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2015.12.1mf更新
弁護士河原崎弘

不動産競売の取下げ

相談:不動産
銀行と融資のことでトラブルのなり、返済しないでいたら、別荘の競売申立をされました。入札期日がもうすぐ決まるそうです。
この別荘は、手放したくないので、今、銀行と話合いをしております。最悪の場合には、銀行に返済しようと思っています。いつまでに、解決して、競売を取下げてもらえば、大丈夫ですか。
相談者は法律事務所を訪れ、弁護士の助言を求めました。

助言
競売 の取下げは、今なら、大丈夫です。そこで、早く、銀行と和解をし、競売を取下げてもらうとよいでしょう。
不動産競売申立の場合、印紙や切手のほかに、不動産の現状や価額を調べるための費用が必要です。この費用として競売申立人は80万円くらい(土地1つ、建物1つの場合)を予納します。競売の手続きが進むと、この費用が使われます。競売の取下げをする場合、相手(銀行)は、あなたに対し、この費用の負担を求めるでしょう。 そこで、早く取下げした方が、申立人(銀行)の負担は軽く、ひいては、あなたの負担は軽くなります。
なお、入札期日に、誰かが入札すると、取下げは簡単ではありません。買受申出人が出た後は、取下げには、その同意を得る必要があります(民事執行法76条)。その場合、買受申出人から金銭の要求を受けるでしょう。

取下げ時期取下方法
買受申出前まで取下げ自由
買受申出後、開札し、売却許可確定前最高価買受申出人および次順位買受申出人の同意が必要
売却許可決定確定後、代金納付まで買受人の同意が必要
買受人が代金納付後取り下げできない

関連相談:不動産
住宅ローンの支払いを怠り、自宅が競売されました。親が融資してくれることになりました。競売は既に実施され、先日、自宅を買った人が自宅に「出てくれますか」と言って、来ました。買った人は、まだ代金を払っていないそうです。
親は、すぐにでも、銀行に返済しようと考えています。まだ、競売を取下げてもらえますか。
相談者は法律事務所を訪れ、弁護士の助言を求めました。

助言
入札期日に、誰かが入札し、執行官が開札し、最高価買受申出人が決まると、競売 の取下げは簡単ではありません。入札後、開札し、買受申出人が出た後は、取下げには、買受申出人および次順位買受申出人の同意を得る必要があります。さらに、買受人が代金を納付すると、取下げできません。
そこで、売却許可決定確定前なら、執行抗告を提出し(民事執行法72条)、確定を止め、銀行に競売申立を取下げてもらうとよいでしょう。しかし、買受人の同意が必要ですので、買受人に相当のお金を支払う必要があるでしょう。
執行抗告は売却許可決定から1週間以内に提出する必要があります(民事執行法10条2項)。

買受人が代金納付後はその不動産を買戻しするしかありません。やはり、相当のお金をプラスしないと、買戻しは難しいでしょう。

関連相談:任意売買
うつ病になり、住宅ローンの支払いができなくなり、自宅が競売されました。競売では、安い値段売れてしまうと聞きました。任意売買で売ろうと考えています。
いつまで、売って、銀行に返済すればいいですか。

助言
競売では、比較的安い値段で売られます。そこで、競売物件を任意に売り、代金を債権者(競売申立人、抵当権者)に支払って、競売を取り下げてもらう方法があります。
前述の通り、競売の取下げは、開札期日前日までに する必要があります。


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