[件名]特定外来生物等の選定について
[宛先]環境省自然環境局野生生物課
[氏名]日野 迪夫
[郵便番号・住所]〒105-0014 東京都港区芝3-1-14 日本生命赤羽橋ビル6F
(財)世界自然保護基金ジャパン 事務局長
[電話番号]03-3769-1772
[FAX番号]03-3769-1717
[意見]

<特定外来生物の指定対象とすることが適切である外来生物について>

1.対象となる種
 今回、特定外来生物第二次指定候補となっている生物(哺乳類、両生類、魚類、昆虫類、無脊椎動物、植物、1亜科、6属、35種(42種類)について

2.意見の概要(100字以内)
 42種類、全種について、特定外来生物指定することに賛成である。また、第一次指定種と同様、実効性のある防除計画を可及的速やかに立て、実行に移すべきである。

3.意見及び理由
 今回、特定外来生物第二次指定候補として意見を求められている種については、特定外来生物等分類群専門家グループ会合および特定外来生物等専門家会合における議論、更にはNGOからの資料等を参考にされ、指定対象として適切に検討されたと考える。しかしながら、第一次指定に加え対象種が倍増したことにより防除事業がおろそかにならぬよう、十分な予算を確保し、実効性ある防除計画を可及的速やかに立てると共に、防除事業を実行に移すべきである。また、外来生物による被害が起こっている市町村など隅々まで外来生物に関する問題が周知徹底されておらず、普及啓発、環境教育についても力を入れるべきである。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

<第3次特定外来生物として指定すべき外来種について>

1.対象となる種
 フェレット
2.意見の概要(100字以内)
 要注意外来生物リスト(以下、要注意リスト)に上げられているが、東京都や愛媛県などから散発的な野生化情報は得られており、ペットとして飼育されている個体は多く、野生化すると在来種の捕食等の危険性があるため特定外来生物として指定すべきである。
3.意見及び理由
 要注意リストの摘要には、「我が国への輸入個体は、ほとんどが去勢・不妊、臭腺除去手術が施されている。」と明記されているが不妊去勢手術をしていない個体を繁殖させ販売している動物取扱業者も多数いると聞く。肉食性である本種が野外へ遺棄、逸脱した場合、在来生物相に与える影響も大きいことから特定外来生物として指定すべきと考える。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 インドクジャク
2.意見の概要(100字以内)
 特定外来生物に指定すべきである。地表性の昆虫や両生・爬虫類の捕食行動がさかんであり、これらへは大きな脅威となる。固有種がいると考えられる島嶼という限られた場所での生息数増大は、問題が大きい。
3.意見及び理由
 地表性の昆虫や両生・爬虫類の捕食行動がさかんであり、これらへは大きな脅威となる。固有種がいると考えられる島嶼という限られた場所での生息数増大は、問題が大きい。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 コブハクチョウ
2.意見の概要(100字以内)
 特定外来生物に指定すべきである。各地で飼育されているものの子孫が分散して定着、巣の防衛行動が激しいため他の水鳥の営巣を阻害する。他の鳥の生息妨害行為がはっきりしているので、指定の緊急性が高い。
3.意見及び理由
 各地で飼育されているものの子孫が分散して定着、巣の防衛行動が激しいため他の水鳥の営巣を阻害する。越冬地でも、他のハクチョウ類を追い払う行動が観察されている。他の鳥の生息妨害行為がはっきりしているので、指定の緊急性が高い(大畑1987、1990.神谷2003)。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、専門家の爬虫類・両生類グループ会合の委員からも「特定外来生物に指定されないのはおかしい」と指摘されている。最優先して本種を指定すべきである。
3.意見及び理由
 毎年大量に輸入され幼体がミドリガメとして市販された結果、ここ40年ほどで日本各地に繁殖集団を形成している。本種が定着した場所で在来の淡水ガメが激減している。成体は顎の力が強く攻撃性も高いため幼児などへの直接的な傷害も予想される。第三次特定外来生物の最優先指定種とすべきである。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 ヒョウモントカゲモドキ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、同種は、寄生性の原虫クリプトスポリジウムの感染率も高く、様々な野生爬虫類への蔓延が懸念されている。全国各地、南西諸島でも販売されている。在来希少種に感染する可能性も高い。
3.意見及び理由
 奄美大島で飼育の例があり、また、沖縄のペットショップでもヒョウモントカゲモドキが販売されていた。南西諸島で流通、販売の実態があり、希少種のオビトカゲモドキに対して感染する恐れも懸念される。また、在来の野生爬虫類への感染などを伝播する危険性があり、早急に指定すべきである。
根拠となる出典:奄美大島における外来生物種に対する住民意識調査および逸脱・遺棄の実態調査報告 (2004年度)
http://www.wwf.or.jp/lib/wildlife/20050607amami-ivs/index.htm

