ドイツ出身の女優さんです。1932年にベルリンで舞台デビューした後、ナチスが政権を握るとパリに行き、ムーラン・ルージュでオペレッタに出演していたそうです。1935年の映画デビューは、イギリス作品であり、その後の10年間イギリス映画に出演した後、アメリカに渡ります。従って不思議なことに、ドイツ出身であるにも関わらず、ドイツ映画への出演は50年代になるまでないようであり、その後も数多くの米英映画に出演しています。そのようなこともあって、彼女の場合には、ドイツ出身であるというイメージがあまりないように思われます。また、マレーネ・ディートリッヒを始めとして、全体的にきついイメージを持つ人が多いように思われるゲルマン系の女優さんたちの中にあって、リリ・パルマーは、マリア・シェルなどとともにそのようなイメージを持たない数少ない例外の一人であり、極めて柔和で温厚な親しみやすい雰囲気を持っています。第二次世界大戦を舞台とする「偽りの売国奴」(1962)や「クロスボー作戦」(1965)では、密かに連合軍に味方するドイツ婦人を演じていますが、彼女の映画界における経歴からするとむべなるかなと思わせるところがあります。その「偽りの売国奴」は、1962年の公開なので、彼女は、この時既に50歳近かったはずであるにも関わらず、上掲画像からも若干分かるように年齢よりは若く見えます。なお、彼女は、一時期レックス・ハリソンの奥さんでした。 |
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