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個人的に、この恐ろしく馬鹿馬鹿しい作品が3度のメシよりも好きなのです。パリに住むプレイボーイ(トニー・カーティス)が、3人の国際線スチュワーデスをガールフレンドにして自分のマンションに囲いますが、何と!3人とも彼のフィアンセなのです。国際線のタイムスケジュールを参照しながら、3人のスチュワーデスが互いに鉢合わせしないように四苦八苦する様子が妙に可笑しいのです。しかも、1人はブリティッシュエアライン(スザンナ・リー)、1人はエールフランス(ダニー・サバル)、1人はルフトハンザのスチュワーデスという具合に、それぞれイギリス人、フランス人、ドイツ人であり、要所要所で英語、仏語、独語が飛び交うのも滑稽です。けれども、「ボーイング・ボーイング」で最も傑作なのは、家政婦を演じているセルマ・リッターで、彼女のコメディセンスが最も光っている作品の1つではないかと思っています。また、ジェリー・ルイスが、いつものジェリー・ルイス調ではなく、自然体で演技していますが、彼の場合にはその方が新鮮に見えます。豪華アパートの一室で登場人物が出たり入ったりを繰り返すという、かつてのドリフターズを思い出させるような典型的なドタバタ喜劇ですが、そのようなマテリアルの映画作品としては、ベストの1つでしょう。ニール・ヘフティの音楽がまた愉快であることを付け加えておきます。