ツキノワグマとの遭遇記録

 奥多摩山中で,ツキノワグマに遭遇した際の人とクマの挙動事例を掲載します。当HP情報コーナーに寄せられた情報です。目撃場所については,詳細部分は割愛してあります。

1999年

1999年-1

  1. 目撃日時: 1999年8月(正確な日にちは不明) 9:00頃
  2. 気象条件: 曇り
  3. 場所: 山梨県丹波山村丹波山川の支流
  4. 距離: 10mくらい
  5. 頭数: 1頭
  6. 大きさ: 100cmくらい
  7. その時クマは何をしていたか: 沢左岸の,高さ2m位の張り出した岩の上にいた。岩の上は上流にむかって平らになっていました。
  8. その時あなたは?: その沢で釣りをしていた。
  9. クマはあなたに気づいたか?: はい
  10. あなたはどのような行動をとりましたか? クマはどのような行動をとりましたか?: クマが岩の上にいた時は,木の陰なのか,動物の陰かわからなかった。大岩の上から黒い影が岩の裏に消えたので,岩の裏に何が消えたのか確認にいった。結果的にクマを追いかけるかたちになり,影がクマだと解った時の距離は約10m位でした。クマの方が先に私に気づいたようで,岩から下り沢を渡って崖を登っていった。
  11. 人数: 1人(2人で入渓したが,目撃時は1人で行動していた)
  12. クマ避け対策: 鈴と笛
  13. その他気づいたことなど: クマが左から右岸へ渡たるのをパニック状態で見て,釣竿を右手で持ち後ずさりしながら,急いで沢を下り,同行者に会い,クマがいた事を伝え,そのまま今度はM沢を遡行した。後日談なのですが,クマが沢を渡った場所は両岸共にクマが登れる場所では無く,前は滝,後ろは下るしかない地形でした。その事を考えると,M沢を釣上がったのが恐ろしくなりました。その時以来爆竹も持ち歩くようにしています。

1999年-2

  1. 目撃日時: 1999年8月16日 7:00時頃
  2. 気象条件: 曇、雲が分厚く、時刻の割に暗い朝。
  3. 場所: 東京都奥多摩町日原方面
  4. 距離: 20mくらい
  5. 頭数: 1頭
  6. 大きさ: 90cm〜100cm(若い秋田犬くらい)
  7. その時クマは何をしていたか: ウワミズザクラの木に登って、実を採食していた。
  8. その時あなたは?: 急斜面を息を切らせて登っていた。
  9. クマはあなたに気づいたか?: はい
  10. あなたはどのような行動をとりましたか?クマはどのような行動をとりましたか?: タワ地の手前の急斜面を息が上がった状態でほぼ登りきって、タワ地に入りかけたとき、20m位前方の高木(20m弱高位のウワミズサクラ)の上方でバサバサと音がして、見上げると、黒い塊が降りてくるのが一瞬見えた。「しまった。まずい。」という思いが心の中をよぎるが、とにかくクマスプレーの安全装置を外し構える。クマは茂みの陰に入って、降下をやめてとまってこちらをうかがっているらしく、こちらから見えない。向こうも降りられなくて困っているのではと判断して、とにかく距離を取ろうとクマの方をみながら横歩きで、(たぶん10mくらいか)後退する。こちらの標高が下がってくるのでまずいと感じたが、距離を早く稼ぐためには同じ標高を回り込むよりはいいと判断した。ミズナラの80cm位の木の横に立つ。(万一、アタックを受けたとき、木の裏側に回り込んで(標高的に下にはなるが)木を挟んで、クマスプレーとストックか鉈で迎撃しようと考えた。)それより下がると、クマが地面に降りたときまったく見えなくなりそうでそれもまずいと思い、そこで止まり、クマスプレーを右手指 をかけてスタンバイしながら、ストックを両手で持ち打ちならして威嚇した。ナタのホルダーのストッパーを外してすぐ出せるようにした。するとクマは尻を下にしながらあっという間に地面に降りて(クマが地面に降りると頭がぎりぎり見える高度差)、右手の斜面下(北側斜面)に走って逃げた。
  11. 人数: 1人
  12. クマ避け対策: とっていなかった。クマスプレー、ナタ、ストックは携帯していた。
  13. その他気づいたことなど: ウワミズサクラの樹肌に残った爪痕(4指)の巾は6cm強位。樹下にサクランボの着いた枝が1本落ちていて、緑色の若い実が散乱していた。黒く熟した実の割合は1割〜2割であった。(1週間前にはそのウワミズザクラの実はまだ完全に緑で、クマが来るのもまだまだだろうとたかをくくっていたのがまずかった)10mくらい離れたところに、ウワミズザクラの種を大量に含んだ糞があった。すぐそばのサルナシには、全く手をつけていなかったようであった。
  14. 性別: 男   年令: 45才
  15. 居住地: 東京都区内

