奥多摩山中で,ツキノワグマに遭遇した際の人とクマの挙動事例を掲載します。当HP情報コーナーに寄せられた情報です。目撃場所については,詳細部分は割愛してあります。
2000年
2000年-1
- 目撃日時: 2000年5月19日 11:00頃
- 気象条件: 曇り ガス
- 場所: 山梨県南都留郡西桂町方面
- 距離: 10m
- 頭数: 1頭
- 大きさ: 80cm
- その時クマは何をしていたか: 斜面を登っていた。
- その時あなたは?: 登山道を歩いていた(傾斜はゆるやかで平坦な道・周囲は無人だった)。
- クマはあなたに気づいたか?: はい
- あなたはどのような行動をとりましたか? クマはどのような行動をとりましたか?: しばらく立ちすくんでいましたが,クマが自分から木の陰に隠れて私に道を譲ってくれたような格好になったので,そのまま静かに通り過ぎた。クマは木の陰に隠れてじっとしていた,(明らかに私を認識した様子)。私が通り過ぎた後も動く気配はなかった。
- 人数:1人
- クマ避け対策:とっていなかった。
- その他気づいたことなど: クマの横を通り過ぎた際,最短で5mくらいに近づいた。当時の視界距離は,50mくらいだったと思う。山中にしては珍しく視界が開けたところで,登山道が沢を回り込むように大きく左にカーブしているところであった。クマは右側の斜面を上に(登山道からは離れる方向に)登っていた。
- 性別: 女 年齢: 38才
- 居住地:東京都区内
2000年ー2
- 目撃日時: 2000年6月2日 16:00頃
- 気象条件: 曇り ガス
- 場所: 山梨県塩山市一ノ瀬方面
- 距離: 10m
- 頭数: 1頭
- 大きさ: 130〜140cm
- その時クマは何をしていたか?: クマは登山道を遮る様にお尻を山側に頭を谷側に向け、何かを覗き込むようにしていた。
- その時あなたは?: 沢からガスが涌き上がってきて、何となくクマが出そうな雰囲気になってきたので周囲に気を配りながら帰路につく。沢を越えたあたりだったろうか、遠くの方で物音がしたような気がして立ち止まるり様子を見るが、特に何も見あたらず歩き出す。そして尾根を大きく左に回り込んで目の前の低草が視界から外れ真っ直ぐに伸びる登山道が見えたとき、その登山道上に真っ黒なクマを発見した。
- クマはあなたに気づいたか?: はい
- あなたはどのような行動をとりましたか?: 『やっぱり、いたかー』と思ったとき向こうもこちらを発見、眼と眼が合ってクマは本当に可哀想なくらいにビクッと驚いていた、その姿に『わるいことしたなー』と思った瞬間、谷側に向き直った思ったらそのまま熊笹の谷にダイブ、転がるような勢いで駆け下って行った。姿は笹薮で見えなかったが、かなり下の方まで笹の中を走る音がしていたので、転んで怪我でもしないようにと見送った。
- 人数: 2人
- クマ避け対策:
- その他気づいたことなど: 登り口に『熊に注意』の真新しい札が立ててある。足跡はダイブしたときに土を蹴っており測定不能。毛並みも良くどちらかというと若いクマではないかと思われた。私は山で何度かクマの姿や痕跡を見つけてますが、こんなに近かったのは初めてだったので結構ワクワクしてしまいましたが、相棒は初めてだったのでかなりビビッている様子でした。
- 性別: 男 年齢: 44才
- 居住地: 東京都
2000年-3
- 目撃日時: 2000年7月20日
- 気象条件: 曇り ガス
- 場所: 山梨県丹波山村大常木谷方面
- 距離: 30m
- 頭数: 1頭
- 大きさ: 90cm
- その時クマは何をしていたか?: 木に登り皮を剥いでいた
- その時あなたは?: 登山道を歩いていた
- クマはあなたに気づいたか?: はい
- あなたはどのような行動をとりましたか? クマはどのような行動をとりましたか?:立ち止まり静かに見ていると,クマは木から降りヤブに入った。
- 人数: 1人
- クマ避け対策: 鈴
