|   アメリカ海軍の水兵がつかの間の休暇で恋にめぐりあうというストーリィのミュージカル。水兵の休日という設定は“踊る大紐育”と同じですが、本作品はそれに4年遡る作品で、舞台はカリフォルニアのハリウッドです。
 ジョーとクラレンスは休暇を得て上陸、ハリウッドに出かけます。陽気で行動的なジョーに対し、クラレンスは内気で不器用な水兵。2人は海軍志望の男の子を助けたことから、その叔母である歌手志望のスージーと知り合います。ジョーはクラレンスにスージーをとりもとうと努力しますが、いつしか彼自身がスージーに恋していたというストーリィ。
 共演は“踊る大紐育”でも一緒のフランク・シナトラ。しかし、本作品はミュージカルといっても“踊る大紐育”のような全員で踊りまくるというようなダイナミックさはなく、踊りと歌とピアノの完全な分業制、といったスタイルです。こんなにはっきりと分業制なのは、あまり記憶にないですねェ。
 歌は水兵クラレンス役のフランク・シナトラと、スージー役のキャスリン・グレイスン。
 特別出演格が、当時人気を誇ったのでしょう、指揮者・ピアニストのホセ・イタルビ。
 踊りの部分はジーン・ケリーが孤軍奮闘している、といった観があります。もっとも、前半でジーン・ケリーとフランク・フナトラの2人が一緒に踊るシーンもありますが、正直言ってシナトラの踊りはあまりうまくない。ジーン・ケリーの踊りの素晴らしさの引き立て役になっているという印象です。
 ジーン・ケリーが奮闘している分、漫画のネズミ・ジェリーと一緒に踊ったり、少女とダンスして回るシーンがあったりと、いつもの如くアイデアに富んだ踊りをジーン・ケリーは見せてくれます。
 でも、多勢に無勢、ダンスが脇に追いやられているような感じを時々持たざるを得ないところが、本作品について惜しまれるところです。
 しかし、たとえそうであっても、ファンとしてジーン・ケリーの踊りがたっぷり見れるのは、このうえない喜びです。
 2005.06.04 |