WAVE KIT SA13 追加 diode ladder VCFの実験 |
回路図を以下に示します。
初め誤配線というか半田が付いていない所が2箇所あって動きませんでしたがそれを直したら動くようになりました。 OP AMPの差動AMPの Rfが10Mであると出力が入力信号の約7倍程度になってしまい入力信号を3V程度にしてもクリップしてしまいます。(電源電圧+/-12V) 入力と出力は Rf=1.5Mでほぼ1倍になります。 一応 filterとしての動作はしているようですが、resonance Volを上げた時のゲインの低下が激しい。 これは負帰還タイプのfilterだからいたしがたないのですが、resonanceがほとんどかからず波形がそれらしくなりません。 信号入力をやめてresonance Vol 最大にして見ると発振している周波数は11KHzから55KHzくらいで55Kの方は振幅が2V程度あるのに対して11Kの方はとても振幅が小さい(100mV程度)でした。 これだと resonanceを上げても入力信号の周波数がかなり高くないと波形が変化しないでしょう。 Rf=10Mだと出力レベルが高すぎる(Fc全開、resonanc=0時)ので入出力が1:1くらいになるようにRf=1.5Mとするとさらに発振周波数はせばまり40KHzから50KHzくらいになってしまいます。 これでは(入力信号との周波数がかけはなれているため) 全くと言っていいほどresonanceがかかりません。 しょうがないのでRf=4.5Mとしたところ発振周波数は16KHzから47KHzとはなりましたがこれでも使い物になりません。 とにかくFcが低いすなわち制御電流値が小さくなると発振しなくなります。 このVCFの制御電流はCV=0V時の初期制御電流値を決めるR7=100KΩの時、CV=12.4Vで ladderの片側に300uAくらい流れる計算になるのでその時の Fcは46KHzくらいであって上の結果と合っています。 Fcが50KHzも必要ないので filterのcapacitorの値を0.01uFから2倍の0.02uFにした所、発振周波数の上限は約 23KHzとなり下限はなんと230Hzまで発振するようになりました。 低い方まで発振できるようになったのはいいのですがその際の振幅はやはり小さいです。 今度は resonanceをかけてやるとやっとそれらしい波形になるのはいいのですが、低域での発振振幅が小さいのでまだ一般的な resonance波形には遠い形になってしまいます。
発振振幅(cap=0.02uF)
せめて低域で100Hzくらいまで発振して振幅も数倍ほしいです。 Rf=4.5Mで制御電流の大元の値を決めている R15の値を10Kから4.7Kにして電流が2倍になるようにもして見ました。 高域の発振周波数は上がり1.4倍程度にはなり低域は 1/1.4倍までは下がりますが、2倍 1/2の関係にはならず。
状況としては
・ OP AMPのゲインを増やせば発振できる周波数が下がる。 ではと言うことでさらにcapacitorの容量を2倍に増やすべく部品棚をのぞくと0.039uFがないので0.047uFを使って再度実験、当然高域の発振周波数は7.5Kくらいに下がるも低域は100Hzくらいまでは発振するようになりました。 上限が7.5KではどうしょうもないのでR15の値の半分の4.7Kにするもcapacitorの容量が約2.5倍なので発振周波数は倍の15KHzには届かず。 結局R15を3.3Kにすることでほぼ15KHzの発振となりました。 今度は低域の100Hz発振時振幅は1Vはあり、15KHz時の2.3Vと比べてもそこそこの振幅です。 振幅は非常に小さくなりますが、40Hzくらいまでは発振するようになりました。 これにより一般的な resonance波形がやっと出てくるようになりました。
結局の所、回路自体は特別変な所はないと思われるので定数の設定がかなり悪いということなのでしょう。 ladder filterで capacitorの値が0.01uFというのはあまり見かけませんので。 今回の修正したcapacitorの値は0.047uFですのでladder filterの定番値と言える0.068uFに結果的に近くなっています。 ladderの片側に流れる制御電流も CV=12.4Vで900uAくらいに増えていると思われます。