1.対象となる種
 ブラウントラウト
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。競争により在来のアメマスを駆逐した例が知られている。
3.意見及び理由
 北海道では1980年以降、私的な放流により分布が拡大しつつある。競争により在来のアメマスを駆逐した例が知られている。在来種への影響を考えると、現段階で指定すべきである。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 タイリクバラタナゴ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。在来のニッポンバラタナゴと容易に交雑して遺伝子汚染を引き起こす。
3.意見及び理由
 在来のニッポンバラタナゴと容易に交雑して遺伝子汚染を引き起こすだけでなく、産卵母貝を巡る競争によってゼニタナゴを駆逐した例が知られている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 ニジマス
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。イワナ属魚類との産卵場所をめぐる競争が起こっている。放流地によっては希少水生昆虫に対する捕食も懸念されている。
3.意見及び理由
 イワナ属魚類との産卵場所をめぐる競争が起こっている。放流地によっては希少水生昆虫に対する捕食も懸念されている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 ブラウントラウト
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。競争により在来のアメマスを駆逐した例が知られている。
3.意見及び理由
 北海道では1980年以降、私的な放流により分布が拡大しつつある。競争により在来のアメマスを駆逐した例が知られている。在来種への影響を考えると、現段階で指定すべきである。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 カワマス
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。在来のイワナやヤマメとの生息空間や餌をめぐる競争、前者との交雑による遺伝子汚染が起こる。
3.意見及び理由
 在来のイワナやヤマメとの生息空間や餌をめぐる競争、前者との交雑による遺伝子汚染が起こっている。生態系への影響を考えると現段階で指定しておくべきである。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 グッピー
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。メダカの生息地に侵入すると、メダカは駆逐される。
3.意見及び理由
 メダカの生息地に侵入すると、メダカは駆逐される。沖縄島では琉球型メダカが絶滅に瀕している。島嶼地域での防除事業が急務である。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 セイヨウオオマルハナバチ
2.意見の概要(100字以内)
 特定外来生物に指定する方向で検討されているが、年内に特定外来生物として指定すべきである。営巣場所と花資源をめぐる在来マルハナバチ類と競合、在来マルハナバチ類に受粉を依存していた植物の種子繁殖阻害、在来マルハナバチ類との交雑・繁殖撹乱が危惧される。
3.意見及び理由
 1991年に日本での導入が開始され、1996年の北海道門別町での自然巣の発見により定着が確認された。現在年間6万コロニー以上が輸入され、全国で使用されている。現在27都道府県の野外で4300頭の逸出あるいは定着個体が確認されており、1996年から2004年8月までに島根県で1巣、北海道胆振・日高支庁で15巣、渡島支庁で1巣の自然巣が発見された。特に北海道では胆振・日高以外でも石狩支庁、網走支庁など各地で定着が進む。低地だけでなく高標高地域への侵入も起きている。本種の定着に伴い、(1)営巣場所と花資源をめぐる在来マルハナバチ類と競合、(2)在来マルハナバチ類に受粉を依存していた植物の種子繁殖阻害、(3)外来寄生生物の随伴移入、(4)在来マルハナバチ類との交雑・繁殖撹乱が危惧され、(1)(3)はすでに現実となりつつあり緊急に対策が必要である。農作物のマメ類を含む10種の花での盗蜜が確認されており(2)も無視できない。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 クワガタムシ科、カブトムシ科
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。在来クワガタとの交雑事例もでており、輸入数も多く、生態系に影響を及ぼす恐れが高い。また、カブトムシ科も指定すべきである。
3.意見及び理由
 昨今のクワガタムシ、カブトムシの大量輸入・販売は、周知の事実であり、当該アニメが全国的な拡散を助長させている。また、既に在来のクワガタとの交雑事例がある。野外発見事例も多く、我が国の生物多様性を保全するためにも早急に、特定外来生物に指定し、輸入を規制すべきである。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 ムラサキイガイ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。船舶や臨海工業地帯の取水施設などに対する汚損生物の代表的な種であり、陸上にもこの種に匹敵する外来種は見当たらない。在来種へのさらなる遺伝子浸透と遺伝的組成の撹乱が懸念されている。
3.意見及び理由
 1973年、広島湾の東部・広島県安芸郡音戸町のカキ養殖場一帯で大発生し、養殖カキの殻の表面を被って、その成長と身入りを極端に悪化させ、当地のカキ養殖業に対して約35%の減収をもたらしたことが報じられた。当時の金額で約5億円の損害と推定されている。1980年頃、東京湾における海岸付着生物全体の重量の80%を占め、その現存量は東京湾全体で2万トン以上に達することが報じられている。船舶や臨海工業地帯の取水施設などに対する汚損生物の代表的な種であり、「陸上にもこの種に匹敵する外来種は見当たらず、まさに日本沿岸侵略者の雄といえる」とされている。「本種の日本への侵入がなければ、汚損生物の防除・除去対策費はごくわずかな金額で済んでいたはずである」との指摘もある。社団法人火力原子力発電技術協会の環境対策技術調査委員会が、平成4年に全国火力発電所(100地点、計296ユニット)を対象に行ったアンケート調査では、発電所あたりの付着生物回収量は年間数トン?数百トンとなる地点が多く、1000トンを越す地点もあったという。ほぼ、半数の地点で過去に付着生物による何らかのトラブルを経験しており、年間の付着回収量が100トンを越えるとトラブルが増加する傾向にあるという。また回収量の多い地点では、いずれも回収した付着生物の処理・処分に苦慮している、とのことである。アメリカ合衆国のPower Research Institute (カリフォルニア州)は、生物付着による全米での発電ロスは、年間10億ドルに達すると推定している。アメリカ合衆国の発電施設容量は日本の3倍程度だが、発電用取水源は主に付着・汚損生物が海洋に比ベて少ない河川湖沼であり、その汚損被害は、ゼブラガイなどに限られるため、日本の付着生物問題は、より切実であると考えられる。真珠生産の母貝となる養殖アコヤガイヘの汚損被害も、三重県英虞湾などで継続的に発生しており、その除去のために、毎年、かなりの労力が費やされている。1990年代後半に、北海道東部に生息する在来種のキタノムラサキイガイとの交雑個体が複数の研究者によって相次いで発見されており、在来種へのさらなる遺伝子浸透と遺伝的組成の撹乱が懸念されている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 ミドリイガイ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。ムラサキイガイとともに、臨海工業地帯の取水施設の汚損生物の代表的な存在で、東京湾では、取水施設への被害が多いとされている。在来のカキ類などとの生息地をめぐる競合が考えられる。
