第159回国会 環境委員会 第7号
平成十六年四月十五日(木曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     木俣 佳丈君     小川 勝也君
     小林  元君     谷  博之君
     山下 栄一君     千葉 国男君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     加藤 紀文君     野上浩太郎君
     日出 英輔君     小斉平敏文君
     福山 哲郎君     若林 秀樹君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         長谷川 清君
    理 事
                愛知 治郎君
                小泉 顕雄君
                清水嘉与子君
                海野  徹君
            ツルネン マルテイ君
    委 員
                大島 慶久君
                小斉平敏文君
                山東 昭子君
                田中 直紀君
                野上浩太郎君
                真鍋 賢二君
                小川 勝也君
                谷  博之君
                若林 秀樹君
                加藤 修一君
                千葉 国男君
                渡辺 孝男君
                岩佐 恵美君
                田  英夫君
                高橋紀世子君
       発議者      小川 勝也君
       発議者      谷  博之君
   国務大臣
       環境大臣     小池百合子君
   副大臣
       環境副大臣    加藤 修一君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  砂田 圭佑君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大場 敏彦君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      吉田 英法君
       財務大臣官房審
       議官       藤原 啓司君
       農林水産大臣官
       房技術総括審議
       官        坂野 雅敏君
       農林水産大臣官
       房参事官     齊藤  登君
       水産庁増殖推進
       部長       中前  明君
       国土交通省河川
       局長       清治 真人君
       環境省自然環境
       局長       小野寺 浩君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○特定外来生物による生態系等に係る被害の防止
 に関する法律案(内閣提出)
○外来生物種規制法案(小川勝也君外三名発議)
○廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(長谷川清君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、山下栄一君、小林元君及び木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として千葉国男君、谷博之君及び小川勝也君が選任されました。
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○委員長(長谷川清君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案及び外来生物種規制法案の両案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官吉田英法君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(長谷川清君) 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案及び外来生物種規制法案の両案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○谷博之君 おはようございます。民主党・新緑風会の谷博之でございます。
 今日はこの法案につきまして、今日まで本会議や当委員会でもいろんな質疑がされてまいりましたけれども、そういう質疑でまだ触れられていない点、そしてまた質問をしたものについて更に重ねてお伺いしたい点、これらをまとめて簡潔にお伺いしたいと思いますので、お答えの方も時間の関係で簡潔に答えていただきたいと、このように考えております。
 まず最初に、特定外来生物の選定の在り方、仕組みの問題についてお伺いいたします。
 環境省の資料に、今手元にございますが、特定外来生物の選定の仕組みとして学識経験者からの意見聴取ということでこういう文言がございます。外来生物の生態や利用に関して学識経験を有する者から意見を聴くということです。
 この利用という言葉の意味なんですけれども、これは経済的な利用をする立場の学識経験者から意見を聴いて特定外来生物を選定するということなのか、そしてこうした経済的な利用という立場を重視すればするほど結果として特定外来生物から外す対象種が増えてくるのではないかと、このように我々は危惧をいたしております。したがって、経済的な利用をするという考え方よりも、我が国の生物多様性を守るという立場から選定をしていくべきではないかというふうに思いますが、まずこの点についてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(小池百合子君) 特定外来生物の指定につきましては、基本的に生物の性質に対しまして専門の学識経験を有する方々から意見を聴くということ、今御指摘のとおりでございます。そして、外来生物を活用しておられる方々の視点、さらにはそれを経済的な観点からどういうことがあるのかといった、そういったことを踏まえることも必要なときもございますが、運用に当たっては必要に応じまして様々な視点からの意見も聴くということ、これも一つ重要だとは考えております。
 ただ、どういう観点を重視するのかということでございますけれども、外来生物によってもたらされます様々な便益との調整、そして社会的な影響などについても慎重に検討してまいりたいと考えておりまして、またそうした判断をすることが必要と考えております。
 環境省といたしましては、生物多様性の確保ということが原則でございまして、この法案の目的が十分達せられるように特定外来生物の指定を適切に行ってまいるということで、改めて申し上げますと、環境省としては生物多様性の確保を原則と、こういう立場でございます。
○谷博之君 質問項目たくさんございますから、細かくはなかなか掘り下げて聞くわけにいきませんが、最後のその大臣の答弁はしっかりと踏まえていただきたいと。
 自然環境局長にお伺いしたいんですが、このことに関連して、ある生物分類群、例えば両生類なら両生類、こういうふうないわゆる生物分類群に一つも特定外来生物が指定されていないといった場合でも、この両生類の未判定外来生物を指定することは仕組み上、可能なんでしょうか。
○政府参考人(小野寺浩君) 御指摘の指定は可能だと考えております。この考え方は基本方針に明記する方向で検討したいと思います。
○谷博之君 続きましてお伺いしたいんですが、ブラックバスなんか、既に蔓延しているそういうふうな外来種と、それから未知のいわゆる外来種の水際規制、どうもこれらを同じ土俵で一緒にやろうとしているような気がしてなりません。このこと自体無理があるような気もするわけなんですけれども、十三日の参考人からの話の中でも、アマゾンの未知の魚類が野放しで輸入されているというような、こういう例え話もございましたけれども、そういうことからしますと、いわゆる特定外来生物にも未判定外来生物にも指定されていない国内の既存の外来生物についても、日本生態学会の要望にもありますけれども、ランクを付けて注目し、警戒し、必要な対応、必要に応じて規制を掛ける仕組みも必要ではないかというふうに思っておりますが、この点はどうでしょうか。
