主力の後尾に接触する目的にて旋回する「神通」が、「蕨」右舷艦橋付近に45度で衝突
23:20 「那珂」が、「葦」左舷後部付近に80度で衝突
損害
神通・・・大破 蕨・・・沈没(引揚不能) 艦長以下91名死亡
那珂・・・中破 葦・・・三番砲の後方より切断跡形なし 准士官以下28名死亡
事件を惹起したる原因
神通艦長の執りたる行動
友隊の存在に考慮せず高速力にて大角度の旋回運動を行いしこと
報告接受法適切ならず旋回中の視認に対する考慮不足
甲軍艦隊の照射幻惑作用を蒙りつつあるに際し慎重を欠きたり
責任に関する意見
神通艦長・・・相当の責任あり
蕨駆逐艦長・・・なし
那珂艦長・・・懲罰令の範囲以下
葦駆逐艦長・・・懲罰令の範囲
27駆逐司令・・・懲罰令の範囲
台場公園
鳥取県境港市
美保関事件慰霊塔
碑文
この塔は、昭和二年八月二四日の暗夜、美保湾沖で、戦艦「長門」「陸奥」以下六十余隻の日本海軍連合
艦隊が大演習を行った際、巡洋艦「神通」と駆逐艦「蕨」、巡洋艦「那珂」と駆逐艦「葦」の二重衝突によって、
(地蔵崎灯台北東約二十浬〜二十四浬の地点)沈没した「蕨」と大破した「葦」の殉職者の塔である。
佐世保海軍墓地
長崎県佐世保市
駆逐艦蕨及び葦殉難者忠魂碑
更新日:2007/06/19