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11.長崎出島かれいどすこうぷ |
【作家歴】旅立ち寿ぎ申し候、大奥づとめ、商う狼、女人入眼、木挽町のあだ討ち、とわの文様、きらん風月、秘仏の扉、青青といく、めぐる糸 |
| 「長崎出島かれいどすこうぷ」 ★★ | |
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鎖国中の日本にあって唯一外国(オランダ)との交易の扉が開かれていた長崎を舞台にした、国際色溢れる時代小説。 主人公の光太(17歳)は、長崎有数の豪商<井福屋>の手代。 念願叶って“内通詞”(商館と商家を繋ぐ通訳)の資格を与えられます。 オランダ商館がある出島との行き来が自由になる内通詞になることを光太が願っていたのは、行方知れずとなった父、斬られて海に飛び込んで死んだ母親の死の真相を知ろうとする故。 しかし、出島行遊女だった母=琴春の幼馴染でずっと光太の後ろ盾となり、今は婿養子となって井福屋の若旦那になった勘助はそんな光太のことを心配します。それでも光太は・・・。 混血児故に自らも出島行遊女となった琴音、バタビア人(ジャカルタ)奴隷のリコ、飲んだくれの中年内通詞である才次郎、商館医のニルス等々、様々な人物が光太の周囲に登場します。 それらの点で、長崎というのは特異な街。 しかし、交易が許されているからといって、幕府の目を気遣わなくていい、ということではない。 作中で才次郎が光太に語るように、出島は“間(あわい)”、即ち内と外の間であり、善と悪の間も曖昧・・・・、言動に注意をしていないと身に危険を招きかねない場所。 そうした場所で生き抜こうとしているのが光太であり、逆に囚われ人となっているのが琴音。 そんな光太へリコが呟いた言葉が、印象的かつ象徴的です。 考えようによっては、窮屈な場所である一方、世界に向かって開けている場所がこの長崎の街であり、出島だと言えます。 そうした特別な場所を舞台に描く、時代物サスペンス、冒険譚。 途中までは、単に珍しい場所を舞台にした時代小説というだけのことかと思っていたのですが、最後で永井さんにヤラレタ、という気分。読後感は爽快、気持ちが晴れ渡るようでした。お薦め。 序/1.出島の香り/2.遊女の簪/3.夕焼けの祈り/4.ビオーの響き/5.無花果の坂/6.鸚鵡の翼/終 |