○政府参考人(小野寺浩君) 被害があるもの、疑いがあるもの、疑いのおそれがあるものというのを特定生物、未判定生物に入れてチェックするつもりですので基本的には御心配のことはないと思いますが、実態上はそれ以外の、疑いのおそれよりもおそれが少ないけれども微妙なものというのは検討の中で出てくるんじゃないかと思います。それについては、恐らく実際に特定外来生物、未判定外来生物を決める専門家のかなり詳細な議論の中で実態上そういうグループ分けについても検討して、ある程度リスト的なものは持つということが実際に絞っていく際に必須の実務だと思いますので、恐らく御指摘の点にはこたえられると思います。
○谷博之君 そのことに関係するわけですけれども、八日の当委員会で田先生の方から質問をされておられるいわゆる国内生物種の台帳の問題でございますけれども、局長答弁は、端的に申し上げると、外来種法案の議論と同時に国内生物台帳を作るというふうに答弁をしておりますけれども、これは一つのこれからの話ということになりますが、他の生物分類群の台帳が未整備でも、例えば爬虫類の国内生物台帳ができたというふうに仮定しますと、これをいわゆる外来爬虫類の対策にこの台帳を生かすという考えがあるかどうか。つまり、国内生物台帳ができたいわゆる生物分類群から順次そこに載っていない種の輸入をすべてリスク審査して許可制とする方式、いわゆるホワイトリスト方式ですね、こういうふうな方向に移行していく、そういうお考えがあるかどうかということなんでございますが。
○政府参考人(小野寺浩君) 我々の考え方は、今、外来種が入ってきて生態系への影響が喫緊の課題であって、それに迅速に対応するためには、種を、特定の悪いものを指定してというのが一番効率的であり合理的であるというふうに考えていますが、その前提では、先ほども答弁したように、自然環境に係る基礎的なデータをどれだけ押さえるかということがまず出発点であることは間違いないことでありますし、その自然環境の基礎データの中でも、分類の生物のリストというのは基礎の基礎だという認識を当然のことながら持っております。
 そういうことで、もし生物台帳がある分類群でもあれば、それを特定外来生物、未判定の判断の際のベースとするというのはむしろ当然のことだと考えておりますし、外来生物だけではなくて、自然環境保全施策のいろんな局面で実は重要なものだというのが私の認識であります。
○谷博之君 今の局長答弁だと、だんだん我々が提出した参法に近づいてくるような内容になってくるわけなんですけれども、そういう意味では、八日の田先生の質問に対する御答弁、それを補足するような意味で重ねてお伺いをさせていただいたわけでありますが。
 それからもう一つは、いわゆる生物多様性条約の第六回締約国会議、これが二〇〇二年の四月にいわゆるその決議をしておりますが、この決議文の内容は、外来種に、規制する指針原則ということで、環境影響評価を含む適切なリスク分析を実施し、生物多様性を脅かさないと考えられる外来種についてのみ導入を許可する、こういうふうな考え方を指針に述べておられます。
 これに対応するこの今度提案されているこの法律は、その条文は一体本法案の第何条にこれが盛られておられましょうか。
○政府参考人(小野寺浩君) 生物多様性条約の指針原則の十の一ということを御指摘だと思います。
 十の一については大きく四つのポイントが指摘されているというのが理解でありますが、意図的導入に関する事前許可については、第七条の飼養等の許可を義務付けております。
 それから、リスク分析については、二十一条で悪影響のおそれの疑いのある外来生物を未判定外来生物にし、届出の義務、それから二十二条で事前に悪影響があるかどうかを判定する仕組みというのがリスク分析に係るあれであります。
 それから、リスク分析に関する立証責任が導入の提案者についての規定でありますが、これについては、二十一条で輸入しようとする外来種の生態特性の情報提供を義務付けるということで考えておりますし、二十二条の、専門性、公平性の観点から主務大臣が判定するということが書かれております。
 それから、四番目のポイントですが、許可に条件を付すことについては、第五条第四項の飼養等の許可に際して条件を付すと、こういう仕組みになっております。
 我々の考えでは、これらの提案している法律の規定によって指針原則の十の一は反映されているというふうに考えております。
○谷博之君 この問題に関しては、IUCNの国際自然保護連合、二〇〇〇年の種の保存委員会というところでガイドラインが出ておりまして、その中に、これはその一文ですが、多くの外来種の生物多様性への影響は予想不可能というふうにこの種の保存委員会ではガイドラインで指摘しております。
 今の御答弁、条文を含めての御答弁ということでありますけれども、時間がありませんので細かい内容については触れませんけれども、こういう内容に果たしてそぐわないのか、あるいは沿っているのかということについてはいろいろ御議論があるかというふうに思っております。そういう点で、これは一つの課題として御指摘をしておきたいと思います。
 それから、条文の問題について次にお伺いしますが、第二十五条の問題ですが、外国が発行する生物の種類を証する証明書の種名欄に、例えば特定外来生物でも未判定外来生物でもない生物Aの雑種というふうな内容が記載されていた場合に、この輸入は認められるんでしょうか。
○政府参考人(小野寺浩君) 判断の根拠は、国内の生態系に悪影響があるかどうかということがまず我々の考えている運用の原則であります。したがって、雑種であるか否かにかかわらず、生態系に影響がある、あるいは影響のおそれがあれば適用して考えるというのが我々の基本的な考えであります。その場合、必要に応じて特定外来生物、未判定に関する規制、輸入規制等が当然発動することになります。
○谷博之君 いわゆる生物Aの雑種、これは特定外来生物と規制なしの生物の交雑種ですね、こういうものであれば、いわゆる生態系への影響は、被害は我々はやっぱりあるというふうに見ておりまして、これが日本生態学会の要望書にもありますけれども、予防原則に基づいて科学的に影響が極めて軽微であると判断されない限り、導入は原則として禁止すると、こういう対応の仕組みですね、ここのところが一つの私はベースになるというふうに思っています。
 この点についての関係はどのように考えておられますか。
○政府参考人(小野寺浩君) 影響があるもの、あるいはおそれのあるものについては原則対応する、規制その他で対応するということが基本的な考え方です。
 ただ、輸入証明書の技術的な書き方については、中をどうするかというのは施行までの間に検討して、そのものが輸入証明書の文書の範囲で分かりやすくなるように中身を義務付けることも検討したいと思っています。
○谷博之君 それじゃ、水際規制について、財務省と農水省の方にもお伺いしたいと思っております。
 この法案が成立するということになって、実際、施行の段階になりますと、その具体的な取組ということで水際規制というのが大きな課題になってくると思います。そのときに、財務、農水両省は、具体的に来年度、そういう意味の人員とか予算というものを当然これは検討しなきゃいけないと思うんですが、まず、この点についてどのように検討をこれからしていくのか。
 それから、それぞれの省に一つずつお伺い更にしますけれども、財務省では、輸入統計品目表というのがあって、これに哺乳類以外の動物について新たな統計細分の作成の予定をしているのかどうかですね。それから農水省については、これはオーストラリアなどで具体的に取り組まれておられますけれども、いわゆる動物検疫の目的でビーグル犬の導入というものを実際今行っておりますけれども、こういうふうなものについての具体的に取り入れる検討をされておられるかどうか、この点についてそれぞれお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(藤原啓司君) お答え申し上げます。
 まず一点目でございますけれども、この法案の特定外来生物の輸入につきましては、主務大臣の許可を受けた者でなければできないことになっておりますし、また一定のものを除きまして外来生物の輸入に際しましては外国の政府機関が発行した証明書等を添付しなければならないこととされております。したがいまして、税関におきましては、関税法七十条の規定に基づきまして、当該外国の政府機関が発行した証明書等を確認することとなるわけでございます。
