“遠い山なみの光 ★★
A Pale View of Hills
(2025年日本/イギリス/ポーランド映画)

監督:石川慶
原作:カズオ・イシグロ
脚本:石川慶
出演:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、カミラ・アイコ、鈴木碧桜、松下洸平、三浦友和

 

カズオ・イシグロの長編デビュー小説の映画化。
ストーリーはともかくとして、広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊さんという揃い踏みに惹かれて観に行きました。

舞台は、1980年代イギリスのとある田舎町と、戦争の記憶が残る1950年代の長崎の二つが、交互に描かれて行きます。

前者における主要登場人物は、イギリス人と結婚して日本からイギリスに移住した日本人女性(吉田羊)。既に夫は亡くなっており一人暮らし。家の売却を決めた母親の手伝いに、次女のニキが久しぶりに実家に戻ってきます。
この機会にと、ニキは母親の半生を聞いておこうとします。

後者の主要登場人物は、新しくできた団地に会社員の夫と暮らす専業主婦で妊娠中の緒方悦子(広瀬すず)と、団地から見下ろせる川沿いに建つボロ屋で幼い娘の万里子と暮らす佐知子という謎めいた女性。

上記三人に共通して、謎めいた、不穏な陰があります。
悦子については結婚の経緯に何か事情、秘密があるように感じさせられますし、佐知子についてはその存在自体が謎めいています。

戦後の復興期における中途半端さというか、陰を感じます。表面的に穏やかな生活が送られているようでいて、実はその過去に癒されない傷が隠れているよう。
また、現代的な感覚からすると、悦子にしろ佐知子にしろ、望まれる女性像という束縛から逃れたいという強い気持ちを抱いているような・・・。

そうしたミステリアスなストーリーであると認識したうえで、本作品は何を伝えようとしたものなのか、というと、それがわからず、という感想。
ミステリアスな印象がだけが残った、という処です。

2025.09.10

                  


  

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