この基板を製作してからCV=0Vから6Vまでの動作がとても不安定というかこの範囲で変化が見られない状態にありました。 結果的にはこの基板にパスコンをつけるのを忘れていて異常発振をしていたことが原因でした。 たまたまQ4のベースにクリップ付きの線をつなぐと正常に動くことを発見しQ4のベース-GND間に100Ωの抵抗を付けたらなおったのですが気持ちがわるいので抵抗をはずして近辺を見ると OP AMPの反転端子で非常に小さな発振波形を確認。 長らくDIYをやっていないのでだいぶぼけていました。
|
* なぜ低域では制御電流値が小さいと発振できないのか
diode ladder filterのFcはdiodeの微分抵抗とcapacitorの値で決まります。 微分抵抗は定電流源の制御電流の値で決まるわけで filterの CVとFcの関係は改造前のオリジナルの定数でも問題なく動いているはずです。 ではなぜオリジナルの定数では低域での発振が出来ないのか?。
*: Fc= 1 / (2πCR) ....... (CR filter 1段) ladder VCFの Fc = Io /(8π * C * 0.026) = Io / 0.653 * C
I: 片方のladderを流れるBIAS(制御)電流 このVCFでは両側のladderで共用しているCを2倍の容量のC、2個で置き換えるとCとCの中点は交流的にGNDとなり両ladderを分離して考えることができるのでその際 Cは元のCの2倍、 またテイル電流の1/2が各ladderに流れるのでFc= 1/(2πCr)の式は Fc=1/(8πCr)となる。 capacitorを0.01uFから0.047uF変えたことによる効果は単純に同じFcにおいて制御電流が増えている(より小さい微分抵抗で同じFcになる)。 この場合は約5倍と言うことになり微分抵抗はオリジナルの 1/5の値で同じcutoff 周波数になる。 filter 1段についていえば当然同じ制御電流量では最高発振周波数は下がります。
このdiode ladder VCFの信号の取り出し方を見るとladder出力に抵抗負荷がある形になっています。 これであると上記のような diodeの(微分抵抗 * 信号電流) = ゲイン一定の出力電圧と言うご利益を受けれない(*1)ことになります。 この場合は定電流源の電流が微分抵抗と負荷抵抗Rの抵抗値の比で分流することになります。 よってdiode負荷の両端電圧と負荷抵抗Rの両端電圧の変化は同じ値になります。 と言うことは両者の抵抗値の比率の変化と信号電流の振幅変化で最終的な電圧振幅のゲインがきまります。
最上段のdiodeの負荷が抵抗であれば単純なのですがdiode負荷は流れている電流値で微分抵抗が変わります。 OP AMPにつながっている負荷抵抗には無信号時にもVcc -- diode経由で直流電流がある程度流れていますが、この電流は負荷diodeにも流れているのでCV=0でも負荷のdiodeはバイアスされている為、初めから微分抵抗値は低くなっています。 すなわちfilterのladderの微分抵抗や、差動ペアのtransistorの微分抵抗(というかgm)とは動作点が異なります。 このため CV=0V(低域)で diode負荷の高抵抗値を期待することはできませんから当然制御電流の小さい区間ではゲインが下がらざる追えません。 制御電流が大きくなれば直流電流による初期値の微分抵抗の低下の影響が減るため正常振幅に近づきます。 * 反転入力側が約1.4uA、非反転側は約1.9uA直流電流が抵抗負荷に流れています。 差動のOP AMPの入力インピーダンスは反転側100K(最低)、非反転側4.6Mですが、直流電流については反転側も非反転側とあまり変わりません。
この場合はdiode負荷との微分抵抗の分流の影響ですからやはりこの場合(R15=3.3K時の制御電流下では)反転入力側の減衰が大きい。 Cをつけることによる効果は直流電流によるdiode負荷の微分抵抗の低下が無くなりdiode負荷の微分抵抗は負荷抵抗R無しの状態になるということで、これと負荷抵抗Rによる分流比で電圧振幅がきまる。
・ 振幅比 = 微分抵抗(負荷4.6M時 ) / 微分抵抗(負荷無し)...........直流電流の影響
微分抵抗(負荷無し)はR15=3.3K時の diode 1個の微分抵抗。
