〜パワーのある99年車と同じセッティングにする実験〜


はじめに

私のスーパーシェルパは2000年モデルのため、排ガス規制に対応するため以前のモデルに対してキャブレターのセッティングを変更したり、フレッシュエアを排気ポートで排気ガスにミックスし、未燃焼ガスを燃焼させるなどの対策が施されている。個人的には、オートバイの排ガス規制を強化するよりも、トラックなどのディーゼルエンジンの排ガス規制を強力に推し進めるのが先決だと思うのだが、いったいどうなっているんだろうか・・・

排気ガスがクリーンになるのは大変に結構なことなのだが、残念なことに2000年仕様車は1999年仕様車に比べるとごくわずかだがパワーダウンしている。(最大出力は26PSで同じだが、発生する回転数が上がっている。また、最大トルクは2.4Kgmで、0.2Kgmのダウン)
これはガスをできるだけ薄くするセッティングになっているからだろう。最新モデルがパワーダウンしてるなんてちょっと気分が悪い。どうにかならないものだろうか。
2000年仕様車と1999年仕様車ではどこが違うのだろうか? パーツリストで調べてみた。

違い@ マフラー(未燃焼ガスを燃やすための触媒が追加されている)
違いA インテークの負圧が動力源のエアポンプが追加
違いB キャブレターのニードルジェットとジェットニードルの番手が違う

これらの違いを埋めてしまえばよいわけだ。いろいろと考えた結果、

@のマフラーは、社外品マフラー(スーパートラップ)に変えることにします。触媒などはついていないので抜けは良くなるはずです。ディスクの枚数で特性を調整することもできます。
Aのポンプは、外してしまうとチューブやパイプに末端処理(開放あるいは栓)をする必要がでてきたり、簡単に元に戻せなくなってしまう、などの理由から、そのままにしておくことにします。エアを混ぜるのは排気バルブよりも後だから、エンジン特性に影響はないものと思われます。
Bについては、99年仕様車の部品番号でパーツを注文し、交換することにします。

以上の方針をもとに、実験してみることにします。


交換作業

シェルパのキャブレターミクニBST34

このキャブレターには、2000年仕様車用のニードルジェットとジェットニードルが取り付けられている。
キャブレターを外すには、まずサイドカバー、フューエルタンクをはずす。

おっ立っているのはタンク入り口用の水ドレーン

スロットルワイヤ、アイドリングアジャスタを外す

次にスロットルケーブル(引きと戻り両方)とアイドリングアジャスターを外します。エアポンプの2本のボルトを外すとスペースができて作業がやりやすいので外してしまいます。
さらにチョークケーブルを外そうとしたが、外し方が良くわからなかったので、チョークケーブルをつけたまま、車体にぶら下げた状態でキャブレターをばらすことにしました。(多分、黒い六角ナット状のプラスチックの部品をスパナで回せばはずれると思うんだけど、スパナがものすごく入りにくいところなのであきらめてしまった)エアクリーナ側とマニホールド側のバンドを目一杯緩めて、マフラーがある側に引っ張ってキャブレターを外します。このとき、エキパイを締め付けている部品が邪魔になるようだったら、ボルトを緩めて邪魔にならない位置に持っていくと良いです。

蓋とスプリングとダイアフラム付ピストン一式

ダイアフラム室をばらします。キャブの天井の4本のネジを外します。ところが、これが滅茶苦茶固く締まってる!車体にぶら下がった状態なのでインパクトドライバーも使えない。ネジの頭に一滴つけるカムアウト防止ケミカルも役に立たず、完全にネジを舐めてしまいました。がっくり。ネジ自体は何の変哲もない4mm×10mmの鍋ネジなので、代わりはいくらでもある!ということでプライヤやニッパをつかって破壊覚悟の力ずくで緩めました。このネジはキャブのオーバーホールの度に新品に交換だな・・・秋葉原のネジの西川に行ってステンレスの鍋ネジとキャップボルト(こっちのほうが緩めやすい)を買ってこよう・・・・

ジェットニードル(細い棒のようなパーツ)は押せば簡単に出てきます。プラスチックの部品が2個一緒に出てきますので、取り付け位置を覚えておきましょう。
2000年仕様のニードルは、クリップ位置が3つあり、クリップがついているのは真中でした。クリップをラジオペンチをつかって外します。このとき勢い良く飛んでしまってなくなることがよくあるので気をつけましょう。クリップはEリングかとおもったら、ちょっと違うようです。なくしたらEリングで代用できるのだろうか・・・

フロート室。この蓋を止めてるネジも緩まなくて舐めてしまいそう。

次にフロート室の蓋を外します。これも4mmのネジ4本緩めるんだけど、これも固くて緩まない。ケミカルで何とか緩みました。フロートなどになるべくさわらないで、メインジェット(真中の金色の部品)をマイナスドライバーで外します。メインジェットの斜め左下の黒いプラスチックの部品は簡単に外れてしまうので作業中は外しておいたほうが良いです。でも、組み立てるときに付け忘れないでください。(私は忘れました・・・)
メインジェットを外した穴から、適当な棒で傷をつけないようにニードルジェットをベンチュリーの方へ押し出します。
最後にちょっと抵抗がありますが、そのまま押して大丈夫です。

ニードルジェット。金色のヤツが99年仕様。

2000年仕様は側面にあいている穴が2つだが、1999年は3つ。うーむ、これはガソリンがたくさん送り込まれそう。

上が99年仕様のニードル(まだ袋に入っています)

二つのニードルを比べてみると、明らかに2000年仕様は太いです。クリップ位置も2000年仕様は3つですが、99年仕様は5つ選べるようになっています。なお99年のニードルのクリップ位置(標準)は、上から3段目(真中)です。ニードルをみてもやっぱり濃くなりそうですね。

これら二つの部品を交換して、キャブレターを元通りに組み立てます。


つづく