 関税局、税関といたしましては、法律の所管官庁でございます環境省等の関係機関と連携を図り、外来生物に係る輸入規制の実効性を確保していく所存でございまして、人員及び予算につきましても、今後の業務量を見極めた上で適切に対処してまいりたいと考えております。
 それから、二点目の統計細分の話でございますけれども、輸入統計品目表に新たな細分を設ける際には、物資所管省庁からの要望を受けて設けております。その場合に、細分を新たに設けることにつきましては、輸入者の事務負担等を増加させる面があるということにも留意いたしまして検討を行っているところでございます。
 環境省等から特定外来生物等の細分を設けるという旨の要望がありますれば、今申し上げた点も踏まえまして今後検討してまいりたいと考えております。
○政府参考人(坂野雅敏君) 本法案は、目的、法目的の一つとしまして農林水産業への被害の防止というものを位置付けておりまして、農林省といたしましても、鳥獣害対策とか外来魚対策というのは非常に重要な課題というふうに認識しているところでありまして、従来から鋭意取り組んでいるところでございます。
 従来から、所要の予算額を確保するとともに、本省はもとよりすべての地方農政局におきまして専任の担当官を置くなど、必要な体制整備を、体制を整備しているところでございます。
 農林水産省としましては、本法におけます環境省と農林水産省との役割分担も踏まえまして、本法施行に係る人員、予算について今後必要に応じ検討してまいりたいと考えております。
○政府参考人(齊藤登君) 委員からお尋ねのありました検疫犬の関係でございますが、豪州、ニュージーランド、米国等におきまして、動物検疫上の観点から、旅行客の携帯する畜産物を探知する検疫犬を導入しているということにつきましては私どもも承知しておるところでございます。
 また、これらが、移入種の摘発にも検疫犬が活用できるという情報等を得られますれば関係官庁にも情報提供をしていきたいというふうに考えておりますし、また、なお、動物検疫犬の導入につきましては、旅行客が持ち込む畜産物をより確実に把握し、検査を実施できる体制を整備するという観点から、農林水産省としても検討課題というふうに考えておるところでございます。
○谷博之君 今の、検疫の際のビーグル犬の話ですけれども、実際、いろんな形でもってそういうふうなものを持ち込んでくるというときに、非常に巧妙な形でこういう外来種についてもなされているということもございまして、そういうものに対する、オーストラリアやニュージーランドにおいてはかなりこういうビーグル犬が活躍しているということもございます。これは是非、そういう意味では、他の国々のそういう事例というものも十分参考にして導入を図っていただきたいというふうにこれは強く要望しておきたいと思います。
 それから、最後の質問の大きな柱なんですが、国内防除の関係についてでありますけれども、まず一つは、大臣にお伺いしておきたいんですけれども、これは、いわゆる地方自治体がこういう防除している外来生物のうち、例えば、将来特定外来生物種として指定されなかったものについては、国としてはこうした自治体への防除の事業に対して今後支援はしていかないのか、あるいはしていくのか。
○副大臣(加藤修一君) 特定外来生物に指定されていない外来生物について、地方自治体がそれぞれの地域の事情によりまして独自に防除を実施することについては、国として直接の関与はできるものではないわけでありますが、しかし、我々としては歓迎をしたいということになります。
 環境省といたしましては、今後、特定外来生物以外のものも含めまして、外来生物の生態的な特性あるいは防除の先進的な事例、そういった有効ないわゆる防除手法等に関しまして調査を進めると。鳥獣保護法の関係につきましても、有害な関係動植物については調査を相当進めておりますし、そういったノウハウも蓄積されておりますので、そういった経験も踏まえまして、その成果を広く情報提供することが当然できるわけでございますので、地方公共団体に関する取組の防除事業に対して一助になると、そういうふうに考えてございますので、要するにそういうことでございます。
○谷博之君 そういうふうな中で、ここで具体的な話をちょっと一つお聞きしますが、仮にオオクチバス、これが特定外来生物種に指定されないとなった場合、現在、水産庁がオオクチバスの駆除事業を行っていますし、あるいは環境省も、先日私も触れましたけれども、皇居のお堀のオオクチバスの駆除事業というのをやっていますけれども、こういうものは釣り団体等からすると税金の無駄遣いではないかというような批判をされる可能性もあると思うんですが、こういう場合についてどのように考えておられますか。
○国務大臣(小池百合子君) 皇居の外苑、お堀でございますけれども、在来種の生態系、これを保全するために行っているものでございまして、平成十三年度から、オオクチバスなどの外来生物の駆除を御指摘のように実施をさせていただいております、また今年も継続して行うことといたしておりますけれども。
 オオクチバスの扱い、今、仮定の話ということでございましたけれども、今後もさらに、被害がどのように広がるのか、また利用に関する情報を収集した上で、政令指定に際して具体的に検討すると、こういう考えでございます。
○政府参考人(中前明君) お答え申し上げます。
 水産庁におきましては、平成十三年度から、このオオクチバスを含む外来魚によりまして各地域に生じております漁業被害を防止するといった観点から、都道府県が事業実施主体として駆除事業をする場合、一定の予算補助を行っているところであります。今年度もこれを継続することとしております。
 なお、ただいま環境大臣が答弁なさいましたように、生態系、水産業への影響が指摘されているということでありますので、今後さらに、被害や利用に関する情報を収集した上で、政令において具体的に検討してまいりたいというふうに考えております。
○谷博之君 時間がありませんので、最後に警察庁に一点お伺いしたいと思いますが、こういう野生生物、動植物の、いろんな形で今こういうインターネットを通じて、まあ言うならば、宣伝やあるいはそれぞれ売買のためのこういうホームページが今開設されております。これを見ておりますと、特に猿が非常に今すごいらしいんですが、例えばこれはミツオビアルマジロというのがペアで二十六万二千五百円、こういうもので売られたり、あるいは、これはフクロシマリスのペアが十三万八千円で売られたりしています。
 これは、ちょっと広告の文章を見ますと、久々に来ましたフクロシマリス、探すとなかなかいない珍種ですと。まだまだ若くて十分ならせていけそうです、しかもペア、雌は非常に少ないのです、頑張って繁殖を目指すのもよいでしょう、詳しい内容は当店ホームページからお問い合わせください。こういうふうないろんな、これがこういう写真入りで売り出されております。高いものになりますと百万単位のものもございまして、例えばシロガオサキ、これは百五十万円ということですね、雄一匹が。こんなようなものが今売られているという状況の中で、これが例えば違法な形でこういうふうなものが売買されたり、今後する可能性もなきにしもあらずというふうに思います。
 警察は、今後こういう特定外来生物を含む野生動植物の不法取引の取締りを強化するために、具体的にどのようなことを対応されようといたしておりますか。
○政府参考人(吉田英法君) 野生生物の不法取引等の取締りについてのお尋ねについてお答え申し上げます。
 警察においては、悪質な環境犯罪に対する取締りに積極的に取り組んでおり、産業廃棄物事犯はもとより、野生動植物の不法取引等についても従来から取締りの強化を図っているところであります。
 例えば、昨年においては、警視庁と埼玉県警察の共同捜査により、動物ブローカーらが動物園等から窃取したレッサーパンダ等の国際希少野生生物をペットショップ経営者らに販売した事犯について、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律違反等で検挙するなどしたところであります。
 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律が成立した際には、環境省、農林水産省、その他関係方面と連携しながら、種の保存法、鳥獣保護法等の既存の法律違反に加え、この法律違反についても適切に取締りを行っていく所存であります。
