「バ計画」 (ばら寿司作戦)、後日談 −福寿司にて備前ばらすし− -2011.11.04Up

 2011年10月8日(土)、市場仲間5名で「バ計画」(ばら寿司作戦)を決行した。その時の記録は、既にこの雑記に記載済みだが、その後岡山に行く機会があった。

【岡山市・福寿司訪問】

 折角岡山に行くのだから、参考にさせていただいた「岡山の備前ばらずし」 (岡山文庫 160) の著者である窪田清一さんのお店「福寿司」にて「備前ばらずし」を頂きたいと思った。現在の店主は息子さんの様子ですが。

 三日前に電話を入れて、ばらずしの予約を入れた。

 さて当日、
岡山には19時頃に到着。ホテルに荷物をおいて早々に福寿司に出向いた。岡山駅西口の大通りを右手に向かって歩いていくと奉還町という商店街の入り口があって、まもなく福寿司の看板が見えてきた。
おぉ〜、ここがあの「備前ばらずし」の福寿司なのね!

岡山の備前ばらずし 福寿司: 岡山県岡山市北区奉還町2丁目16-17

 中に入って、「あのぉ〜あらいです」と言うと、入り口近くのカウンター席にどうぞと通される。
「すぐにお持ちしてよろしいですか?」との問いに、「はい。あとお酒を。。」と答えて、メニューから辛口の純米酒「武蔵」を選んだ。

【備前ばらずしとの対面】

 お酒を飲みはじめてまもなく「ばらずし」がやってくる。おぉ〜この器は備前焼に違いない!美しく盛られたばらずしが目の前に置かれる。すると、解説書も一枚付いてきた。じっくり読みながらお酒の杯を傾ける。また、同じく岡山文庫の「ママカリ ヒラに まったりサーラ」という本が目の前に立てかけてあったので、手にとって見ると昨年2010年に出版されていたようだ。ところどころ読みながらお酒を飲んで…と、なかなか箸に手が伸びない。
もったいなくて(^^)。。
しばし眺めながらお酒をいただく。そして、手を合わせて「いただきま〜す」。

福寿司の「備前ばらずし」、備前焼の器に入ってる。 岡山のお酒、武蔵

 目の前には、店主と思しき窪田さんがいそいそと忙しくしているが、どうぞ!っと。
「楽しみにしてきたんですよ〜」と話しながら、まずは目の前にあるタイラギに箸をのばす。タイラギは私の担当だった。

 一つ一つ味を確認しながら、ゆっくりと上飾りの品々をいただく。
本には、まずは上載せした具で酒を飲むとあるのだ。作法通りである(^^)。お店でいただいた解説にもそう書いてある。

 しばらくして、「何か分からないものありますか?」と尋ねられる。魚貝類の中に「津名子(つなし)」と記載があるが、これは何だろうと思っていた。器の中にはコハダらしきものが載っているが…と思ったが、尋ねてみると、やはりコノシロのことだという。

「どちらからで?」とも聞かれて、「○○から・・というか、○○からなんですけど。。」。
「そうですか。。シンコとかコハダとか言いますが、こちらではツナシと言うんですよ」とのことだ。

 あちこち箸を伸ばして、いろいろといただく。私が担当したコウイカが気になる(^^)が、おっ、しっかり塩味が付いている。本にも強めに塩を振ると書いてあったが、しっかりと塩味が感じられる。一つ一つの味の違いが明快な感じがした。

 そうこうしていると、隣のアベックがそろそろ〆にかかってようだ。内心よしよし(^^)。。まもなくお帰りである。

【店主との会話】

 カウンター席は、ボクだけになって店主との話もしやすい。忙しい店主との会話はポツポツだが、話しの流れで、「実は今月の初めに、ばらずし作ったんですよ〜」と話した。しばし、ボク等のばら寿司作戦の宣伝を。。春のサワラがきっかけでこうなったとか、食材調達とか。。「それは大変だったでしょうね〜、また作ろうと思いますか?」などと。。みんな、のりのりなんですよ〜などと答えたり。。

 店主もカルチャーセンターとかでばらずしの講習会を行っているらしい。
そんなこんなで、いろいろと地元の食材の話しなどもしたりしてたら、焼ママカリの酢漬けとアミの塩辛の入った小さな皿に持ってこられて、食べてみて下さいとサービスしてくれた。「普通は魚の餌ですが、ここでは人が食べるんですよ」などと。今朝の市場で箱にピチピチ飛んでいたらしい。