1: 直結時の非反転入力側の入力電圧 = 振幅比 3っのケースについて計算してみました。
1: 直結時の非反転入力側の入力電圧 = 振幅比
2: 直結時の反転入力側の入力電圧 = 反転入力(C無し)
3: カップリング付きの反転入力側の入力電圧 = 反転入力(C有り) * 直結時は反転入力側の方が非反転に比べて低下が大きい。 Cをつけると低域の低下が改善される。
実機での測定 filterとしてでなくAMPとしてのゲインをはかるため、filterの4っのCをはずして信号波形の電圧振幅を測定。(OP AMP OUT)
入力インピーダンスの関係から反転側のゲインロスが大きいのは予想できましたが、非反転側でも低域のゲインロスがかなりあります。 これはやはり直流電流の影響でしょう。 両者とも計算値と少し異なりますが形はおおむね似ています。
次にはカップリングのCあり / 無し時の信号電圧振幅特性の差を調べる。(OP AMP OUT)
低域はCがあることにより改善されていますがCありの特性は計算値よりは少し悪いです。 計算値は反転入力だけしか示していないの実機は非反転も多少影響していると言うことでしょう。 あとはbufferを入れればさらに改善されるか。 実機ではCVが大きくなる高域での減衰が少しあります。 なにが原因でしょうか。 抵抗負荷を全くつけない状態で filtetのCをはずして電圧振幅をCV=0から12Vまで計るとCVの増加にともなって若干電圧振幅が上がるという現象はありました。 本来はフラットなはずですが。 diode負荷の電圧振幅変化はaudio信号が入る差動ペアのVbeの値*3と基本同じはずなのですが。(*1) Q3のVbを見ても制御電流の変化による信号振幅の変化はありませんでしたが,,,, シミュレータで試すとCVが大きくなるに従ってaudio信号が入る差動ペアのB-E間抵抗の低下を受けて信号入力用の分圧抵抗の値が実質低下するため印加電圧の振幅が下がるという結果が出ます。 これは2っのシミュレータを試した結果同様の結果だったのですが、実機の測定では変化はありませんでした。
* 0から7VくらいまではCあり時のAMPの振幅特性を反映している感じ。
負帰還型VCFの正帰還発振 このfilterの発振は CR filter 4段接続による位相発振動作と同じです(*1)。 帰還ループ内にBPFが構成されループ内のfilterのゲインロスを補う形でAMPが挿入され、閉ループゲインが1以上になれば発振します。
*1: 厳密には電圧入力型のfilterと定電流入力型のfilterという違いはあります。
上のような回路を考えてみました。
Rf=30Kで帰還のゲインは15倍 この状態ではまだ発振できず減衰振動となります。 ちょうどインパルス共振によるanalog DRUMの波形と同様な波形。 閉ループゲイン1以下なのでループするごとに振幅が減衰。
Rf=40Kで帰還のゲインは20倍 でやっと上のグラフと違って初段の OPAMPの出力が後の filterのゲインロスより大きくなってゲインロスが解消されたので発振できた。 すなわちループゲイン 1以上。
赤: 初段のOP AMP 上図は初段の OP AMP出力と最終段のOP AMPの出力の変化を示したもの。 初段のOP AMPの出力が電源電圧まで達し飽和したところで発振波形振幅は安定する。 最終段のOP AMPの出力は初段と異なり歪んでいない。 4段filterで位相が180度回転した結果を逆相で戻して360度にするということはFcではあくまで正帰還になっているので信号振幅はいけるとこまで増大してしまうのは正帰還タイプのfilterと違いはないということです。 ただ最終出力段は4っのfilterの後なのでゲインが低下していてクリップしていないというだけ。 SIN波がクリップして矩形波になり、発振周波数と同じFcの4段LPFで再度SIN波を得る(*1)。 SIN波生成の手助けはLPFとHPFで構成された同じF0のBPFという構成。 この例のfilterの発振振幅のリミッタは OP AMPの電源電圧なので OP AMPの電源電圧を上げれば発振振幅が大きくなります。 ではladder VCFのリミッタはどこ存在しどうやって発振振幅を一定にすることができるのかと言うことになります。 *1: 発振状態ではLPFと言うよりはBPFとして動作。
