特定外来生物被害防止基本方針(案)に係る意見

氏名 高橋満彦 (早稲田大学大学院法学研究科)
住所又は所在地:〒184-0012 東京都小金井市中町3丁目22-14-202

意見1
<該当個所>2ページ (3、6段落目) 「特定外来種として規制を検討する際に、その役割について考慮することが必要である。」
<意見内容> 下線部分を「も」と改める。
理由:外来生物の果たした役割は、多くの考慮項目の一つでしかないため、修文。

意見2
<該当箇所>3ページ(第2 柱書 2段落目)「種(亜種又は変種のある種にあっては、その亜種又は変種とする。以下同じ。)」
<意見内容> 下線部の後に「ことができる」を挿入する
理由:案文であると、亜種変種がある場合には亜種変種を指定しなければならないように読めるが、亜種、変種は科学的にも流動的であり、混乱するお それがある。他の法令でも、種を単位とするのが通例である特に予防的な対応が必要が本法では、亜種、変種ごとの指定を原則とすべきではない。

意見3
<該当箇所>3ページ(第2 1 ア)「生態系に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある外来生物として、・・・?交雑による遺伝的攪乱等により、在来生物の種の存続又は我が国固有の生態系に関し、回復困難な被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある選定する外来生物を。」
<意見> 「我が国固有」を削除し、「回復困難」を「重大」に置き換える。
理由:「我が国固有の生態系」とは何を指すのかが不明確であるとともに、対象範囲が極めて限定されるおそれがある。同様に「回復困難な被害」につ いても回復困難な被害に限定すれば適応範囲が極めて狭くなる恐れがある。法第1条では法の目的として「特定外来生物による生態系等に係る被害を防止し、 もって生物の多様性の確保、人の生命及び身体の保護並びに農林水産業の健全な発展に寄与することを」としt特定外来生物による生態系等に係る被害を防止 し、もって生物の多様性の確保、人の生命及び身体の保護並びに農林水産業の健全な発展に寄与することをおり、案では、本法より射程が狭くなるおそれが大で あり、修文を望む。

意見4
<該当箇所>3ページ(第2 1 ウ)  「本法と同程度の・・・外来生物については、特定外来生物の選定の対象としない」
<意見内容> 下線部の後に、「当分の間」を挿入する。
理由:他の法律は法目的が異なるため、将来的には重複指定も検討すべきであるため。

意見5
<該当箇所>5ページ (第3 柱書)
<意見内容> 2段落目に示された基本方針に賛成する。堅持されたい。

意見6
<該当箇所>6ページ (第3 1 (3))
<意見> 特定飼養等施設の施設基準に、飼養する特定外来種がみだりに繁殖できない構造であることを加えること。

意見7
<該当箇所>6ページ (第3 1 (4)
<意見> 許可条件に、「原則として、飼養する特定外来生物を繁殖させ、あるいは異種と交配させないことを条件とすること」を含めること。
理由:特定外来種の繁殖は特に許可された場合に限るべきであると考える。

意見8
<該当箇所>6ページ (第3 1 (5) ウ)
<意見> 「飼養する特定外来生物の繁殖が許可された場合には、」を本文の前に加える。
理由:意見6と同じ。

意見9
<該当箇所>7ページ (第3 5)
<意見内容> 野外に放つ行為を例外なく禁止することに賛成する。堅持されたい。

意見10
<該当箇所>9ページ (第4 2 (2) ウ) 「所有者等に対しては、可能な限り防除の内容を説明し理解を得るものとする」
<意見内容>「所有者等に対しては、必要に応じ防除の内容を説明し、可能な限り理解を得るものとする」と改める。
理由:通常、野外において土地等の所有者は判別しがたく、また、土地の立ち入り、狩猟、釣等が慣習上、自由になされている場所では、技術的に可能 ではあっても、防除の説明の必要はないものと思われる。また、法13条に照らしても、所有者等の理解は必須条件ではない。必要ならご説明し、可能な限りご 理解を得ることに努めるということになろう。実務的な見地から修文すべきと考える。

意見11
<該当箇所> 14ページ 第5 5 (1)
 「人や物資に紛れて非意図的に持ち込まれる特定外来生物のうち、輸入、飼養等その他の取扱いの意思なくなされる導入については、本法の直接的な規制の対象とはならない。」
<意見> 「人体に付着あるいは物資への混入等、輸入、飼養等をその他の取扱いのいしなくなされる導入については、本法の処罰の対象ではない。」に改める。
理由: 非意図的導入はフリーパスであるような誤解をしやすい表現であるので、書き振りを工夫されたい。

意見12
<該当箇所>全体
<意見>予防原則の文言が謳われていないことや、島嶼への特別配慮が見られないなど、不満な点もあるが、新法の枠組みの中で最大限可能な範囲で、 生態系の保全のためできることをしてほしい。そのためには、案に対しては規制を緩やかにし、新法の効果を弱めようという消極的な意見もあるであろうが、後 退することのないよう願いたい。

以上