ネットワーク・九州第8回総会 『かたらんね、しゃべらんね☆外国籍住民との集い』報告
T.概括報告--変革前夜 移住労働者と共に生きるネットワーク九州・事務局 挽地康彦
去る2006年5月28日、ネットワーク九州の第8回総会「かたらんね、しゃべらんね:外国籍住民との集い」が開催されました。
今回の総会では、会場を大名町カトリック教会から美野島司牧センターに変更し、また
事務的な協議(2005年活動報告・決算報告/2006年度活動方針、会計報告、役員選出など)を5月17日に事務局会議をかねて行い、28日はイベントのみの企画として行うことにしました。さらにイベントの企画内容も、講師を招いての講演・各団体報告という従来の形式から、九州に在住する外国籍住民の主張・報告をメインに据える形式に変更しました。
総会当日は、福岡市内の公立中学校の運動会と重なり、また梅雨の時期で雨も心配されましたが、天候も何とか曇天ですみ、参加者50〜60名という主催者側の予想を上回る70名以上の参加者を数えました。参加者の内訳では、外国籍の参加者29名(国籍14カ国)、日本籍の参加者45名(鹿児島、大分、熊本、福岡、山口など)の総数74名で、参加者の顔ぶれからもこれまでの総会の雰囲気とは異なる趣がありました。
第一部の全体会は、ネットワーク九州の共同代表の一人であるコースマルセル神父(美野島司牧センター)の司会ではじまり、同代表の中島真一郎氏(コムスタカ)が主催者を代表して挨拶をしました。その後、8名の外国籍(ペルー、フイリピン、バングラデッシュ、アルゼンチン国籍)の住民から、日本で暮らすなかで体験した困難や苦労、それらを経験するなかで自分がどのように変わってきたかなどが、日本語や出身国の言語で報告されました。
つぎに事務的な報告と休憩をはさんで、第二部として分科会をおこないました。設けた分科会は二つで、それぞれの部会の参加者数はA分科会(テーマ:仕事・労働)15名、B分科会(テーマ:家族・教育・文化)28名でした。参加者の自己紹介の後、ここでも外国籍住民からの積極的な発言や報告がありました。分科会終了後は、二つの分科会の代表報告が行われ、閉会の挨拶をマルセル神父からいただき無事終了の運びとなりました。
全体として第8回総会は盛会に終わりホッとしましたが、総会を主催・運営した事務局としては今回ばかりは大きな賭でした。外国籍のスピーカーは集まるか、ミサと重なるが大丈夫か、会場はわかりにくくないか…などなど、数々の不安材料が形式・内容ともに「新装開店」を試みるスタッフの頭を悩ませていたのです。そんななか、前回までの総会を反省的に捉え直し、ネットワーク九州が必要だと考える総会のあり方とは何なのかを繰り返し議論し、そこでまとまった方向を信じて動いた軌跡のみが支えでした。
実現した総会は、変革前夜のお祭りのようでした。今にも崩れ落ちそうな古びた美野島司牧センターを祝祭的な空間が覆い、変革を求めて見知らぬ者たちが溢れている光景が一瞬現れた、ようにぼくの目には映りました。ココに居合わせたこと、それが変革への一歩だと信じて。
U.アンケート結果より 美野島司牧センター堀 スミ子
当日のアンケート結果を報告します。 回答者数:日本語14名、スペイン語1名、英語6名。
回答結果: 注)内容は概略。太字斜体文は回答者複数。
質問@ 今日、参加していかがでしたか?ご感想をご自由にお書きください
★知らないことが多かった。充実した話を聞く事ができ勉強になった。 ★外国籍の方が感じていることを、ご本人たちの言葉で聞けたことがとてもよかった。 ★外国人の経済的な苦しみ、ビザや仕事の困難などについての話を聞けたのはよかった。教育、信仰など日常生活でさまざまな思いや問題を抱えていることが、とてもよくわかった。 ★縁あって日本に来られたのであり、暖かく迎えるのが当然なのに、差別的な数々の事例を聞き、まだまだ日本は野蛮な国なのかと考えさせられた。 ★同じ社会、同じ環境の中で生きている外国の人たちのつらい経験や気づきに改めて考えることも多く、よい機会だった。それでも外国の人たちの力強さに励まされた。★この国の一端を担ってはいるが、個人的にも、経験からも、日本の生活に完全には溶け込めないことを殆んどの外国人が感じていると思う。もし恐怖心を拭い去ることができれば、より社会に溶け込めるし、より良い方向に向かうと思う。 ★私が経験した諸問題は私だけではないと痛感した。 ★学界や、ニュースなどが軽視するテーマが今日、公に論じられた。 ★在日外国人への支援の重要性を再認識した。 ★外国人問題=私たちの問題の観点でとりくみたい。 ★もっと多くの日本人、外国人が、このような機会に参加すれば意識や考え方が変わるだろう。 ★バングラデシュの方の「自分が何ができるか」アピールすることの大切さ、「自分独りで考え込む」ことから「情報を得ること」の大切さという話に本質的な解決になる可能性を感じた。★総会自体が日本語で行われたことにちょっとびっくり。総会をより理解するために、もっと通訳、翻訳の充実を望む。 ★集会後、色々な人と交流できて嬉しかった。
質問A 今後、私達「移住労働者と共に生きるネットワーク・九州」に望むこと又は一緒にしたいことがあれば、何でもご自由にお書きください。
★またこういう機会をもうけていただきたい。★どんなことを取り組んだら良いか一緒に学習する機会が持てたらと思う。 ★私はこういう機会でEMPOWEREDされた。もっと広げて多くの外国人に希望を与えるようにしてほしい。 ★仕事は最大の関心事であり、何か安定した仕事のサポートができないかと思う。 ★各方面との情報交換をお願いしたい。★テーマをもっと具体的に設定して討論したい。 ★情報不足のため、様々な問題が引き起こされやすくなる。行政からのよりよい情報提供が必要。 ★来年、入国管理局の職員を招待することは可能か? ★多くの人々が九州ネットの活動に参加できるよう、活動をもっとアピールした方が良い