ladder VCFの振幅リミッタはどこに これは正帰還発振の振幅上昇がある地点で止まる理由を考えるということです。 負帰還による発振においても発振振幅増大の暴走を止める為のリミッタは必要でシミュレーション例の位相発振においては初段の OP AMPの出力が電源電圧まで達した所で発振振幅の上昇が止まって平衡する。(1点で止まって動かないので帰還量を増やしても同じ発振振幅しか出ない。) diode ladderにおいてはリミッタは resonanceの戻りが入る差動アンプの入出力特性(電圧 -- 電流特性)にあると思われます。 例の位相発振と違って ladderの場合は入力に戻す帰還量に応じて発振振幅が連動して上昇している区間がある。 さらに帰還量を上げるともうそれ以上、上がらなくなる。 これは差動アンプの最終クリップの点にいたる少し前のLOG特性付近での動作と一致するしこれがなんらか関係している。 これとCVが低い時は発振振幅が小さいことの関係があるのかないのか?。 ループゲインが1以上あればループを繰り返すことで序所に振幅は増加する。 帰還量が少ない場合は増加量がすくないだけで両者ともいける最大値まで達しそうであるが実際は帰還量が少ない方が最終振幅は小さい。 考えれれることは、入出力特性がリニアではないので LOG領域にさしかかると帰還ループが重くなるというかおそらく抵抗が生じて平衡するのでは?。( 坂道で自転車をこぐのが大変になるのと同じ原理か ) もしくは帰還量が少ない方がfilterでのロスが大きいのか? CVが小さければ電流のリミット値も小さいわけですが、後のdiodeによる電流--電圧変換によりその差は解消されるはずなのでその点は考慮するポイントではないでいいのでしょうか。
同一CV時、帰還量が極端に小さくなければ最大値に達する時間はかかるも最大振幅はあまり変わらない。 振幅の増加は初めEXPO、その後はLOGカーブ。 やはり差動回路の特性と関係あり。 CV値が小さければ帰還量最大でも最終振幅は大きくなれない。 単位時間あたりの上下運動量の差が何か関係あるのでしょうか?。 CV値が同じで帰還量に差がある場合、当然増加量には差があるがSIN波の周期は同じなのが最終振幅にあまり差が出ない原因?。 CVが小さいということは周期が長いので変化量が周期が早い方に比べて少なく結果増加量は小さい。 このことがゲインロスの原因となるのか?
CV=12V時はもちろんCV=0V時点の比較的小さい発振振幅(300mV)でもQ2のベースに入力される電圧振幅は リニア領域を超えてLOG領域に入っている。(クリップの度合いが違うだけ) すなわち電流の最大値までは振幅の大きさはどちらもある。 * 各シミュレーション波形
入力信号がマイナスの部分では相手のtransistorのB-E間が低抵抗、自身は高抵抗になるので印加電圧はQ2に多く分配される。
入力電圧が高ければSIN波の中心部に向かってつぶれていくので波形がより立ってくるが入力が小さい時は波形に丸みが残る。 正帰還の発振信号がQ2に入力されると強くオーバードライブされて出力は矩形波になっている。 これが発振周波数と同じFcの4段LPFというか実際の動作は同じF0のBPFを通ると SIN波となって再度 Q2の反転入力に印加される。
ladder VCFの発振振幅がが高域で大きくなるのはなぜか この回路の4っのCを除いてfilterでなくした場合の振幅特性は低域での並列合成抵抗の影響を除けば、 CV=6V以上以降はほぼ平坦なはずである。 でも発振振幅は高域すなわちCVが大きくなると大きくなっている。 なにが原因か。
最小値と最大値で5倍程度の差があります。
何かの手がかりと言うことで発振周波数でresonanceを0にしてそこに発振周波数と同じSIN波を入れてゲインを測定して見ました。 測定はかなり大雑把ですが傾向は発振振幅とよく似ていてCV=8V以降で電圧の上昇が大きくなっています。 さらにFc=16KHz、8KHz、4KHz、2KHz、1KHz 時における周波数特性を取って見た所、Fcより十分低い周波数の通過帯域での電圧振幅に差がありました。(1KHzでVc=6.5V程度なので並列抵抗によるゲインの低下はない範囲)
