<NGO附帯決議要望案>

 政府は、本法の施行にあたり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

1.海外から輸入される生物の種および数量の実態把握に努めるとともに、関係省庁との連携に務め、検疫犬を導入し、特定外来生物が密輸入されることのないように水際規制を強化すること。

2.特定外来生物の判定にあたっては、科学的な判断を担保するために、選定委員会を設置し、分類群ごとに専門分野小委員会を設け、新たな科学的知見が見つかれば専門家やNGO等の申し立てにより判定する仕組みを設けること。

3.未判定外来生物を輸入しようとするものは、判定の申請にあたり、その生物の生態的な情報や知見などリスク評価を行ううえでの必要な資料をそろえ、提出すること。

4.科学的知見が豊富な生物分類群から、順次国内既存の外来・在来生物種の台帳の整備を進め、未記載種については可能な限りリスク審査を行い、許可制とする方式に移行すること。

5.鳥獣保護法の適用除外について、基本方針のなかで在来種の混獲を防止するために、具体的な捕獲条件を早急に整備し、本法の5年後の改正時には、捕獲状況の実態を考慮し、本法との整合性を十分に検討すること。

6.防除計画の策定と実施にあたっては、住民、NGO等の参加と連携による合意形成が不可欠であることを踏まえ、その手順を明らかにし、関係する地方自治体の広域的な取り組みを進めること。また防除実施効果を評価し防除事業へ反映させるための評価委員会を設けること。

7.都道府県が主体的に防除計画を策定し実施できるよう、国は支援し財政的補助を行うよう予算の確保に努めること。

8.国内で特に生物の多様性の保全上重要な地域を指定し、外来生物の持ち込み禁止、外来生物による生態系への影響把握、既に影響を及ぼしている外来生物の防除計画策定と実施、防除効果のモニタリング、防除技術開発、飼育動物の管理を迅速に進めること。

9.この法律の施行にあたり既に飼養されている特定外来生物の登録手続きの便宜を図るとともに、地方自治体、関係機関、NGO等の連携による受け入れ体制や施設の整備を早急に実施すること。

10.この法律の実施に関わる関連法(種の保存法、鳥獣保護法、動物愛護法、自然公園法、自然環境保全法、自然再生推進法等)の整備をはかり、包括的に国内の生物多様性を保全する施策を進めること。

以上。