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4.跡を濁さず |
●「われに千里の思いあり(上)−風雲児・前田利常−」● ★★ |
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2011年05月
2008/10/16
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久々の武将もの歴史時代小説。 本書は“加賀百万石”の前田家藩主、利常・光高・綱紀の3代を描く長篇歴史小説。 上巻の主役となる利常、軽輩の家から奥仕えし結果的に利家側室となった千世保を生母として生まれたにもかかわらず、運に恵まれて3代目藩主となった経緯は、ちと8代将軍吉宗を思わせるところがあります。 |
●「われに千里の思いあり(中)−怪男児・前田光高−」● ★★ |
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2011年05月
2008/12/15
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加賀前田藩・3代の藩主を描いた長篇歴史小説の中巻。 藩祖=利家、2代目=利長を押し退けて何故3〜5代藩主が歴史小説の主役になるのか、その理由が本巻で明らかにされます。 歴史が変転する難しい時期に直面する第3代藩主の利常、本巻の妙味はそこにあります。 |
●「われに千里の思いあり(下)−名君・前田綱紀−」● ★★ |
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2011年05月
2009/03/17
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加賀前田藩・3代の藩主を描いた長篇歴史小説の下巻。 綱紀は江戸時代前期における名君の一人に数えられる人物とのことですが、上巻・中巻に比べると物語としての面白さは残念ながら減っています。 つまり、上巻・中巻が幸運を得て加賀藩主の座についた利常の運命的な人間ドラマの面白さであったのに対し、下巻の面白さは文治政治の下で行なわれた藩政改革への興味にあります。 |
●「跡を濁さず−家老列伝−」● ★☆ |
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2014年02月
2011/09/08
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6人の名家老の足跡を語った歴史もの短篇集というところですが、6人全員が終生名家老だったとは必ずしも言えないようです。 主君に問題はあったけれど家老として見事だったというケースが「雷を斬った男」の立花道雪。後に大友家は滅んだが、道雪が養子とした立花宗茂によって立花家は興隆し、柳河藩として明治の廃藩置県まで残ったと聞けば、史実がそれを裏付けていると言えるのでしょう。 本書で最も面白かったのは、表題作の「跡を濁さず」。 主君に対してというより、単に立場が家老職だったというに過ぎないと思えるのが「行けば十六里」と「入城戦ふたたび」。前者は司馬遼太郎「竜馬がゆく」でお馴染みの後藤象二郎を描いた篇ですが、されどお調子者という印象であるのが楽しい。 ・雷を斬った男−−−−−立花伯耆守道雪(主君=大友宗麟) |