クエ鍋パーティー 問題集付き(笑) -2009.02.21Up
「クエ」という魚をご存知だろうか。。。「食え」ではなく(笑)、「九絵」と書いたりもするそうだ。「ハタ」という魚の仲間で、とっても怖い顔をした大きな魚だが、これが素晴らしく美味しいらしい。。。ところが、重量は10kg以上はざらで、値段もキロ1万円以上するのも当たり前という魚である。大昔にどこかの温泉宿で、クエの一口大の四角い切り身の煮付けを食べたことがあるが、身が締まっていてとっても美味しいと思った記憶がある。
「美味しんぼ」という漫画の中でも、初期の頃「アラ」という名称で紹介されたことがある。九州ではクエのことをアラと呼ぶらしいが、漫画では第10巻で「アラ鍋」を題材に使っていた。
【経緯・背景など】
さて、既に昨年のこの雑記にも記載してあるように、昨年の夏頃から市場通いがエスカレートして、これまで以上に魚を求める気持ちが強くなってきてた。前からとっても気になっていたオオモンハタ(市場ではゴマアラと表示されていた)を購入したのだが、その美味しさに感動してハタ系の魚にとても興味が湧いたのだ。
また、やはり以前から興味をもっていた「築地土曜会」なる会に参加する機会をえた。これは、市場魚貝類図鑑を主宰する「ぼうずコンニャク」氏を囲んで築地魚市場でお買い物をしよう…との会だ。魚貝類のことを調べるためにネット検索すると必ず市場魚貝類図鑑に行きつく。そんなことから、その図鑑の存在はかなり以前から知っていた。築地土曜会のコアメンバーの方々は美味しい魚貝類を追求するかなりディープな方々である。下記掲示板をご覧あれ。
市場でお買い物掲示板 --- 美味しい魚貝類に興味があるなら必見!とってもディープなので、記載内容を理解できればたいしたものだ(笑)。
前回の築地土曜会に参加して、私は「キジハタ」(関西ではアコウ、市場ではアズキハタ)等を購入した。ボクには、アカハタ、オオモンハタに続いて三種類目のハタ系のお魚だった。
ところで、ボクは時々美味しい食材や料理をテーマにしたパーティー、「X」計画シリーズを開催している。これまで、「パエリア」、「蕎麦」、「魚介バーベキュー」といったテーマで会を開催してきたが、是非冬場に「鍋」をテーマにして行いたいと前々から思っていた。当初は、鍋奉行を募集して、3種類ぐらいの鍋を作って色々な鍋を同時に楽しもう…ということを考えていた。そんなことを考えていると、どうしても「クエ鍋」に思いが行くのだが、めったに手に入る魚ではない。いつも行く近くの市場ではクエを見かけることは極々稀だし、あってもデカくておよそ話しにならないことが多い。ましてや日時指定で手ごろなクエを入手するなんて不可能に近いことだ。
そんなことを考えていた時に、先に紹介した「築地土曜会」に参加した。すると、そのメンバーの中にはクエに並々ならぬ思いを抱いている方々がいることが判明した。そして、市場を一緒に歩いて知り合ったH・Kさんは、クエ調達のルートを持っていることを後日知った。そこで、さっそく相談!ご協力を頂けるとのありがたいご返事を頂いた。
さて、皆さんのご都合も聞きながら、クエ鍋計画は2月7日(土)に決行することにした。2月の第一週は節分(3日)があって、今年は初午(6日)もこの週です(←だから何だ!と思われるでしょうが、ボクには重要!)。
12名の参加です。
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今回参加した12名の相関関係図: 接点はそれぞれ違っているので、ある意味ゴチャゴチャの友人・知人集合体だ(笑)。海外から参加の方もいて、ブータン土産持参で来られた。 |
そして、7日(土)開催に合わせてクエ調達のお願いをしたのでした。H・Kさんは、ボクの我がままなお願いにご尽力くださって、前日6日の午後、6.4kgのクエが長崎より築地経由で到着しました。まさに自然の恵み!ありがたいことです。
そして、H・Kさん本当にありがとうございました。
早速、参加予定の皆さんに写真付きのメールで連絡です。皆さんから、感動の祝メールがきたり、顔がほころんでしかたがなかった…という方など。。。
さて当日。
市場で野菜を仕入れて会場へ。ほとんどの皆さんはお昼頃に会場に集合、皆で写真をパチパチしながらクエを捌きはじめました。捌き人はボクです。当然クエを捌くのは初めて。事前にYouTube の映像を見て勉強しておきました(笑)。
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長崎から到着したのは6.4Kgのクエでした。 |
