徳與寺(岡山市徳吉町1丁目2-33)

本尊 薬師如来

縁起

安住院末の真言宗寺院で、延喜年間(901−922)の創建と伝える。もと東山薬師坊または塔の山薬師坊と称していたのを宝暦三年に寺院に直して徳与寺としたもの。池田家の社寺旧記に「宝暦三年 門田村塔の山薬師坊を徳与寺と相改候事」とある。昭和十三年刊行の岡山市史巻五には「堂宇に本堂、仁王門、ベン天堂等あり」と記しているが、その後荒廃して仁王門を失い、庫裡は改築して普通の住宅様の二階建とし、境内の淡島神社の本殿と「猫の神様」は戦災で焼失、本堂だけが旧態をとどめている。本堂(薬師堂)は三間三面の宝形造本瓦葺の南面した建物で、前に一間の向拝がついている。淡島神社の本殿はまお仮殿のままであるが、遠近からの参詣が絶えず、戦前通りの繁昌を続け、拝殿の柱も壁も屋根裏までも大願成就の奉納絵馬で一杯になっている。