○谷博之君 最後に、一点要望させていただきますけれども、今ちょっと触れましたけれども、こういうインターネット上のこの野生動植物の不法取引というのはやっぱり現実にあるし、まあ一言で言えば野放しに近いという状況にあると思うんですよね。これは、是非警察としても、この環境犯罪対策の推進計画の一環、こういうことで、野生動植物の不法取引の取締りというものをやっぱりしっかりやってほしいというふうに思うんです。ここに実は裏の部分の問題点がやっぱり潜んでいるということを我々は強く指摘をしたいと思います。
 時間が来ましたので、以上で私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
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○委員長(長谷川清君) 委員の異動について御報告をいたします。
 本日、福山哲郎君が委員を辞任され、その補欠として若林秀樹君が選任されました。
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○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。
 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案などについて質問をさせていただきます。
 私が居住している山形県や長野県などでは、ハクビシンによる農林業被害が大きな問題となっております。ハクビシンによる農林業被害あるいは人に関しての被害、さらに生態系に対しての被害の現状並びにそれらに対する対策、捕獲、狩猟の現状に関して、山形県、長野県の事例を中心に環境省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(小野寺浩君) ハクビシンによる農林被害は果実を好むことから果樹に対する被害が多く、農林水産省の統計では、平成十四年度、全国で被害面積が二百三十九ヘクタールとなっております。このうち、山形県が五十ヘクタール、長野県が八十九ヘクタールと被害が多い県となっております。また、家屋の屋根等にすみ付くことによる生活上、衛生上の被害が生じていると聞いております。
 生態系への影響に関しては十分な知見はありませんが、これまでハクビシンと競合して特定の種が排除されたという報告はありません。
 こうした被害の実態を踏まえ、平成六年、鳥獣保護法による狩猟獣にハクビシンを加え、狩猟による捕獲を進めているほか、有害鳥獣捕獲による捕獲を行っているところであります。これらによる捕獲頭数は、平成十三年度には全国で七百六十五頭、山形県及び長野県においてはそれぞれ五十一頭、九十五頭を捕獲しているところであります。
○渡辺孝男君 ハクビシンは、昨年十二月のWHOの重症急性呼吸器症候群、SARSですけれども、の疫学に関する統一見解文書によれば、「現時点で、これらの野生動物種がSARSの集団発生の疫学に重大な役割を演じていることを示唆する兆候はない。しかし、これらの動物がヒト感染の源であった可能性は否定できない。」と、そのように書かれておるわけであります。
 このように、ハクビシンは私たちにとっても注意を払うべき生物ですが、今回の政府提案の法案では特定外来生物に選定される可能性があるのかどうか、小池環境大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(小池百合子君) ハクビシンにつきましては、ハクビシンが外来生物なのか若しくは在来生物なのかということについては、実は双方、両方ともそのような見解がありまして、説がありまして、結論が出ていないというふうに聞いております。
 また、今後ですけれども、外来生物であるかどうかに係る知見の蓄積をすること、それから生態系にどのような被害を及ぼすのかというような状況を見て検討をするということといたしたく思っております。
 それから、今、WHOのSARSとハクビシンとの関係の話ございましたけれども、基本的にこの法案でございますと、対象とする人の生命、身体への被害というのは動物が実際にかみ付くといったような直接的な被害を意味をいたしておりまして、SARSなどの感染症につきましては感染症予防法で必要な対応を行うと、このような整理をしているところでございます。
○渡辺孝男君 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律による有害動物駆除と政府案による特定外来生物の防除との相違点について、加藤環境副大臣にお伺いをしたいと思います。
○副大臣(加藤修一君) 鳥獣保護法に基づく有害鳥獣捕獲というのは、農林水産業などの被害が生じた場合、被害が生じた場合に被害を受けた者が許可を得て有害な鳥獣を捕獲しようとするわけでありますので、この仕組みを利用して外来生物の防除をしようとした場合についてはその被害が生じなくなれば捕獲が行われなくなると、そういうことになりますから、生態系からの完全な排除に至らないケースが多いというふうに考えられますし、そういう指摘もございます。
 ただ、今回の本法案に基づきまして、特定外来生物の防除は大臣が公示した内容に従って防除を実施するものでありますから、その許可を、鳥獣保護法の許可をその都度受けることなく緊急に防除を実施することができると、そのほか、生態系からの完全な排除を目指して計画的に防除を実施することが当然可能になるわけでございます。
 また、防除に要した費用について原因者に負担させたり、あるいは事前に意見を聞けば私有地に立ち入って防除を実施することもできるわけでありますし、こういったことを通しまして、特定外来生物の総合的な防除、これを進めるための枠組みが十分整備できると、そういうふうになりますので、対応としては効果的になるということでございます。
○渡辺孝男君 次に、堤防緑化などで意図的に導入された外来植物が地域の生態系を乱し、生物多様性に悪影響を与えている、あるいは健康被害を与えていると指摘をされております。例えば、鬼怒川流域のシナダレスズメガヤが侵入することによりカワラノギクの衰退が起こっている、あるいは野生化したネズミムギによるイネ科花粉症の健康被害例が指摘されております。このような意図的に導入された植物による生態系への悪影響、あるいは人の健康被害の現状とその対策について、国土交通省にお伺いをします。
○政府参考人(清治真人君) 河川の中の外来種のお話でございますが、河川では堤防がこれは一番一般的に行われている河川の工事でありますし、管理している非常に重要な施設でございます。この盛土に当たりまして雨水あるいは河川の流水により侵食されないようにということで堤防に植生工を施しておりますが、その中で外来種を用いている場合がございます。従来から、今お話のありましたシナダレスズメガヤあるいはネズミムギ、こういうような多年生のイネ科の植物につきましては、寒い地方とかそういうところでの成長がいいということとか、それから在来種に比べまして得られやすいということもございますし、またコストの関係もございまして、従来、昔からかなり使ってきている現状にございます。
 また、河川の中だけではなくて流域の中から、風とかそれから雨が降ったときに川の中に外来種の種が入ってきて河原で繁殖するというような実態もございまして、今お話のありましたように、川の中の生態系の多様性を乱すとか、それから河川の河原の環境を大きく変えるというような実態が起こっております。
 それから、イネ科の植物につきましては花粉症の問題がありまして、川の近くの一般の方々が、今お話がありましたイネ科のネズミムギ、あるいはオオブタクサなんかもそうでありますが、花粉症の原因になっているわけでございます。
 このような河川生態系の悪化でありますとか健康被害を引き起こすような一部の外来植物につきましては、河川工事で使用するのを避けるような取組もしておりますし、また、昔から使っておりますので、今ありますものにつきましては、例えば草を刈るときのどの時期に刈るとその花粉症の影響が少ないかというようなことも研究しておりまして、そういう対応、あるいは直接取ってしまうというようなことも含めまして、分布の拡大を防止しようということで取り組んでいるわけでございます。
 昨年の八月にはこういうような問題につきまして事例集を作りまして、「河川における外来種対策の考え方とその事例」というような冊子を発行いたしまして、一般の方にも見ていただきますし、また、私どもの河川管理の参考にしていくというような取組を現在進めている現状でございます。
