『ドロロンえん魔くん』レビュー

最終更新日: 2001/05/27

 雪室氏が脚本を書いているのは、第4話「妖怪たたみ返し」、第7話「妖怪あすなろ小僧」の2話です。 『ゲゲゲの鬼太郎』と登場人物の構成がかなり似ているのですが、雰囲気は少し違います。雪室氏の作品だけで見ると、『鬼太郎』の方が凝ったストーリー展開で作られていると思います。


第7話「妖怪あすなろ小僧」(1973/11/15放映)

結構こわいです

ストーリー: 地獄界を抜け出て、人間になりたいと思っているあすなろ小僧だが、猫を食べたりするので、気味が悪くて子供たちに嫌われる。 子供の妖怪であるが、かなり手強く、えん魔くんは苦戦する。

感想: あすなろ小僧は元々人間と仲よくしたいという気持ちがあるので、彼を嫌う人間たちや、戦うえん魔くんたちに逆ギレを起こす。 「人間を殺して、人間になってどうするの?」と雪子姫に諭されても、あすなろ小僧は聞く耳を持たなくなってしまう。 単なる悪玉よりも、こういうキャラクターは怖い。
そしてこのストーリーは、人間の悪人たちだって、最初から悪人であるわけではない、というメッセージも伝えているのだと思います。だから、悪人を更生させるためには、決して「退治する」ことが解決ではないのです。
この話の最後は、人間界の凶悪事件の新聞記事が飛んできて、どっちが地獄なんだか、というシーンで終わる。人間界と地獄界の相対性、さらには、善人と悪人との相対性といったことを書こうとした作品なのでしょう。



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