鱗が付いたまま皮を包丁で削いでいきます。 |
真っ白な身になりました。上には肝がみえます。 |
クエは、鱗が付いたまま皮に包丁を入れて削いでいきます。鱗が付いた表面の薄皮を削ぐと真っ白な内皮が出てきます。奥殿巣板の天然砥石で研いだボクの使い慣れた細身の洋包丁は、見事に表面の薄皮を削いでくれました。初めてにしては我ながら見事です(笑)。皮を丁寧に削いで、次は大きな出刃包丁で解体です。頭を落とすのが大変でしたが、何とか解体できました。
身の一部はお刺身に、残りは鍋用に大きめにブツブツ切って、アラも手ごろな大きさに処理できました。アラは、お湯でざっと下処理して準備は完了です。
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クエの皮ベルト(笑)。C.Kさん、素敵! |
【鍋の手順: クエ鍋 → クエ雑炊、12人前】
- 準備: 土鍋10〜11号、2個
- 食材: クエ6.4kg、白菜一個、下仁田ネギ10本、椎茸一箱、大根一本、水菜少々
- 調味料: 羅臼昆布
- ポン酢: ポン酢は、私が何年も前に仕込んでおいた自家製ポン酢(秘蔵状態だった)です。かなりこだわって作ったポン酢も、やっとクエ鍋で日の目をみました(笑)。
- 事前に、土鍋に水(おいしい水)を張って羅臼昆布を多めに入れておく(数時間〜一晩程度)。
- 火をかけて、沸騰前に昆布をとりだす。
- クエのアラを投入して、アクを取りながら火を入れる。
- 切っておいた白菜、椎茸、ネギ、大根を入れて、沸騰させる。
- クエの身を入れて、火が通ったら出来上がり。ポン酢で食べる。
- 食べつくしたら、野菜とクエをいれて火を入れる(以下、4〜6を繰り返す)。
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クエの身、こんなぶつ切りを豪快に鍋にする! |
クエ鍋できあがり! |
【クエ雑炊】
- 残ったスープで雑炊
- 炊いたご飯3合を入れて、塩・醤油で極薄く味付けして炊く。
- 最後に溶き卵を入れ、蓋をしてちょっと火を入れて半熟状態で出来上がり。
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クエ雑炊:もう満腹です。 |
【クエ刺し】
- さて、鍋ができるまでに、先ずはクエ刺しを堪能します。
- 独特の食感です。初めてです。うまく表現できないが、噛んだ際のサクサクした感触が不思議な感じだ。淡白だがしっかりした旨みと味わいがあります。もう一晩寝かすと、更に旨みが増すような気がする。
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クエ刺し:真っ白で良く分かりませんが、お刺身はピカピカ光っています。 |
【感想など】
- 美味しかった〜〜
- 他に喩えようがありません。これは皆の一致した見解でした。
- 敢えて表現すれば、
しっかり締まって歯ごたえを感じるきめ細かい白身、脂はさわやかに適度にあって決して脂ぎっていない、コラーゲン層の感触はプルプル感、噛む程にじわっと感じる旨み、お刺身では独特のサクサク感(バサバサ感は全くなし)・・・というような感覚でしょうか。。。
- これまでも強い記憶に残る幾つかのテイストがありますが、今回また新たな1ページを追加することになりました。
- お酒と珍しい食べ物やつまみ等、差し入れやその他の食材を紹介します。
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- 「石鎚 無濾過純米 槽搾り」 石鎚酒造(愛媛県)
- 「高正宗」 隠岐酒造(島根県・隠岐)
- 「桜花吟醸酒 (本生)」 出羽桜酒造(山形県)
- 「繁桝 雄町 純米吟醸」 高橋商店(福岡県)
- 「FAU 2007」黒糖焼酎初留取り 奄美大島開運酒造(鹿児島県)
- 「泰明」麦焼酎 藤居醸造(大分県)
- 「請福ファンシー」琉球泡盛 請福酒造(沖縄県)
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- 生カラスミ (HKさん手作り)
- 十六島岩海苔(うっぷるい岩のり) (島根県)
- ヤクのチーズ (ブータン)
- 白いカチカチチーズ (ブータン)
- 乾燥ナツメグ、乾燥ガヴァ等 (マレーシア)
- グリーンオリーブ (?)
- 味噌漬けチーズ、胡椒風味チーズ等々 (?)