○渡辺孝男君 なるべく生態系あるいは健康の被害が起こらないように、固有種ですね、在来種を使っていただけるようにお願いをしたいと思います。
 このような問題のある事例もあるわけですが、今回、植物で特定外来生物種に指定される可能性のあるものについて、小池環境大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(小池百合子君) この法案では、動物だけでなくて、植物も対象としております。生態系に係る被害のおそれがあるならば、動物であれ植物であれ特定外来生物に指定されるということになるわけでございます。
 中央環境審議会の答申の中に「移入種対策に関する措置の在り方について」という項目がございますけれども、その中では、アレチウリなどによります在来種との競合、そして在来種の駆除が、外来植物による影響の例として示されているところなんですけれども、どのような生物を指定していくのかについては、この法案に基づいた基本方針に基本的な考え方を定めまして、その上で影響の実態を踏まえてさらに専門家の意見をお聴きするということで、個別に検討していくことになりますので、現時点で具体的にこれがいい、これが駄目というような形でお示しすることはなかなか難しゅうございます。
 いずれにいたしましても、植物を含めて検討をしていくということでございます。
○渡辺孝男君 次に、加藤環境副大臣にお伺いをしたいんですが、特定外来生物の防除が必要になり、原因者負担を求めることになる場合、原因者の特定に当該動物の個体識別のために埋め込まれたマイクロチップは有用であると、そのように考えておりますが、当該動物の子孫が起こした被害の確定には、例えばDNAの鑑定など別の識別方法が必要になると考えます。
 このような原因者負担の実効性を担保するために環境省はどこまで民間事業者を含め国民の協力を求めていく方針か、お伺いをしたいと思います。
○副大臣(加藤修一君) 原因者の責任を追及し費用の負担を求める上でも、個体識別を可能にするマイクロチップの利用は非常に有益ではないかというふうに考えております。
 しかしながら、逃げた個体の子孫についてDNAの鑑定による個体識別を行い原因者を特定するということについては、技術的にも、また費用的にも難しい面が非常に多いというふうに我々考えてございまして、いったん逃げてしまった場合については、捕獲に要する労力というのは、これは事後的な対応に当然なるわけでありますから費用は膨大になると。これはほかのケースも随分とあるようでございますので、こういった事態をなるべく避けるための未然の防止、これを極力考えていかなければいけないと。
 そういった意味では、飼養等の許可に際しては、その生物が野外になるべく逃げ出さないように、なるべくというよりは最大限逃げ出さないようにしなければいけない、そういう構造の施設で飼養等にすることや、必要に応じまして動物の不妊化の措置、そういったものも考えていかなきゃいけないなと、このように対応を準備している次第でございます。
○渡辺孝男君 最後の質問になりますけれども、二〇〇二年にスイス・グランで開かれました国際自然保護連合、IUCN理事会において承認された外来侵入種による生物多様性喪失防止のためのIUCNガイドラインでは、奨励される行動の一つとして、エコツーリズム事業を扱う事業者に対して、生態学に、脆弱な島の生息地や生態系内に、外来の植物及び動物の意図しない導入を防ぐためのガイドラインを開発するよう求めておりますけれども、日本の現状あるいは外国の事例について、環境副大臣にお伺いをしたいと思います。時間が短くなってしまいました。簡潔にお願いいたします。
○副大臣(加藤修一君) そのような指針が作成された事例は承知しておりませんが、例えば小笠原諸島の南島などにおいては、エコツーリズムで訪れる入島者に対して靴を洗うと、そういうような指導はしている事例があるとは伺ってございます。
 ただ、非意図的な外来生物の導入による被害を防止するための措置の在り方については、今後、そういった面も含めまして、大臣が今議長をやっておりますエコツーリズム推進会議の中においても検討を行ってまいりたいと、このように考えております。
○渡辺孝男君 ありがとうございました。
 終わります。
○岩佐恵美君 前回に続きまして、外来生物による被害の問題について伺います。
 アライグマの被害が全国に広がっております。二〇〇二年には四十都道府県から報告をされております。
 神奈川県の場合、九九年には十六頭のアライグマが捕獲されて自然環境保全センターに持ち込まれました。ところが、二年後の二〇〇一年には二百二頭と十二倍以上に急増しています。特に被害が大きい鎌倉市の場合、二年度の相談件数が四百四十七件、捕獲数は二百二十八頭に及んでいるということです。最近では、農業被害だけではなくて、家の天井裏にすみ着いてふん尿被害をもたらす、天井裏に上がってみたらふんの山があっちこっちにできている、尿も垂れて天井が染みになっている、そういう被害が出て住民が非常に驚いているそうですが、それから池のコイを食い荒らす、都市部にまで被害が広がっております。アライグマは既に三浦半島全体に広がっていて、生態系への影響も出ています。
 鎌倉市では、タヌキの目撃情報が減って、疥癬にかかったタヌキが増えているということだそうです。ただ、これも因果関係がどこまであるのかというのは正確なものはつかまれていないということです。横須賀市では、トウキョウサンショウウオが激減して、例年百以上も産卵していた池で昨年は四つしか見付からなかった、卵がですね、見付からなかったという深刻な状況だということです。池の周りにはアライグマの足跡があって、食べ残しのトウキョウサンショウウオの死体も見付かっております。三浦市でもアカテガニ、アシハラガニが激減していて、足跡やあるいは食痕からアライグマの影響ではないかと考えられております。
 アライグマによる生態系の被害について、全国の実態を調査をして対応をしかるべくしていく必要があるのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(小野寺浩君) アライグマの実態については委員御指摘のとおりであります。これまで都道府県に照会をして実態を把握に努めているところでありますが、更に具体的な被害の実態について調査を行ってまいりたいと考えております。
○岩佐恵美君 アライグマは暖かい湘南地方では年二回繁殖をするということです。最近では鎌倉市だけで千頭を超えたと推定をされております。鎌倉市は、被害を受けた市民にわなを貸し出して、捕獲したアライグマの処分は業者に委託をしているということですが、被害が増えるばかりで、三年度は処分委託費の当初予算をもう既に八月で使い切ってしまったということだそうです。市の担当者は、有害駆除では被害はなくならないと、広域的な生息調査や根絶対策が必要なんですが、市ではとても対応できないと訴えておられました。また、神奈川県の自然環境保全センターの担当職員も、市町村、県の役割分担による広域的で統一した捕獲の推進、あるいは全国的なネットワーク作りが必要だ、そう提起をしておられます。
 このアライグマについては、もう神奈川県から飛び出して東京の方に進出をしていくんではないか、あるいはもう進出しているかもしれませんが、とにかくそういう実態があるわけですね。ですから、市町村はもちろんですが、県だけでも対応できない、やっぱり全国的なネットでやっていかなきゃいけないという事態になっていると思います。こういう根本的な全国ネットでの対策を進めるというためにも、国が積極的に音頭を取っていくということが必要だと思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(小野寺浩君) 我々の提案しております法律の仕組みは正におっしゃったとおりのことを意図している法律であります。したがって、この法案を通していただいて、仮にアライグマが本法案の特定外来生物になれば、正に国が中心になって都道府県、自治体、あるいは住民と一緒になって駆除対策を講じるということになると思います。