3.意見及び理由
 ムラサキイガイとともに、臨海工業地帯の取水施設の汚損生物の代表的な存在で、東京湾では、ムラサキイガイ以上に取水施設への被害が多いとされている。在来のカキ類などとの生息地をめぐる競合が考えられる。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 カサネカンザシ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。
3.意見及び理由
 昭和44(1969)年?昭和45(1970)年、養殖カキの当時の最大の産地であった広島湾一帯で大発生し、養殖カキの殻の表面を被って、その成長と身入りを極端に悪化させ、カキ養殖業に対して当時の金額で25億?30億円(推定)もの被害が発生したことが報じられた。臨海工業地帯の取水施設への汚損被害なども引き起こしており、今後も大発生して、種々の被害を引き起こす可能性がある。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 サキグロタマツメタ
2.意見の概要(100字以内)
 特定外来生物に指定すべきである。放流先で爆発的に増殖し、アサリなど水産生物への食害を引き起こしている。また、同所的に生息する肉食性の在来タマガイ科との餌資源をめぐる競争が懸念される。
3.意見及び理由
 日本では有明海だけに生息する肉食性の巻貝だが、中国から輸入されたアサリ種苗に混入し、中国産アサリとともに各地の干潟に放流されていることが、2000年に発見されている。放流先で爆発的に増殖し、アサリなど水産生物への食害を引き起こしている。また、同所的に生息する肉食性の在来タマガイ科との餌資源をめぐる競争が懸念される。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 アサリ
2.意見の概要(100字以内)
 特定外来生物に指定すべきである。在来種、特にアサリを食害して、大問題になっている地域がある。アサリは輸入量が特に大きいので、放流した場合、随伴種の移入や生態影響が起きる可能性が非常に高い。
3.意見及び理由
 在来種だが、日本での不漁のために、莫大な量が中国大陸や朝鮮半島から輸入され、各地に放流されている。その放流アサリ種苗に、多数の外来種と、在来種だが中国大陸原産の個体群が混入しており、その中には、サキグロタマツメタのように、在来種、特にアサリを食害して、大問題になっている地域がある。アサリは輸入量が特に大きいので、放流した場合、随伴種の移入や生態影響が起きる可能性が非常に高い。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 シナダレスズメガヤ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。河原に侵入すると、被陰することを通して在来の河原固有植物の成長、種子生産、定着に悪影響を及ぼす。絶滅危惧植物カワラノギクの生育を脅かし、その急速な衰退の最も重要な要因となっている。
3.意見及び理由
 河原に侵入すると、被陰することを通して在来の河原固有植物の成長、種子生産、定着に悪影響を及ぼす。絶滅危惧植物カワラノギクの生育を脅かし、その急速な衰退の最も重要な要因となっている。鬼怒川の中流域においては、シナダレスズメガヤが蔓延し、カワラノギクの自生個体は約100,000株(1996年)から100株余り(2002年以降)にまで急速に減少した。冠水時に砂を堆積し、河原の基盤条件を改変する。そのため、河原本来の植生が失われつつある。いったん河原に侵入すると洪水時においてもほとんど減少せず、むしろ種子を長距離に分散させることで分布を拡大する。早い成長、多産性、高い発芽率をもち、非常に侵略性が高い。河原における駆除・抑制対策はすでに進められており、シナダレスズメガヤの種子生産前(3-5月頃)に機械的除去(重機を用いて表層約20cmの剥土)を実施すれば抑制および河原植物の生育適地の回復は十分に可能である。すでに問題が認識され、駆除対策が施されている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 ハリエンジュ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。侵入すると種多様性・植生景観の多様性が低下する。河川に侵入すると、流下能力を低下させ、ヤナギ類などの在来種の生育場所を脅かす。
3.意見及び理由
 侵入すると種多様性・植生景観の多様性が低下する。窒素を固定するために土壌が富栄養化し、好窒素性の草本植物が優占しやすい条件をもたらす。河川に侵入すると、流下能力を低下させ、ヤナギ類などの在来種の生育場所を脅かす。幹を伐採しても萌芽すること、また根こそぎ取り除いても根の切れ端からも萌芽するなど繁殖力が極めて強い。すでに問題が認識され、駆除対策が施されている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 オオカナダモ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。繁殖力が大きく在来種と置き換わる。
3.意見及び理由
 繁殖力が大きく在来種と置き換わる。すでに問題が認識され、駆除対策が施されている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 コカナダモ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。繁殖力が大きく在来種と置き換わる。
3.意見及び理由
 繁殖力が大きく在来種と置き換わる。すでに問題が認識され、駆除対策が施されている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 ホテイアオイ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。成長が早く、水面を覆い尽くす。そのため、水域に固有な在来植物の生育を脅かしている。
3.意見及び理由
 成長が早く、水面を覆い尽くす。そのため、水域に固有な在来植物の生育を脅かしている。すでに問題が認識され、駆除対策が施されている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 オオブタクサ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。河川生態系へ悪影響を及ぼし種多様性が著しく減少する。急速に成長して葉を広げて地表面付近を被陰し、他の植物の生存や成長を阻害する。
3.意見及び理由
 河川生態系へ悪影響を及ぼし種多様性が著しく減少する。永続的シードバンクを形成し、駆除が容易ではなく、いちど侵入すると長期に渡り定着し続ける。春先に他の植物より早く発芽し、急速に成長して葉を広げて地表面付近を被陰し、他の植物の生存や成長を阻害する。田島ヶ原では絶滅危惧植物桜草の生育を脅かしている。土砂とともに運ばれて分布拡大され、寒冷地においても生育できる。すでに問題が認識され、駆除対策が施されている。駆除の効果は大きい。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

