朝宮 夕作品のページ


神奈川県横浜市出身。小説初執筆にして初の応募作(「薄明のさきに」)にて第19回小説現代長編新人賞を受賞、同作を改題した「アフターブルー」にて作家デビュー。


1.アフターブルー 

2.海月の骨 

 


                    

1.
「アフターブルー ★★       小説現代長編新人賞


アフターブルー

2025年07月
講談社

(2050円+税)



2025/08/06



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納棺師、遺品整理士、生花装飾技能士、と葬儀関係のプロを抱える株式会社C・F・C
その中でも特別な部署が、<
納骨部特殊復元処理衛生課>(通称:二課)。事故や事件等で損傷の激しい遺体を、生前の姿に蘇らせる=復元するのがその役割。

冒頭、納骨部に採用された新入社員4人(新卒、中途各2人)を前に二課長の
有明が業務の説明をするところから始まります。
その4人の中から新卒者の
東雲が二課に研修配属され、二課のメンバーは、東雲が指導担当者として希望した八宵(やよい)、八宵と同期入社の朝未(あさみ)、主にアフターフォローを担当している入相と、計4人。

上記面々の元に、次々と悲惨な状況の遺体が持ち込まれ、八宵(唯一の女性)、朝未らが処置をしていく姿が描かれます。
本作におけるもう一つの読み処、いや主となるのは、上記4人それぞれのドラマです。
本来、4人が抱える深刻な人間ドラマと、遺体の復元という仕事は関係ないものですが、人と接することに支障を抱えてしまった4人にとって、直接遺族と接することもない納棺師の仕事はうってつけのものだった、という関連付け。
と言って、遺体の処理を行う仕事は、そんなことで就けるような安易なものではありませんが。

遺体の復元という特殊な仕事部分と、4人それぞれの苦悩を重厚に描いたストーリー部分をバランスよく配し、読み応えのある作品に仕上げた処が素晴らしい。お薦めです。


※遺体の復元処置については、佐々涼子「エンジェルフライトを忘れることができません。
※仕事内容は異なりますが、葬儀会社を舞台にしたシリーズとして、
長月天音「ほどなく、お別れですがあります。

0.有明の月/1.朝未き(まだき)/2.入相(いりあい)の鐘/3.宵の明星/4.東雲(しののめ)の空

                

2.
「海月(くらげ)の骨 ★☆


海月の骨

2026年08月
講談社

(2000円+税)



2026/09/16



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前作は遺体の復元処理、そして本作は、独居死等通常の状況ではない形で死んだ人の後始末=部屋の整理、清掃という仕事に携わっている人たちのことが描かれます。

主人公は
水生悠浬(みおゆうり)・20歳。半年前に小さな葬祭関係会社に就職、特殊遺品整理課(通称:「特課」)に配属された次第。何か理由があってというより、生活のため働かざるを得ず、得られた仕事がこの仕事だった、ということらしい。
その水生と仕事でペアを組むのが、先輩社員の
鳴海・29歳。
二人が働くこの会社、どうも前作と同一のようです。

前作では遺族の存在が必須、故人と遺族の想いを繋ぐというドラマがありましたが、本作では殆ど故人も遺族も登場せず、ただ大量のゴミが残されているのみ。

そんなストーリーから一体、何を汲み取れば良いのでしょうか。
遺品処分の仕事よりクローズアップされてくるのは、水生の過酷な育ちと現在の状況。
一方、水生と対照的に、鳴海にも口にしない辛さがあったようなのですが、こちらの事情は明らかにされないまま。

遺品とはその人の過去であり、人生の証。それを廃棄処理していくことは、その人の過去を消してしまうことなのか。
ただ、水生においては、残しておきたいものも、振り返りたいような思い出などまるでない。
そんな哀しみだけが、後に残るようなストーリー。

第二作ということで楽しみにしていたのですが、残念ながらもうひとつピンと来ず。捉えどころがなかったという印象です。
水生のこれまで、そして現在自体、とても現実的とは思えない、ということもあります。
とはいえ、朝宮さんの今後の作品に期待する処は、何ら変わりありません。


1.澪標(みおつくし)/2.早瀬(はやせ)/3.白波(しらなみ)/4.朝汐(ちょうせき)/5.海月(かいげつ)

         


   

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