○岩佐恵美君 鎌倉市では、この間取り上げましたけれども、前委員会でも取り上げましたけれども、タイワンリスが一万から三万頭と急増をしています。電線とか戸袋をかじる、果実を食べる、そして樹木の皮をはぎ取るという被害が出ております。この被害が山の中まで広がって、生態系への影響が非常に心配をされています。タイワンリスの場合、人への直接的な被害はそれほど大きくないわけですし、一見かわいいので観光客がえさなどを与えることもあります。駆除を進めるには、市民の理解を得た上での協力が絶対に欠かすことができません。市の担当者も、タイワンリスを駆除すると言うと大変市民から抗議が来て、もう板挟みで困っていますということでした。
 そういうためにも、行政が率先して生息実態とかあるいは生態特徴などについて科学的な調査をしてデータをしっかり集めた上で、根絶なのかあるいは生息管理なのかなどについて、これも市民と相談しながら協力してもらうという、市民に協力してもらうという取組が必要です。ところが、市町村では専門的な知識や体制は希薄です。調査にも相当お金が掛かります。
 各地域で広域的な取組ができるように、環境省としても、この特定外来種に指定されないものについて非常に被害が広がっている、そういう実態も踏まえて、こういうものについてはマニュアルを作るとかあるいは調査や計画作りに国として補助金を付けるなど面倒を見ていくとかいうような私は是非知恵を出してほしいと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小池百合子君) 外来生物対策を実際に推進していくためには、それぞれの地方自治体などとの連携というのは非常に重要だというふうに考えております。
 それから、防除の方法についてですけれども、その今御指摘のタイワンリスの場合、アライグマの場合、いろいろとそれぞれ生態が持つ特性がございますでしょうし、また防除の仕方についても、それぞれの特性に応じた形での取組ということが必要になってまいりますので、専門家の考え方、方法、知見、これを収集いたしまして、また調査も進めまして、その結果についてはそれぞれの地方自治体の、地方公共団体のみならず、今市民の皆様のお話もございましたし、幅広く一般の方々にもそういった情報の提供は努めてまいりたいと考えております。
○岩佐恵美君 次に、未判定外来生物の問題について発議者に伺いたいと思います。
 政府案では、疑わしいものを未判定外来生物に指定をして、輸入届出から六か月以内に有害性の有無を判定することになっています。ところが、その未判定外来生物について六か月以内に判定するのは困難な場合も十分予測をされます。期限内に被害のおそれが立証されなければ、少々疑いが残っていても無害通知を出さざるを得なくなると思います。
 民主党案では、新規外来生物について審査をするということになっていますけれども、その点はどうなんでしょうか。
○小川勝也君 民主党案ではそのような期限を区切っておりませんので、生物多様性への影響の有無についてしっかり結論が出るまで審査を行うことを想定しております。
○岩佐恵美君 外来生物を持ち込むと、大なり小なり生態系に何らかの影響を及ぼす、後になって問題が判明する、そういうことがあります。例えばクワガタムシの場合、以前は国内では繁殖しないと思われていた熱帯産のクワガタムシが国内で定着をしています。八重山諸島に侵入したタイワンカブトムシが奄美大島まで北上しているという事例や、北海道にペットとして持ち込まれた個体が野生化して、道北や道東地方にも定着して個体数を増加させている、そういう事例も報告をされています。
 最近、環境研究所の調査で、外国産クワガタムシと在来種との雑種から二代目が生まれる、そういうことが確認されたとテレビでも私見てびっくりしましたけれども、その点について報告してください。
○政府参考人(小野寺浩君) 国立環境研究所では、輸入昆虫が生態系に及ぼす影響の有無について研究を行っているところでございます。
 その結果、室内での実験の結果ですが、インドネシア産のスマトラヒラタクワガタと日本産ヒラタクワガタの間で交雑した個体が生まれること、交雑した個体の雄と雌を掛け合わせると雑種第二代が生まれ、成虫になることが確認されております。この研究により、外国産ヒラタクワガタと国産ヒラタクワガタは、その交雑個体にも繁殖能力があることが明らかになっております。
○岩佐恵美君 輸入が許可されている外国産クワガタムシの交雑種が野生化するおそれは十分あります。他の外来生物についても、当初は被害のおそれは小さいと思われたものがその後影響が明らかになる、そのことは十分考えられます。
 我が党の修正案では、その点について、輸入届が出された未判定外来生物について、被害の可能性は少ないけれども直ちに無害とは言い切れない、そういう場合には環境に放出しないとか、不特定多数に販売しないとか特定の地域には持ち込ませない、そういう取扱いに一定の制限を加えることができるようにしたわけですけれども、そういう点、私はこういう考え方が非常に重要だと思っているんですが、発議者とそして環境省にそれぞれお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(小野寺浩君) 我々の考え方、仕組みでは、影響があるものはもちろん特定外来種に指定しますし、影響があるおそれのあるものを未判定外来種としてかなり厳しく見た上で、かつ影響が実態上ある、あるいは知見が得られた場合には特定外来種にするということでありますので、御指摘のグレーの種については運用上広く特定、未判定を取ることによって基本的には回避されるというのが我々の考え方です。しかしながら、そういうことが理論的には可能性もありますので、いろんな知見なり情報を集めて、ないようにしていくということは努力したいと思います。
○小川勝也君 御指摘のとおり、政府案においては六か月以内に生物多様性への影響についての知見が完璧にそろわないケースも十分にあり得ると思います。そのような場合におきましては、もし仮に輸入を認めるといたしても、知見が十二分にそろうまでの取扱いには御指摘のように一定の制限や条件を加えることも、制度の運用上、検討するべきではないかと考えます。
 また、知見が加えられた時点で判定を覆すということも当然あってしかるべきだと考えています。
○岩佐恵美君 次に、その特定外来生物の指定や飼養等の許可についてですけれども、これは厳正に行った上で、その後の管理をきちんとしていくことが重要であります。政府案では、許可をすれば後は取扱者に任せる、問題が起きて初めて報告徴収や立入りをするということになっているわけですけれども、輸入販売業者に対して売買について届出をさせる、あるいは日常的に管理状況を把握できるようにしていく、そういうことが必要だと思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(小野寺浩君) 飼養の許可に際して必要な情報を報告するように条件を課すことということを考えております。その条件の内容の問題が一つあると思いますが、どのように外来生物を許可を受けた者が扱っているかについては、報告徴収、立入検査の規定、また我々の中での外来生物防止の取締官の制度を活用して、できるだけ定期的な情報を収集してまいりたいと思っております。
○岩佐恵美君 特定外来生物が環境に漏れた場合には、遺伝子組換え生物規制法のように、取扱者に被害防止の措置を取らせるということが必要だと思いますが、その点いかがでしょう。
○政府参考人(小野寺浩君) 今度の仕組みの考え方は、飼養の許可に際して、厳しく見て、環境上に逃がすことがないような者、能力を持った者に許可を与えるというのがまず原則であります。それから、逃がさないように必要な措置を許可の条件として付するというのが次の考え方でありますし、飼養の方法についてルールをあらかじめ定めて、それに従ってもらうということもあります。それから、防止するために、施設の破損その他、環境に影響を及ぼすようなことがないように命令を課すこともできることになっております。
 これらを全部まとめまして、特定外来生物が遺棄された場合には厳格な罰則が科せられることになっておりますし、防除が必要となって国及び自治体が仮に行った場合、防除措置を行った場合には、原因者としての責任、費用負担が求められるというのが我々の制度の概要でございます。
○岩佐恵美君 先ほどの質問でも出されましたけれども、輸入販売業者が外来生物をどんどん買い付ける、その一方で、それによる被害の対策、これを税金でやるというのは、私は到底国民の理解を得ることはできないと思います。本来、届出者が無害立証をすべきだと思います。少なくとも海外の生息地での生態あるいは他の生物に及ぼしている影響、国内での繁殖の可能性あるいは在来種との競合、交雑の可能性、国立環境研がクワガタムシの交雑の研究やりましたけれども、これには相当手間暇も掛かるし、予算も掛かる、大変なことだと思うんですね。全部をやるというのはなかなか大変なことですね。