1.対象となる種
 セイタカアワダチソウ
2.意見の概要(100字以内)
 要注意リストの一定の知見がある種としてリストされているが、特定外来生物に指定すべきである。侵入すると他の草本を被陰して優占群落を形成する。そのため、本来そこに生育する草原性の植物の出現や生育を脅かす。
3.意見及び理由
 侵入すると他の草本を被陰して優占群落を形成する。そのため、本来そこに生育する草原性の植物の出現や生育を脅かす。河川に侵入して絶滅危惧植物フジバカマの存続を脅かす。すでに問題が認識され、駆除対策が施されている。抜き取りによる駆除の効果は大きい。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

<要注意外来生物リストについて>

 今回、要注意外来生物リストについては、パブリックコメントの対象とされていないが、要注意外来生物リストについてもパブリックコメントの対象とすべきである。以下、要注意外来生物リストに加えるべき種についての意見である。

1.対象となる種
 特定外来生物に、指定すべき提案リストのランクBおよび緊急性ランクBの種
2.意見の概要(100字以内)
 少なくとも「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リストの中で、特定外来生物一次指定種・二次選定種、要注意外来生物リストを除き、ランクBおよび緊急性ランクBの種を要注意外来生物種として指定すべきである。
3.意見及び理由
 現在の要注意外来生物リストは、被害に係る知見はあるものの指定に踏み切る為の知見が不足している種がリストされている。しかしながら、要注意外来生物リストの作成にあたっては、NGO3団体が提出した指定すべき提案リストの種を十分吟味したとは思われない。第3次選定作業を行う際に、対象種の知見を十分収集し、要注意外来生物リストを充実すべきである。現状では、特定外来生物、未判定外来生物、要注意外来生物リスト以外は、何ら注意喚起されておらず、フリーパスとなっている。
根拠となる出典『「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物に、指定すべき提案リスト』2004年10月25日、世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会

以上。