16KHzを最大振幅とすると1KHzではその80%しかない。 Fcが1KHzから16KHzまでですので CV=6.5Vから12V程度の範囲、並抵抗によるゲインの低下がない部分ですが、発振器の振幅上昇が見られる周波数と一致します。 結果としては制御電流の違いによってfilterの出力ゲインの違いがあることはわかりましたが何が原因でそうなるのかはわからず。
filterの4っのCを取り除いた場合のOP AMP 出力にはこのような差は生じていず、実測でCV=8V以降では逆に出力レベルが若干低下しています。(OP AMPを外してdiode負荷位置で計るとCVが大きい方がわずかにゲインがあがる) filter用のCが付くとどうしてこうなるのか。 シミュレータではfilterのCをはずしてかつOP AMPをはずした状態では CV=4Vから12Vの間で1dBほどのゲイン上昇がありこれは実測と同様です。 filterをつけた状態では OP AMP有り無しに関わらず、4dBのゲイン差が生じており上記の実測に近い値です。 上記のようになで肩の影響でCVが小さい時には通過帯域でのゲイン低下があるように見えるのかと思いresonanceを10%ほど上げた状態でF特を測ってみるとCV=4Vの200Hzくらいまでは通過帯域でのゲインは低下しません。 シミュレータでもresonanceを少し上げてやるとCVが小さい時と大きい時の通過帯域でのゲインの差は少なくなります。 resonance MAX時の周波数特性はシミュレータではCV=0時が一番ピークが大きく序所に低下 CV=8Vくらいからまた上昇というカーブになっていますが発振振幅はCVが大きいほど大きいという予想外の結果。 ピークの高さと発振振幅は関連しないのか?
CVの値によってfilter段でのロスが違うのか? ladderの1段目のfilterに入る電圧振幅波形は電流入力型のfilterなので直接見ることはできないのでfilter発振させてladder filterの1段目の出力と2段,3段目の出力を比較して見ることにしました。 ladderに入る前の電流波形は矩形波になっているはずで、発振周波数と同じFcの1段目のfilterの出力はADエンヴェロープのような時定数波形になっています。 2段目の出力はまだSIN波にはならず三角波状態です。 Fcを変化させても両波形の形に変化はありません。(厳密には多少の違いがあるでしょうが)
上の表から、制御電流値が小さい時の方がFilterの肩特性もしくは全体のゲインが落ちていることがわかります。 この実測値はR15=3.3Kの物なのでオリジナルのR15=10Kであれば制御電流値が小さい時はさらにfilterのロスが大きくなるのでおそらく低域の発振がだめだということなのでしょうか。 シミュレータで試してみると発振状態ではFc付近は 4段のfilterそれぞれがBPF特性になっており段を重ねるごとにBPFのスロープ(LPF側)は急になるがピークのゲインは下がる特性になっています。 また段を重ねるごとにピークの位置が周波数の低い方にずれています。 さらに特徴的なのが制御電流が少ない方が後段にいくにしたがってピーク位置のゲイン低下が激しくなっています。 これが発振振幅の大小と関係あるのかないのか?。 下図では1段目のピークはほぼ同じだが4段目のピークにはかなりの差があります。
CV=12VとCV=8Vの発振時特性
CV=12V: 4段目/1段目= 14% | 3段目/1段目= 29% 実測結果とシミュレーションでは数値は異なりますが、CVが小さい方がロスが多く後段にいくにしたがって顕著という傾向は同じですのでの関連性はあると見てよいのでしょう。
こちらはdiode ladderより差が少なくなっていますのでbuffer効果が出ているということでしょうか。 ですがやはり制御電流が大きい方が発振振幅は大きいです。
resonanceのVR位置と帰還量の関係 resonance VRをまわすと負帰還と正帰還が同時におきる。 出力の変化をさぐるべく VRのまわりに目盛り板をつけて角度に対する振幅を測定。 Fcを高めにセットし通過帯域の低めの周波数にSIN波を入れる。
1:負帰還 上記のようにOP AMP OUTの電圧変化は EXPOなので resonanceを上げるに伴う音痩せ感は大きく、VRをAカーブにしてEXPOをLINEAR下降に近づけるようにした方がよいと思われる(*1)。