- その他気づいたことなど: 前方4,50mあたりで一本の木からバキバキと音がして木片が落ちて来るのを見つけました。もしかしたらと思いましたが,さらに2、30mまで近づくと,クマがスルスルとお尻から降りて来るではありませんか。
クマは木から降りるとすぐに脇のヤブへ駆け込みましたので私は安心してクマが何をしていたのか知りたくなり,降りてきた木へ近づいて写真を撮ったりしていましたが,ふと気配を感じてクマの駆け込んでいったヤブの方を振り返りますと先程のクマが,2,30m先で鼻先をクンクンと上げ2歩3歩とこちらへ戻って来るような動きをしています。
私は距離をとろうとしましたが,このような時は背中を見せてはいけないと聞いていましたのでクマから目をそらさないようゆっくり後ずさりしながら,カプサイシンスプレーを取り出し安全装置をはずして身構えていました。
10m程後退したあたりで身を隠せる程度の木が見つかりましたのでクマとの間に木を置くようにして見ていますと,クマは先程のヤブから体の前半分程を出し,しばらく鼻先を上げクンクンと様子を調べる様な行動をしていましたが程なくクルリと向きを変え再びゆっくりとヤブへ戻っていきました。
- 性別: 男, 年齢: 49才
- 居住地: 東京都
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| クマが登っていた針葉樹 ©H.Hayashi |
クマが登っていた針葉樹 ©H.Hayashi |
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| クマが剥いで落とした樹皮 ©H.Hayashi |
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2000年-4
- 目撃日時: 2000年7月28日 11:00頃
- 気象条件: 曇り
- 場所: 東京都奥多摩町 東日原方面の登山道
- 距離: 15m位
- 頭数: 1頭
- 大きさ: 120cm位
- その時クマは何をしていたか?: 左の藪から登山道に出てきた。金曜日の平日のため他に誰も登山者がおらず,ずっと一人で歩いていたところ,前方20メートルも無いところだと思いますが,登山道の左の藪がガサガサとしました。久しぶりの人だと思ったら,いきなり藪の中から登山道に黒い物体が現れました。
- その時あなたは?: 必死こいて登っていた。
- クマはあなたに気づいたか?: はい。
- あなたはどのような行動をとりましたか? クマはどのような行動をとりましたか?: びっくりして立ち止まったら向こうもこちらに気がつき,じっとこちらを伺っていました。私は動いたら危ない,と言うより動くことができず,立ち止まったまま動かずにいました。おそらく10秒弱そのままだったと思います。クマは登山道の右側の藪に入っていきました。ガサガサする音が聞こえなくなっても,しばらくそのままじっと動かずにいました。その後,動揺していたためかなぜか私は登山を続行しました。30分ほど経ってようやく1人の登山者に会いました(私が追いついた)。クマの話を少しして私は先に行きましたが,結局その日は山頂をあきらめ,もと来た道を戻りました。歌を歌ったり独り言を大声で言ったりしながら帰りました・・・。
- 人数: 1人
- クマ避け対策: クマ対策はまったくしていなかった。
- その他気づいたことなど: 下りてから,日原の商店でクマに出会った話をしたところ,警察に届けたほうが良いと勧められ,近くの駐在所に行ったのですが警察官は不在で,駐在所の電話から青梅署(たぶん)に電話をかけ,とりあえずクマに遭った話をしました。奥多摩駅前のビジターセンターにもクマ目撃情報を届けましたが,あまり真剣に相手にされなかった覚えがあります。
- 性別: 男 年齢: 33才
- 居住地: 東京都武蔵野市
2000年-5
- 目撃日時: 2000年10月8日 14:00頃
- 気象条件: 曇り
- 場所: 東京都檜原村陣馬尾根方面
- 距離: 30mくらい