 そういうようなことについて、とにかくあらゆる資料をきちんと、輸入者あるいは販売業者、届出をした人たちに、あるいは業者に調査資料を提出をさせるべきだというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(小野寺浩君) 届出手続の中で、輸入しようとする者に対して、できるだけ生態系影響その他の基礎情報を提供を求める、義務付けることは考えておるところであります。
 ただ、根本的な被害判定については、公平性その他の観点から、主務大臣が最終的に決断すべきものと考えております。
○岩佐恵美君 次に、水際での対策の問題ですが、輸入貨物などに紛れ込んでくる非意図的侵入対策、これも重要だと思います。
 厚生労働省の調査では、一九九九年に小樽港で見付かったクマネズミ三十一匹の染色体を調べたところ、すべて外来種のオセアニア型クマネズミだったということです。その後も毎年、同種のクマネズミが見付かっているということです。また、十六の港で見付かった百五十匹のハツカネズミのミトコンドリアDNAを調べたら、外来種のハツカネズミが七港で四十七匹見付かりました。いずれもコンテナに入り込んで持ち込まれたものと推定されています。しかも、全国三十四の空港、港湾で二千二百八十八匹のネズミの調査では、八か所、六十二匹から外国のネズミが宿主である病原体ウイルスが発見されています。
 今回の法律は、非意図的な導入の対策はありません。本格的に導入経路の調査を私は行うべきだと思います。判明した場合には、貨物の輸入業者や運搬業者などに侵入防止措置を求めるなどの対策が必要だと思います。
   〔委員長退席、理事ツルネンマルテイ君着席〕
 私、鹿島に調査に行きました。そのときネズミ対策の資料があったので、ずっと毎年の駆除の数を見ていたんですね。そうしたら、ある年だけ、二けた台でずっと続いているものが、ある年だけ一けたしかないんですね。その年はネズミが出なかったのと聞いたら、いいえ、そうではありませんと、予算が少なくて、わなを仕掛ける箇所が減ったためですという話をしていました。それだけ、だから大変なんだなということを思いました。
 そういう意味でいうと、この外来種の法律の精神ですけれども、とにかく被害が起こってからではなかなか駆除をしたり対応するのが大変なわけですから、元でどうやってとどめていくのかということが一番大事だと思いますので、この点についてお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(小池百合子君) 今、クマネズミの例を御自身で歩かれて調査されたことも含めてお話がございまして、御質問がございました。ネズミ算と言うぐらいですから、意図を持って入れようとしたのではないけれども、結果的に被害をもたらすという例の一つだろうと思っております。
 いずれにいたしましても、目的を持って意図的に持ち込まれるのではなくて、今ありましたように、人若しくは物資に紛れて持ち込まれる特定外来生物でございますけれども、輸入とか買うなどということの行為が伴わないわけでございますので、現実にはなかなか直接的な規制は困難と言わざるを得ません。ただ、こうしたいわゆる非意図的導入の場合でございますけれども、いずれにいたしましてもそれによって被害が生じるということであるわけでございまして、それに対しての対応が必要であるということは認識を持っております。
 この外来生物の非意図的な導入についても、どうやってそれが入ってきたのかという導入経路、それからどのようにその後繁殖するのかなどの生息の状況などについては調査を行いたいと、このように考えております。また、物を運搬するときなどの非意図的な導入が生じやすい場所、今ございました港とか、そのほか空港などもそうでしょうか、その関係者に対しまして外来生物を発見した場合の通報などの協力を求めるということも検討要件かと思っております。
 いずれにいたしましても、被害が確認された場合には速やかに防除などの措置を検討すると、このようにしております。
○岩佐恵美君 終わります。
○高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。
 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案について質問させていただきたいと思います。
   〔理事ツルネンマルテイ君退席、委員長着席〕
 この特定外来の生態系に係る被害を持つ生物は、環境大臣によってその生物の種類を決めていらっしゃると思います。そして、その生物を売ったり買ったり、経済活動に使っていらした方は大変急に来なくなるわけですから困るんですけれども、そのときにやはり大臣がそれを決める権限を持っていらっしゃるから、その業者の方たちは多分頼みに来ると思うんですね。そして、何とかそのものを入れるようにしていただきたいということがあると思うんです。
 この認定について質問したいんですけれども、これは政治資金法で規制されている、規制されて、企業から少々金品を持ってくることはある程度許されているんだと思うんですけれども、それにしても、この問題についてはやはり倫理的にそういう金品の受けることをどうしても厳しくしなければいけないように思うんですけれども、大臣、どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(小池百合子君) 特定外来生物、未判定外来生物、どれがどれなのかという指定の基準でございますけれども、また選定の考え方でございますが、中央環境審議会の意見を聴いた上でその基本方針において明らかにするということでございまして、大臣の好みとか、それから、これはひとつお願いしますよと言って、何というんでしょうか、時代劇に出てくるようなシーン、それをイメージされておられるのかどうか分かりませんけれども、そのような指定の際には、基本方針に基づくこと、それから学識経験者の意見などを聴くということがベースでございますので、御懸念のようなことが起きませんように着実に生物の指定を進めてまいりたいと、このように考えております。
○高橋紀世子君 やはりこの問題はどうしてもその生物を利用して経済活動をしていらっしゃる方にとっては大きな出来事だと思うので、今、大臣がおっしゃったように、大変そのことには倫理的に厳密にしていただきたいと思います。
 それでは、そういう、厳密にしていただきたいんですけれども、その御決意についてもう一度伺って、終わりにしたいと思います。
○国務大臣(小池百合子君) 改めて、繰り返しになりますけれども、判定、指定のベースは中央環境審議会、専門家の意見をお聴きいたした上で、科学的な知見に基づいた指定ということでございまして、そこで何らかの恣意が働くというようなことはないと考えております。
○委員長(長谷川清君) 高橋さん、いいですか。
○高橋紀世子君 終わりました。
    ─────────────
○委員長(長谷川清君) 委員の異動について御報告をいたします。
 本日、加藤紀文君及び日出英輔君が委員を辞任され、その補欠として野上浩太郎君及び小斉平敏文君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
○委員長(長谷川清君) 他に御発言もないようでございますから、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案に対する質疑は終局したものと認めます。
 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案の修正について岩佐恵美さんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。岩佐恵美さん。
○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表して、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。
 外来生物問題は、人類生存の基盤である生物多様性を脅かすものであり、島国の固有の生態系を持つ日本では一層重大です。既に国内には多くの外来生物が定着し、アマミノクロウサギなど絶滅危惧種を捕食するマングースや、身近な生活環境、自然環境を荒らしているアライグマなど、大きな被害が広がっています。しかも、日本には年間五億件を超える動物が輸入されており、その実態はほとんどつかまれていません。このままでは、被害の拡大、深刻化が予想されます。
