続・惑星の数はいくつなの? -2006.09.03Up

 8月24日、国際天文学連合(IAU)で結論がでました。

 冥王星を惑星から外して惑星は8個に決めたとの事である。同時に「惑星の定義」も決めた。当初は惑星12個案から始まり、紆余曲折して惑星8個に決まった。この結論を皆さんはどう思うのだろうか?

 以下はボクの感想や意見である。

  • 冥王星、可哀想だな〜という思いが率直なところだ。今まで75年もの長い間仲間に入れておきながら、いろいろと世間情勢がわかってきたから、もう君は仲間じゃないよ!と宣言したということだが、それは冷たいんじゃない・・・という気分だ。
  • エッ!科学的じゃないって。。。そりゃそうです。「すいきんちかもくどってんかいめい」は学問やサイエンスというよりは、既に社会通念や生活文化に根ざしたものです。76年前の冥王星の発見いらい、惑星は9個として一般社会に認知され続けてきた訳ですから。75年間ということは、今地球上に生きている全ての人間が信じて(理解して)いる事柄といって良い。ボクらにはそれで何の問題もないし。。。量子力学や高等数学のようにごく一部の専門家が対象にしていることではないのだ。
  • だからボクは、もうそのまま9個でいいじゃん!という感じだ。

  • それを天文学者と称する、それも極一部の人たちが、ある日突然誰に断りも無く自分たちだけで決めようという姿勢がそもそも傲慢不遜に思える(天文連合総会での決議自体も、約250人:150人ということだからかなり多くの反対意見があったのも事実だ)。だいたい科学者という人種はそもそも世間知らずの人間が多いのだ。(と、はしくれの一人が言う。)
  • TVに出てくる天文学者は、今回科学的に明確にできたことは意義深いなどと言うが、ボクには、今回決められた「惑星の定義」なるものも科学的な表現とはおもえない。『その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。』という表現など、およそ科学的な表現とはいえまい。「近く」とはどこまでをいうのか?「際立って目立つ」とはどのレベルから言えるのか?と思ってしまう。
  • 確かに冥王星はその大きさや軌道など確かに違うと、ボクら人間の感性は感じる。その冥王星を外すためにはどう言葉にすれば良いのかという思惑が作った定義文にしか思えない文章だ。
    つまり、『科学的な情報に基づいて惑星の感覚的な新しい定義』をしたと思えた。

  • もし新しく決めたいなら、天文学として新しい言葉(概念)を科学的に定義したらいいじゃん!。

 と主張したところでどうしようもないのだが、この思いは記録しておきたい。ボクの大好きな「宇宙」の事柄だからだ。


国立天文台のHPより引用: 原文はここ

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 国際天文学連合:太陽系における惑星の定義 

 現代の観測によって惑星系に関する我々の理解は変わりつつあり、我々が用いている天体の名称に新しい理解を反映することが重要となってきた。このことは特に「惑星」に当てはまる。「惑星」という名前は、もともとは天球上をさまようように動く光の点という特徴だけから「惑う星」を意味して使われた。近年相次ぐ発見により、我々は、現在までに得られた科学的な情報に基づいて惑星の新しい定義をすることとした。

決議

 国際天文学連合はここに、我々の太陽系に属する惑星及びその他の天体に対して、衛星を除き、以下の3つの明確な種別を定義する:

(1) 太陽系の惑星(注1)とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、 (c) その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。

(2) 太陽系の dwarf planet とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(注2)、(c) その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である。

(3) 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(注3)は、Small Solar System Bodies と総称する。

注1: 惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つである。

注2:基準ぎりぎりの所にある天体を dwarf planet とするか他の種別にするかを決めるIAUの手続きが、今後、制定されることになる。

注3:これらの天体は、小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュニアン天体(訳注1)、彗星、他の小天体を含む。

冥王星についての決議

 国際天文学連合はさらに以下の決議をする:

 冥王星は上記の定義によって dwarf planet であり、トランス・ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例として認識する。

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訳注1:トランス・ネプチュニアン天体は、海王星より遠方にあって太陽の周りを回る天体で、今まで国立天文台ではエッジワース・カイパーベルト天体と表記してきました。


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以下、IAU原文の全て より抜粋。

RESOLUTIONS

Resolution 5A is the principal definition for the IAU usage of “planet” and related terms.

Resolution 6A creates for IAU usage a new class of objects, for which Pluto is the prototype. The IAU will set up a process to name these objects.

IAU Resolution: Definition of a “Planet” in the Solar System

Contemporary observations are changing our understanding of planetary systems, and it is important that our nomenclature for objects reflect our current understanding. This applies, in particular, to the designation “planets”. The word “planet” originally described “wanderers” that were known only as moving lights in the sky. Recent discoveries lead us to create a new definition, which we can make using currently available scientific information.

RESOLUTION 5A

The IAU therefore resolves that planets and other bodies in our Solar System, except satellites, be defined into three distinct categories in the following way:

(1) A “planet”[1] is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape, and (c) has cleared the neighbourhood around its orbit.

(2) A “dwarf planet” is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape[2], (c) has not cleared the neighbourhood around its orbit, and (d) is not a satellite.

(3) All other objects[3], except satellites, orbiting the Sun shall be referred to collectively as “Small Solar-System Bodies”.

IAU Resolution: Pluto

RESOLUTION 6A

The IAU further resolves:

Pluto is a “dwarf planet” by the above definition and is recognized as the prototype of a new category of trans-Neptunian objects.1


[1] The eight planets are: Mercury, Venus, Earth, Mars, Jupiter, Saturn, Uranus, and Neptune.

[2] An IAU process will be established to assign borderline objects into either dwarf planet and other categories.

[3] These currently include most of the Solar System asteroids, most Trans-Neptunian Objects (TNOs), comets, and other small bodies.