第5回全国ワークショップIN京都(6月18、19日)に参加してきました 報告者 安倍妙子
移住連では、年に一回大きな全国大会を開いています。一年於にワークショップとフォーラムとが交互に行なわれているのです。
2005年の今年は第五回全国ワークショップでした。京都下京区の東本願寺の直ぐ傍の大谷婦人会館で、6月18日と19日、二日間にわたって行なわれました。
18日は最初の日。1時半から全体会、ここでは開会挨拶と、「移住労働者をとりまく情勢の変化」として3名(丹羽雅雄、矢野まなみ、青木理恵子、各氏)の報告があり、その後3時からは各分科会に別れて発表、意見交換が行なわれました。例年だと、会場と宿泊先はペアにはなっていないのですが、この大谷婦人会館は会場と宿泊が連なっており、両日共足を遠くに運ばずに同じ会場で交流も宿泊も含めてゆっくりする事が出来ました。
各分科会は以下の通り。
1)、難民と収容・退去強制問題
2)、DV問題と人身売買問題
3)、労働者としての権利
4)外国人の生活・医療・福祉
5)、子供の教育
6)、人種差別禁止法
7)、家族と子供の人権
8)、コミュニティ通訳
9)、日本の移民政策と市民社会の役割
私は2)分科会に参加してきました。昨年12月に改訂されたDV法が、その後どのように運営に生かされているかを知りたかったのと、また、「人身売買取引対策行動計画」を策定した後の、各地の警察の取り組みも確かめてみたかったからです。
最初に仏教者国際連帯会議・日本代表の杉浦明道氏から、タイ移住女性を中心とした人身売買に絡む事件に付いての、これまでの各警察の動きや、マスコミの取り上げ方について、1980年代から現在までを時系列に追って細かく調査した報告があり、捜査や司法の場で人身売買の被害(特に「四日市事件」と言われるタイ人女性被害の事件の諸々)はどのように理解されてきたか、いかに根強い偏見と差別意識があり、その正当防衛は認められないできたか、を怒りと悲しみが混在する思いで聴きました。捜査、司法の意識改革が必要であること、宗教者としての社会的責任は何なのかと、ご自分の軌跡も述懐されながらの杉浦氏の発言は、そのまま私たち支援者への提示にもなりました。とても激しい憤りとともに杉浦氏が語っておられる様子が、特に会場の心を惹きました。
次に、JANATIP人身売買データブックプロジェクトメンバーでもあり、
日・タイ移住女性ネットワークアドバイザーでもある斎藤百合子さんから、「人身売買者の置かれている状況はこの10年間で変わったのか?」という視点で、統計グラフと共に発表がありました。
この10年で、タイ女性たちの被害が見え難くなってきている事、これは人身売買がさらに地下で暗躍している事に他ならないか?そういう指摘がありました。杉浦さんは人身売買の受入国としての視点でしたが、斎藤さんは送り出し国からの視点での発表で、この相対的な視点は私たちもとても解り易い内容でした。
「四日市事件」は人身売買が決して廃れていないことを象徴する事件であり、政府が人身売買を本気で捉えているかどうかを今後の法の運営と睨み合わせて、私たちの外国人支援のあり方をも問われる試金石である事には間違いありません。
発表後の意見交換では、
フィリピン人であり、支援者でもあるAさんから、「人身売買禁止法が策定された事で、フィリピン人の興行ビザが取り難くなっており、フィリピン人は日本で労働がし難くなった。長期滞在ビザを改定するのは矛盾が伴う。」「人身売買から逃れる為に日本人との恋愛の中で夢を描き、幸せになることを信じて結婚した外国人女性は、ここでもやはり無知と無理解な日本人男性によって、再びDVという悲しいハラスメントの中に生きていかなければならない。」と、その何所までも深い無限のループを切々と訴えていました。
外国人であるということで、法の支援も受けにくく、運用が反映されていない今の状態をいかにして克服していくかについて、たくさん意見が述べられました。その中で通訳費のことが述べられ、女性センターで保護した外国人に付いては通訳費が予算化されていることが明らかにされました。
民間シェルターに委託した場合、一般保護委託費プラス通訳費が厚生労働省により予算化されているということです。予算化された通訳費を上手く運用していく為に、女性センターを通して是非自治体に交渉して欲しいとの発言もありました。
3時間近くの白熱した意見交換の後は、3階の広い広い畳敷きの大会場で夕食です。夕食後は同じ場所で楽しく交流会が行なわれ、全国各地からの参加者が地区ごとに前に出て、それぞれのグループや会の紹介をし合いました。
来年は北海道で全国フォーラムが初めて行なわれるなど、北海道代表の力強い呼びかけもあり、これで移住連の仲間たちも全国を縦断するつながりになりそうです。年ごとに外国人を支援する大きなうねりが起きていることを実感します。
翌19日は、再び各分科会で今後の各地での展開や更なる支援についてどのようにやっていけばよいかの協議がなされ、持ち寄った意見を更にその後の全体会で、分科会ごとに発表し合い、2日間の全国ワークショップ全行程は終了しました。
九州ネットのこの京都での大収穫は、なんといっても宮崎の新グループTさんとの出逢いでした。昨年秋に、九州ネットのメンバーIさんが宮崎のあるイベントに参加した事がきっかけで、このTさんの会との出会いが始まりました。約一年後、Tさんの会と九州ネットは京都で見事に合流しました。新たな広がりを強く感じました。
この他にもページに書ききれないほどの盛りだくさんの内容で、色々な深い情報を色々な会からたくさん得る事ができました。やはり年に一度全国の支援者の人たちと交流し情報を交換する事は、大変に意義深い事だと痛感しました。参加者も300人近くあり、大盛況のうちに終りました。
さあ、来年は北海道です。また今年のように九州ネットからもたくさんの会員が大挙して北海道へ参加できますように!