 ところが、内閣提出法案では、特定外来生物や未判定外来生物以外は全く法律上は野放しです。しかも、外来生物について科学的に検証する仕組みがありません。規制すべき外来生物の迅速確実な指定が危ぶまれます。さらに、未判定外来生物の届出から六か月を過ぎれば、疑いが残っても輸入、販売等が自由となってしまうおそれがあります。導入された外来生物の状況把握や取扱業者の責任が不明確で、被害の早期発見、早期対策が遅れる心配があります。防除についても、きちんとした計画がなく、鳥獣保護法の適用除外によって無秩序な捕獲が拡大するおそれが指摘をされています。
 そのため、以下の内容の修正案を提案いたします。
 第一に、外来生物対策は、予防原則を適用し、科学的な調査検討に基づいて行う必要があります。
 そのため、生態系への被害防止のための基本原則を定め、主務大臣は環境大臣とします。特定外来生物の指定などは、外来生物審査委員会で調査検討し、無害性が確認されない未判定外来生物は、不特定多数への販売禁止など、厳格な管理を行います。
 第二に、輸入販売業者などの責任を明確にすることです。
 未判定外来生物の輸入届出の際には、生態系への影響に関する資料を添付すること、外来生物の管理や販売などの状況を報告すること、万一外部に漏れた場合には被害防止措置を講ずることなどを義務付けます。また、将来の被害対策に充てるために、外来生物の輸入販売業者等に一定の出捐金を求めることとします。
 第三に、防除計画をきちんと定めるとともに、防除における鳥獣保護法並みの遵守事項を定めることとします。また、地域に特有の問題に対処するため、都道府県による被害防止を積極的に進めるようにします。
 その他、輸入貨物への付着などによる侵入対策、在来生物による被害防止措置の検討の規定を設けます。
 以上が修正案の概要です。
 委員各位の御賛同をお願いし、提案理由の説明といたします。
○委員長(長谷川清君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○ツルネンマルテイ君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提案の特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案に対する反対の討論を行います。
 外来生物問題は深刻さを増しており、実効性ある対策の樹立が喫緊の課題となっております。この要請にこたえるべく、私ども民主党は昨年十月、本邦初の外来種法案を本院に提出し、今国会に、更に内容に磨きを掛けた上で再提出しました。
 しかるに、今国会になって政府がようやく提出した外来生物法案は、対象となる外来生物の範囲が余りにも限定されているなど、外来種の管理の上でほとんど役に立たないものと言わざるを得ません。このことは、本会議及び当委員会のこれまでの審議の中でも指摘しているところがあります。責任政党である民主党としては、たとえ外来種法案といえども余りにも実効性のない法案には賛成することはできない、この基本的スタンスをまず明確にしておきたいと思います。
 以下、政府提案の外来生物法案に反対する理由について、その主なものを申し述べます。
 まず、繰り返しになりますが、二千種以上もある外来種に対し、政府案ではその対象を特定外来生物、いわゆる侵略外来生物だけに限定していることです。しかも、政令で指定する予定のものはわずか数十種ということでは、生物多様性を保全することなど到底できないと断ぜざるを得ません。
 次に、外来生物対策では、予防原則の観点から水際規制が最も重要ですが、政府案ではこの措置が極めて不十分なものであることです。すなわち、政府案では特定外来生物及び未判定外来生物の輸入を規制することにとどまっている、指定されない種については何ら規制がなく、極めて問題です。
 また、政府案では防除に当たっては鳥獣保護法を適用除外としたことも大きな問題です。このために、NGOの皆さんからは、防除を実施する際には在来種の錯誤捕獲や混獲などが行われるのではないかと懸念されています。
 このほか、防除の実施主体が都道府県でないなど、政府案は実効性の観点から余りにも問題が多過ぎます。
 このような政府案に対して、民主党案では、水際規制の充実を始め、予防原則やリスク評価を踏まえた実効性のある法案となっており、これがあるべき外来種法案であることを改めて強調しておきたいと思います。
 今回、民主党案は通りませんでしたが、民主党が政権政党になった暁には、抜本的な外来生物に対する法律を作りたいと思っています。
 最後に、今回の政府案に対しては、自然保護にかかわる多くのNGOも実効性に欠けるとして修正を求める要望書を提出しております。しかし、政府・環境省は、こうした意見にも全く耳をかさず、一切の修正に応じようとしないことは極めて遺憾であると強く指摘し、私の反対討論を終わります。
○委員長(長谷川清君) 他に意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案について採決に入ります。
 まず、岩佐さん提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(長谷川清君) 少数と認めます。よって、岩佐さん提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(長谷川清君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(長谷川清君) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。小池環境大臣。
○国務大臣(小池百合子君) ただいま議題となりました廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国においては、硫酸ピッチの不適正な保管といった悪質な廃棄物の不適正処理が依然として後を絶たず、また、廃棄物の処理施設における甚大な事故が発生するなど、廃棄物をめぐる問題の解決は、なお喫緊の課題となっております。こうした課題に的確に対処するため、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明を申し上げます。
 第一に、産業廃棄物の不適正処理の事案に対処するため緊急の必要があると認めるときは、環境大臣は、都道府県知事に対し、必要な指示をすることができることといたしております。
 第二に、硫酸ピッチといった人の健康又は生活環境に係る重大な被害を生ずるおそれがある廃棄物の不適正な処理を直罰をもって禁止することとするほか、廃棄物の不法投棄や不法焼却の目的で廃棄物の収集又は運搬をした者を処罰の対象とするなど、不法投棄の撲滅に向けた罰則の強化を行うこととしております。
 第三に、廃棄物の最終処分場の跡地などにおいて土地の形質の変更を行おうとする者に対し、その施行方法等を都道府県知事へ届け出ることを義務付けるなど、廃棄物が地下にある土地の形質の変更による生活環境の保全上のリスクを管理するための制度を創設することといたしております。
 第四に、ごみ固形化燃料施設など、廃棄物の特定の処理施設において事故が発生し、廃棄物の飛散など生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その施設の設置者に応急措置の実施及び都道府県知事への事故の状況等についての届出義務を課すなど、廃棄物の処理施設における事故時の措置に関する制度を創設することとしております。
 第五に、廃棄物処理施設の設置手続を円滑に進め、再活用を促進するため、過去に許可を受けて設置された廃棄物処理施設と、その設置の場所、施設の種類、処理能力などの事項が同一の廃棄物処理施設の設置許可の申請については、生活環境影響調査書の添付及び公衆の縦覧を要しないこととしております。
 最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。
○委員長(長谷川清君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲りたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十一分散会