『Dr.SLUMP』(劇場作品)、『Dr.スランプ映画編』(小説版) レビュー

最終更新日: 2004/07/04


Dr.SLUMP (劇場作品)

筆頭ではありますが…

1982年7月公開の劇場作品、原作: 鳥山明。

ストーリー: 山吹先生が宇宙の彼方、タケヤサオダケ星に住む育ての親が病気になったとの報せで国に帰ったしまった。 山吹先生と離れたくない則巻千兵衛一行は、宇宙船を作り山吹先生を追ってタケヤサオダケ星に向かう。 タケヤサオダケ星に行ってみると、病気の話はウソで、宇宙の独裁者マシリトが山吹先生をおびき寄せるわなだったのだ。 宇宙最強のロボット、アラレちゃんとマシリト軍の壮絶な戦いが始まった。

感想: 脚本が4人なので、どういう役割分担なのかはよくわかりませんが、正直なところあまり雪室色の濃い作品とは言えないようです。
TV版のほのぼのとしたギャグの雰囲気とはちょっと志向を変えて、「最強兵器」アラレちゃんを起用した宇宙戦争ものという作品作りになっています。 雪室ファンには下記の小説版の方がおすすめかも…


Dr.スランプ映画編 (小説版)

文庫本です。

1982年7月15日発行、集英社文庫コバルトシリーズ、原作: 鳥山明。

ストーリー: 映画版『Dr. SLUMP』とあらすじは同一で、則巻千兵衛一行が誘拐された山吹先生を追ってタケヤサオダケ星に向かい、独裁者マシリトと戦うというものです。 本文中にも、2ページに1枚づつ映画のシーンが掲載されていて、知らない人が見ればただの映画の焼き直し本のように思うでしょう。
しかし、内容は文章向けに完全に書き直されていて、ストーリーも後半はかなり違っています。 映画は普通の戦闘シーンがかなり続きますが、小説はほとんどギャグ決戦になっています。 また、小ネタが各所にちりばめられていて、映画よりはかなり雪室色が強い作品です。

感想: 映画の方は4人連名の脚本でしたが、この小説版の方は雪室さんが一人で書きたいように書いた作品ではないでしょうか? いきなりペンギン村の住民票の話から始まり、話の各所にストーリーにあまり関係ない蛇足的な小ネタが満載です。 トイレを作り忘れた宇宙船の中で歌われる『モレモレロック』は、ぜひ映画版で実現してほしかったです。(笑)
古本は、古本屋やヤフオクなどで結構見ますので、入手は比較的容易です。



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