1999年-3

  1. 目撃日時: 1999年9月16日 9:00頃
  2. 気象条件: 晴れ
  3. 場所: 山梨県大月市の大菩薩周辺
  4. 距離: 60m程度
  5. 頭数: 1頭
  6. 大きさ: 不明
  7. その時クマは何をしていたか?: 歩行していた。
  8. その時あなたは?: 尾根上の登山道を縦走中。
  9. クマはあなたに気づいたか?: いいえ
  10. あなたはどのような行動をとりましたか? クマはどのような行動をとりましたか?: 前方のこずえがざわざわしたが,以前このあたり山で遭遇したサルか,せいぜいイノシシだと思っていた。黒いものが見えた時,クマだと悟った。こちらが風下だったと思われるので,気付いた様子も見せず前方を横切っていた。
  11. 人数: 1人
  12. クマ避け対策: 以前この辺りを歩いたときに見つけた,クマとしか考えれない残雪に残った大きな足跡や,大きな糞(成分はほとんど柿の実と思われるオレンジ色でマシュポテト状の糞)でクマの存在は知っていたので,爆竹を持参した。遭遇の後,何発か爆発させたが効果は不明。
  13. その他気づいたことなど: 朝日を反射して,クマの毛皮がキラキラと光っていたのが印象に残る。動物園で見たクマの毛並みと余りに違うのでむしろ感動した。
  14. 性別:男性, 年齢:不明
  15. 居住地: 不明

1999年-4

  1. 目撃日時: 1999年10月16日 10:30頃
  2. 気象条件: 曇り ガス
  3. 場所: 山梨県小菅村大菩薩嶺方面
  4. 距離: 25mくらい
  5. 頭数: 1頭
  6. 大きさ: 100cmくらい
  7. その時クマは何をしていたか: 登山道脇の木に登って多分どんぐりだと思うが木の実を食べていた。木がガサッと揺れて葉っぱの陰に隠れたが隣の木に移った様だった。やがてゆっくり降りてきた(お尻を下にして普通に)。
  8. その時あなたは?: きのこを探しながら登山道をゆっくり登っていた。
  9. クマはあなたに気づいたか?: はい
  10. あなたはどのような行動をとりましたか? クマはどのような行動をとりましたか?: 最初地元の人が木に登って作業している様にも見えて立ち止まり目を凝らした。クマだと気付いたと同時に余り大きくないなと考えたとたんに親グマの事が浮かび,頭の中が一瞬真っ白になって回れ右して直ちに脱兎の如く登山道を10分足らず駆け下った。クマは前述の様に隣の木に移ってゆっくり降りてきた。それ以後は見ていない。
  11. 人数: 1人
  12. クマ避け対策: 鈴をつけていた。
  13. その他気づいたことなど: 登山者やマウントサイクルの人がよく通る登山道なのだが土曜日の朝でしばらく登山者も通っていなかった事とガスがうっすらかかっていたのでクマも油断していたのだろう。時折薄日が漏れていたせいか黒いはずの毛がグレーっぽく見えたのと頭部がアリクイの様に見えたのが印象的だったし手足が幹にからまっていたのがはっきりと見えた。後になって幻を見た様な一瞬の出来事だったが今月の6日(5/6)NHKで放送した西中国山地のツキノワグマを見て現実だった事を認識した。子グマだと考えたのは印象。クマが登っていた木はたいして太くなく,せいぜい直径20ー30センチ位であった。
  14. 性別: 男   年齢: 50才
  15. 居住地: 東京都区内

1999年-5

  1. 目撃日時: 1999年10月17日 14:00頃
  2. 気象条件: 晴
  3. 場所: 山梨県塩山市鶏冠山系
  4. 距離: 10m
  5. 頭数: 1頭
  6. 大きさ: 60cm
  7. その時クマはなにをしていたか: 笹原の上の方から疾走して、私の目の前を横切り下って行きました。
  8. クマはあなたに気づいたか?: 分からない
  9. あなたはどのような行動をとりましたか?: キャンプ用のミニナイフを腰から取ろうとしましたが一瞬のうちに笹原に入って行ってしまいました。クマは笹原から登山道に出たときに一瞬立ち止まりましたが、こちらを向いて(向いたように見えただけかも)直ぐに笹原を下って行きました。
  10. 人数: 1人
  11. クマ避け対策: 季節的にクマに遭遇してはまずいとは思っていましたが、たまたまその時に限り用意はしていませんでした。
  12. その他気づいたこと: 山でクマに遭遇したのは始めての経験です、笹原のかなり遠くから視界には入ってはいたのですが何か黒くて丸いものがガサガサ云って近づいてくる様は不思議でした最初は何かと思い立ち止まってみていましたが、クマと気が付くのに少し時間が掛かりました、笹原の中にガサガサ音がする時々黒くて丸いものが笹原の中に見え隠れするだけでは,クマだと認識するのはなれない人だと,多分私と同じ感じでしか取られられないのではと思います。
     クマは、かなり遠くからこちらに向かって走って来ましたが、私を目指してと云う風には感じませんでしたし、私には気が付いていないと思います。たまたまクマが歩く進行方向に私がいた感じです。また、笹原の中を走ってきたのでクマの視覚には私は入っていなかったと感じます。笹の丈はせいぜい70cm位で、その笹原で背中が見えるくらいの大きさですから,笹が視界の障害物になっていたと思います。またクマが、ハイキングコースを横切る時に私に気づいて逃げるような感じだと思います。ですから、谷側ノ斜面を下るときはすごく早く降りて行きました。笹原の中を走っていたのは何故だか解かりませんが、全速力で走っている感じでは(私と面会する前は)ありませんでした。早足でなく、軽いギャロップ位でしょうか?
  13. 性別: 男    年齢: 48才
  14. 居住地: 埼玉県入間市

戻る