- 味エイ(エイヒレ) 宮崎商店(長崎県)
- その他、チロルチョコ(さくらもち しお)、ポテト?、のし?、節分福豆、等々
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【問題集】
「X」計画シリーズでは、話題提供と学習を兼ねて毎回問題を作成して出題している。今回も、テーマに関連して下記の四題を準備したので紹介しよう。解答はまだ記載してないけど。。。(これまでの問題集もいずれ紹介したいと思っているが。。)
- [問1] 現在「なべ」を表す漢字としては、金篇に「咼」(カ、カイ)、つまり「鍋」という字を使っている。ところが、大昔最初は別の字が当てられていたようです。その後、その字と現在の「鍋」との両方が使われるようになり、いつの間にか「鍋」だけになってしまったとのことです。平安時代中期に作られた辞書『和名類聚抄』(わみょうるいじゅしょう、931-938年頃)には二つ漢字が書き分けられている。さて、最初に使われるようになった「なべ」の漢字とはどのような字だったでしょうか? 鍋の歴史を想像・考察してみるとよさそうですが。。。
- [問2] 鍋料理だが、元々は囲炉裏端で鍋をつるして薪を炊きながら料理して食べていたものが、木炭を火床とした七輪を座敷にもちこんで食卓に出すようになっていった。
さて、このように食卓で鍋料理を食べるようになったのは、いつの頃からでしょうか? 次の中から選択してください。
1.鎌倉時代、武士の世の中になって食事のあり方が変化して、鍋を食卓に持ち込む文化が発生した。
2.江戸時代初期、戦乱の世が落ち着いて、野外で食べていた鍋を家の中に持ち込むようになった。
3.江戸時代後期、日本料理そのものが成熟していくのに合わせるように、鍋料理も江戸時代末期に食卓へ持ち込まれた
4.明治時代、海外の文化が入り込んで肉を食べるようになり、牛鍋やすき焼きなどの鍋料理を食べるようになって食卓に広がった。
- [問3] さて、世界にはどんな鍋料理があるだろうか。。。
中国では、鍋料理を「火鍋」(フォクオ)という。四川や重慶などの内陸では、唐辛子で真っ赤になった汁に、肉や野菜など多くの食材をしゃぶしゃぶ風に泳がせて食する鍋がある。真ん中で波型に仕切られた鍋を使って、味の違いを楽しむことができるのが特徴の一つでもある。
韓国では、「チゲ」という鍋を食卓に出すのがごく普通に行われている。豆腐のチゲ、魚介のチゲなど種類はさまざまである。鳥一匹を丸ごと煮込んだサムゲタン、ジャガイモと骨付き豚肉をヤンニョムで煮込んだカムジャタン等々数多くの鍋料理がある。タットリタンという韓国の歌手オ・ヒョンランさんが好きな鍋もある。
西洋では、「チーズフォンデュ」や「オイルフォンデュ」、「ブイヤベース」等がある。チーズフォンデュは、チーズ(主にエメンタールチーズとグリュイエールチーズの2種類)を白ワインで溶いた鍋にサイコロ状に切ったパンを金串等で鍋に入れて溶けたチーズを付けて食するものである。本場のチーズフォンデュはチーズを溶かしたワインで酔っ払ってしまうほどだ。オイルフォンデュは、衣の無い串揚げで、金串で肉や野菜、魚介類を刺して、そのままオイルの鍋で素揚げして食べるものである。
「ブイヤベース」は南フランスを中心とした鍋料理で、魚・海老・ムール貝等々様々な多くの魚介類を煮込んだ鍋で、トマト風味を加えることもあるが、基本はやはりサフランである。味は、『野菜を入れない「たらちり」にブイヨンを落としたような味になる』…との表現もある。
さて、このブイヤベースだが、サフラン同様欠かすことのできない香辛料があるのだが、さてこの香辛料とは何だろう?
- [問4] クエ Epinephelus bruneus はスズキ目ハタ科マハタ属の魚だが、同じマハタ属の魚で市場に流通している魚には、アカハタ Epinephelus fasciatus、キジハタ Epinephelus akaara、マハタ Epinephelus septemfasciatus、オオモンハタEpinephelus areolatus等がある。
クエは、九州ではアラと呼ばれているが、実は「アラ」という標準和名の魚は別にいる。アラNiphon spinosusはハタ科アラ属に属する魚であり、このアラも市場に流通することがあるが極めて稀で珍しい。キジハタは関西ではアコウといってかなりの高級魚である。アズキマスと呼ばれるところもあるようだ。築地など市場ではアズキハタと表示されていたりするが、標準和名のアズキハタとは別の魚である。オオモンハタは市場ではゴマアラと表示されることがある。このように、魚の名称はいろいろで地方によって呼び方が違うことも多々ある。そのため混乱しやすいので注意が必要である。
さて、この超高級魚のクエだが、2008年3月頃クエに関する食品偽装事件があった。この時にクエと偽って販売された魚はなんという魚だったでしょうか?
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