- 頭数: 1頭
- 大きさ: 不明
- その時クマは何をしていたか: 私の気配に驚いたらしく,山道をはさんで山側の斜面から谷側の斜面へはじけるように移動し,止まり,こちらの様子を見ていました。
- その時あなたは?: MTBで植林帯を下り始めました。道は極端に悪くなり,道なのか斜面なのか分からない薄暗い場所を,谷にすべり落ちないように注意しながら自転車を押しました。やがて,美しい落葉樹の森に入り,道は見違えるほど良くなったため,スピードを出して緩やかな下り道を走っていたところ,前方に何かがはじけるように動き,一瞬,何なのか判断できませんでしたが,大きな獣であることは分かりました。つぎの瞬間,山道をはさんで谷側に移動した黒いシルエットがクマであることに気づき,自転車を止めました。
- クマはあなたに気づいたか?: はい
- あなたはどのような行動をとりましたか? クマはどのような行動をとりましたか?: 前方に大きな獣の気配を感じて,自転車を停めました。直感的にクマと判断しましたが,まさかという気持ちは「シカかもしれない」とあまい期待をいだかせましたが,シカではありませんでした。次の瞬間「どうしよう」と戸惑いましたが,クマから目を離さず,背を見せずにゆっくり後ずさりをしました。クマよけのスプレーを取り出しましたが,新品で封も開けていないため,ストッパーを止めているプラスチックがはずせず,ザックからナイフを取り出すために立ち止まるよりも,その場から離れることを優先しました。幸い距離もあり,襲ってくる気配はありませんでした。クマは,動かずにこちらの気配を窺っていました。私が離れていくと山道の方まで上がったようです。その後は私の視界から外れたので分かりません。クマが山道を走って来るのではないかと,カウンターアソートの封を力まかせに切り,いつでも噴射できるように右手で構え,左手でカウベルを振りながら目的地を目指しました。その間,他のクマが出てくるのではないかと不安な気持ちでした。クマが怖いというより,クマの生息域である落葉の森に畏怖の念を感じました。
- 人数: 1人
- クマ避け対策: カウベルをならしていましたが,クマに対する警戒心は薄れていて,主にハイカーに自転車の存在を知らせるために使っていました。
- その他気づいたことなど: クマの大きさは離れていたため、また比較するものがなかったため、判断できませんでした。自分自身は落ち着いていたつもりですが、後になって考えるとかなり慌てていたのがわかります。襲ってくる気配もなかったのですから、もっとよく観察すべきだったかもしれません。しかし、その時の緊張感を思い出すと、危うきに近寄らずで良かったのだと思います。また、クマそのものが恐ろしいというよりも、そのような動物を養う山、自然そのものに畏怖の念を感じます。
- 性別: 男 年齢: 42才
- 居住地: 東京都清瀬市
2000年-6
- 目撃日時: 2000年11月18日 15:00頃
- 気象条件: 晴れ
- 場所: 東京都奥多摩町日原方面
- 距離: 30m位
- 頭数: 1頭
- 大きさ: 150cm位
- その時クマは何をしていたか?: 自分の位置から30m位下の斜面を歩いていた。
- その時あなたは: 山頂からの下山中でした。
- クマはあなたに気づいたか?: いいえ。
- あなたはどのような行動をとりましたか? クマはどのような行動をとりましたか?: クマに自分の存在を教えようと鈴を激しく鳴らしながら駆け下った。クマの姿を上からチラっと見た後は,もう見ることなく夢中で下った。
- 人数: 1人
- クマ避け対策: 鈴とカプサイシンスプレーを携帯していた。
- その他気づいたことなど: クマを見てすぐに鈴を鳴らした直後、どこか近くで「クェー」という笛とも鳴き声とも判断できない音が大きく響いた。
- 性別:男 年齢: 39才
- 居住地: 神奈川県相模原市
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