resonance VRをまわして得られるOP AMP 出力(正帰還分の発振要素)は VRが50%くらいまでは極少量で変化もEXPOであると思われる。(変化が小さくで観測不能) 出力が出始めは少しリニア気味の上昇だがその後の変化はLOG変化となり、VRがある程度いくとほとんど変化しない、すなわち収束する。 だからこの発振振幅は暴走することなく一定値を保てる。 一方 Q2のベースに印加される電圧は resonance VR MAXでは OP AMP OUTと同じ分圧されない値。 それ以下では VRとR11による分圧となる。 変化のカーブは初めEXPOであるがLOGカーブに変化してこれも収束する。 この場合のQ2のベースに印加される電圧は正帰還である為、出力が分圧されているにもかかわらず大きく OP AMP OUTが収束する前にいくにしたがって OP AMP OUT と変わらない電圧レベルになってしまうので MAX値が2Vあるとすれば中間でも1V以上はある。 いずれにしても resonance VR=MAXでは Fcが最高値の16KHzくらいでは 2V以上の電圧が直Q2のベースに印加されておりこれは上記の負帰還の信号レベルとはオーダーがだいぶちがう。 差動増幅回路の入力特性としてベースにどれだけ電圧を印加しても出力電流はテイル電流で決められた値以上にはなることはできない。 すなわち電流振幅がそれ以上は大きくなれないので電流波形がゆがんでクリップするのだが初めはハードクリップでなくソフトクリップである。 実際 、入力電圧(SIN波)が2V以上になった時のQ2のVbeの波形はSIN波の原型をとどめていないくらいLOG圧縮されている。 すなわち差動増幅回路の入力特性によって発振時の振幅増大という暴走はなく上記のようにLOGカーブで収束する。
|
その他..... |
ladderからの出力の取り出し方としてこの抵抗負荷直結と言う方法は diode ladder filterでは普通に行われている方法ではありますがこのような問題をかかえているのでcapacitorの値を大きめにとりかつ制御電流もそれに見合った電流値にして問題が起きないようにしているのでしょう。 たまたま WAVE KITのVCFの capaciutorの値が小さかったので欠点が出てしまったということでしょうか。 オリジナルの回路ではそれを補うためRfの抵抗を10Mとしておりそれが使い難さとなっています。
こうなってくると必ずしも負荷の取り出しをbufferを付けて電圧で取り出さなくとも実用上問題ないのではとも思うようになりました。 あとは低域での出力の低下をどれほど問題と見るかです。 実験して気づいたことはやはりFcでのゲイン低下、かなりのなで肩特性であるということです。 初め入力信号レベルが大きくてソフトクリップしたような少しなまった波形になっているのかと思いましたがこのなで肩特性のせいで波形がなまっているようです。 これはresonanceを少し上げてやることで改善されますので致命的ではありません。 むしろresonanceを上げると通過帯域のゲインが極端に下がるのはなんとかしたい物です。 肩特性がなで肩であることも悪いことではなく特性のバリエーションと見るべきでしょう。 K2000などもわざわざなで肩特性にするfilter parameterを持っていたりしますので。 ただ今回 transistor ladder (MS404)とこのdiode ladderを比較して見るとtransistor ladderの方がはるかに扱い易く感じました。 これを契機に昔作ったtransitor ladderの特性も調べてみようと思います。 また実験には主にROLANDの100MのVCO,VCFを使いましたが測定器的な使用には大変便利だと思いました。
発振状態等がだいぶよくなったので OP AMPのRfを4.5Mでなく1.5M少なくとも3Mくらいに落としても大丈夫かも知れません。 実際diode ladderでRf=1.5Mという値のsynthも多いですし。 実験に使った万能基板は色々部品を取替えしたので裏のはんだ面が結構荒れてしまいました。 実用機として使うには再度作りなおしが必要というか、出力を電圧で取り出す実験をするにも基板を追加するしかないですが、どうせ作るなら次は他のladde VCFに挑戦してみたいとも思います。 それ以前にちゃんとした音出しはまだなのでDC OFFSETによるクリック音がどの程度気になるか等の検討もまだです。
|