- 志津野営場駐車場の車は5台だった。曇りだった。ネイチャーセンターまでは除雪された舗装路だった。積雪は2m近かった。ネイチャーセンターからはブルトーザーで踏まれた雪道を沢沿いに登った。
- カワクルミ沼への分岐で休んでいると、約10人の山スキーの団体が「こんにちは」と挨拶しながら軽快に滑り降りていった。ブルトーザーの平らな道はやがて終わり、斜面を進む道になった。更に進むとヘルメット姿のスノーボードの二人組が華麗に滑り降りてきた。挨拶の「こんにちは」の声を聞いて初めて女性だと分った。
- 対岸の丘へ登りやすそうになった950m地点でアイゼンを付けピッケルを出した。対岸の急斜面に取付き、10mほど登って少し緩くなった所で、木の枝に目印のハンカチを縛り付けた。
- 緩く登り平坦になった標高1008m地点にテントを張った。ブナに囲まれた心地良いテント場だった。ウイスキーを飲みながら夕食前のひとときを過ごした。夜はフクロウが鳴いていた。
- 二日目も曇りだった。アイゼンを付けて出発した。最初はブナ林の登りだった。雪は比較的柔らかだった。時々日が差した。標高1190m付近から急になったのでピッケルを出した。やがて木が無くなり広い斜面になった。スキーの跡が残っていた。標高1300mで山頂への稜線に出た。
- あいにく霧が少し出てきた。霧の稜線を登っていると、まるで海外の山に登っている感じがした。所々にクラックが走っていた。身長よりも深いところも有った。いくつものクラックを左右によけながら登った。雪が硬くなりアイゼンがよく効いた。
- 最後に緩い登りになると山頂に着いた。潅木に赤いテープが着いているだけで標識は無かった。霧で展望は無かった。時々薄日が差し青空が透けて見えた。
- 寒くなってきたので山頂を出発した。やがて晴れてきて周囲の山々が見えてきた。行きに休んだ1300m地点で少し立ち止まると姥ヶ岳が迫力有る姿を現してきた。谷筋にはスキーのシュプールが有った。山スキーの好きなAさんが「あれは上級コースだね」と感想を言った。
- 1300mから樹林が出てくるまでは急斜面だったので慎重に下った。雪がだいぶ柔らかくなっていた。ブナ林になり、傾斜が緩くなってくるとテント場に着いた。
- テント撤収中に4人のスキーヤーが登ってきた。「良いテント場ですね」と声をかけられた。「行ってきます」と言って元気に登って行った。湯殿山はどうやらスキーヤーに人気の山らしかった。
- 行きに付けた目印のハンカチを回収し、往路を下った。駐車場にはこの日も車が5台有った。