焼ママカリとアミの塩辛

 また、それまでに藻貝のことを「サルボウ」と口に出していたことから、魚市場の話しに及んだり、真コモの話しで台湾に話しが飛んだりなど、いろいろ話も弾んだ。

 そして、遂にばらずしも食べ終わってしまった。
混ぜ込んだ牛蒡の味わいや、サトイモの味など、また時にカリッと麻の実を噛むと感じる香りや、ところどころ柚子の香りがふっとしてくる。車海老が見事だった。大満足のばらずしでした。

 最後に幾つか握りも頂いてみたくなり、ヒラ、ママカリとサワラの握りを注文する。まさに岡山ならではの握り三品である。いずれも美味しかったが、特にサワラは絶品でした。また、ばら寿司に付いている黄ニラの味噌汁も出していただくが、この黄ニラの香りが素晴らしい。

手前より、サワラ・ママカリ・ヒラ 黄ニラの味噌汁

 ちょうど握りを食べ終わったあたりで、仕事着を着た年配の方がこられて、先日はお手紙を頂いて…と挨拶にこられた。窪田清一さんであることは直ぐに分かった。

【窪田清一さんにご挨拶】

 実は、10日ほど前にボクらの作ったばら寿司の写真入りの手紙を窪田さんに出していた。本を参考にさせてもらってばら寿司を作ったので報告します、という内容だが、詳しく書いたので、かなりの長文になってしまった手紙だった。

 お店では、手紙のことなどは全く話さなかったのだが、どうやら会話内容から私が手紙の本人だと察してくださったようだ。お店の中では、それまで見かけてなかったので、もしかしたら、わざわざ着替えてこられたのかもしれないなどと思った。

 折角の機会に会って話ができたら素晴らしいのだが・・・とは思ったが、無理強いしたくは無かった。店におられればいいなぁ〜と思ったことは確かだが、見かけられなかったので、息子さんといろいろ話しができただけでも良かったと満足していたのだ。

 ご挨拶してから私の席の隣に座られて、しばし、ばら寿司の話しなど。。そしたら、なんと嬉しいことに!、目の前に置いてあった「ママカリヒラにまったりサーラ」 (岡山文庫 266) を頂戴できるとのことで、それならと、しっかりとサインもして戴いてしまった。達筆である!。

「ママカリ ヒラに まったりサーラ」

 ばら寿司では、5人で朝から晩まで大変だったというと、講習会でも4時間ぐらいはかけているが、前の日から食材の下準備をしていると話されていた。朝日米のこと、ばらすし一般のこと、福井地方や北九州など、他にも4箇所残っているとのこと、岡山でも地域によって違っていて、山間部では、しらす干しを使ったばら寿司があることなどなど、いろいろお話を聞かせていただいた。本当に嬉しい限りである。店を出る時は写真も一緒に撮らせていただいた。

 福寿司でお話しできたらいいなぁ〜と思ってはいたが、こんな風になってしまうなんて、ホントにラッキー、かなりの驚きである。やっぱり、この一連のばら寿司計画に関しては、なにか上手くいくように仕組まれているような気がしてならないのである。

 嬉しくて、すぐに記録してしまいました。

【あとがき】

 たまたま岡山に行くことになっていて、それならと福寿司に行ってみたいと思った。一人でも「ばらずし」を予約できるのかなぁ〜などと思いつつ電話して予約した。一人で寿司屋に行くなんて事はもしかしたら初めてかもしれない。でも、今年の春からのばら寿司計画を成功させた(と思っている(^^))者としては、やっぱり原点だったお店のばらずしは是非とも食べてみたい!
 そしたら、本の著者の窪田さんにもお会いすることができた。嬉しかったですね〜

 奇跡、というほどではないにしても話としてはできすぎです。こんなこともあるんですね〜

 オ・ヒョンランさんとお会いできた奇跡以降、望みは、やるべきことをやっていれば、いずれ達成できそうな気もしているんですが、今回もそんな流れにのっていたような気がしました。 

以上、2011.10.31記載+推敲、2011.11.04アップ

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