The Catered Affair ★★☆

1956 US
監督:リチャード・ブルックス
出演:ベティ・デービス、アーネスト・ボーグナイン、デビー・レイノルズ、ロッド・テイラー

左:アーネスト・ボーグナイン、右:ベティ・デービス

ブルックリンの貧しい家庭で育った娘(デビー・レイノルズ)が結婚すると言い出したところ、本人たち(デビー・レイノルズとロッド・テイラー)よりもむしろ、まわりの方が、すわ結婚式ということでてんやわんやの騒動をおこし、あちこちで人間関係が歪んでしまうというストーリーが展開されます。伊丹十三の「お葬式」(1984)を結婚式版にしたような作品とでも呼べるかもしれません。「お葬式」が典型的にそうであるように、このようなテーマは、一般的にいえば、テーマのシリアスさに比べてコメディ的な扱いが施されがちであるとはいえ、「The Catered Affair」の監督は、「熱いトタン屋根の猫」(1958)のリチャード・ブルックスであり、「熱いトタン屋根の猫」ほどではないとしても、どちらかといえばシリアスなドラマに近い印象を受けます。しかも原案は「マーティ」(1955)、「ホスピタル」(1971)、「ネットワーク」(1976)のパディ・チャイエフスキー、シナリオ担当は「去年の夏突然に」(1959)のゴア・ヴィダルであり、関与している面子の名前を聞いただけで期待に胸が膨らむというものです。事実、このメンバー(リチャード・ブルックス、パディ・チャイエフスキー、ゴア・ヴィダル)から予想されるように、「The Catered Affair」は会話のダイナミズムで見せる作品に仕上がっています。個人的には、このタイプの会話主体の作品に目がない上、最近ではそのような作品が恐竜のごとく絶滅状態にあるので、この手の作品を見ると何はともあれ無闇矢鱈に嬉しくなります。さて、前述のようにデビー・レイノルズ演ずる娘が結婚しようとするところからストーリーが始まりますが、実際のところ作品のスポットライトは、娘の母親(ベティ・デービス)に当てられており、「The Catered Affair」はベティ・デービスの作品であると見なしても差し支えありません。彼女は、1960年を過ぎると「何がジェーンに起こったか?」(1962)や「ふるえて眠れ」(1965)、或いは何これ?と思わざるを得ないB級ホラー映画に出演し、名優というよりも怪優に近い存在になりますが、「The Catered Affair」においても、実際の年齢よりも老けて見えるみすぼらしいメイキャップで登場し(上掲画像参照)、これまた怪優の誉れ高いアーネスト・ボーグナインが演じる旦那と始終いがみ合う母親という相当にアクの強い役を演じています。晩年のベティ・デービスの姿に馴染んでいれば、過渡期の彼女を見ているような印象を受けるかもしれません。「The Catered Affair」は全くのコメディではなく、約95分という上映時間は、個人的な印象からすると15分ほど短く感じられ、ストーリーにもう少し展開があっても良いような気がします。とはいえ、この手の会話主体の作品が好きな人には、それなりにお薦めできる作品です。


2001/07/21 by 雷小僧
(2009/01/10 revised by Hiroshi Iruma)
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