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Yang Shuang Zi 1984年台湾台中市鳥日育ち。本名:楊若慈。「楊双子」は双子の妹=楊若暉との共同ペンネーム。小説家、サブカルチャー・大衆文学研究家。「台湾漫遊鉄道のふたり」が、初本邦役の小説作品。 |
「台湾漫遊鉄道のふたり」 ★★☆ "Chizuko & Chizuru's Taiwan Travelogue" 訳:三浦裕子 |
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2023年04月
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1938年、日本統治下にあった台湾を舞台に、日本人女性と台湾人女性2人の交流を波乱含みで描いた、興味溢れるストーリィ。 女性作家の青山千鶴子(26歳)は、実家からの見合い話押し付けにへきえきしていたところ、台湾から届いた招待状に飛びつき、台湾へと旅立ちます。 ちょうど自作小説「青春記」に基づく映画が、国内だけでなく台湾でも大人気となり、講演等に招かれたという次第。 食べることが大好きな千鶴子、早速台湾現地の美味しいものを食べたいと胸を躍らし、食欲を高めますが、台中市役所の若い職員=美島は堅物で千鶴子の欲求は満たされない。 そんな状況の折り、千鶴子を招聘してくれた日新会の高田夫人が通訳として世話してくれたのが、本島(台湾)人の王千鶴(22歳)。 結婚が決まり国語教師を辞職したばかりだという彼女は、驚くほど博覧強記のうえに、千鶴子が食べたがる現地の美味しものを自ら作り、また食べられる場所へと案内してくれます。 そして2人は、台湾縦貫鉄道に乗り込み、台湾全島を巡るグルメの旅へと出発します。 食べることに尽きることのない執念を燃やす青山千鶴子と、まるでスーパーレディかつ千鶴子の守り役といった王千鶴とのやりとり、台湾のあらゆる料理の探求ストーリィがとても愉快であり、興味尽きません。 しかし、千鶴子が千鶴に対して友情を示すのに対し、千鶴の方は何か隠しているのか、能面のような美しい笑みを絶やさない。 千鶴はいったい何を隠しているのか・・・。 終盤、台湾における女性の地位の低さ、植民地のおける支配者側と被支配者側の意識の違い、そうした社会的問題が浮かび上がってきます。 台湾や朝鮮を植民地にしていた時代はとうに過ぎ去りましたが、歴史的事実としてそれは今も消えません。 現在の世界情勢においても同様の問題があることに照らして、上記事実は決して忘れてはいけないことでしょう。 グルメと社会問題を合わせて扱った、痛快であると同時に考えるべき苦みも含んだ物語、是非お薦めです。 .1.瓜子-瓜の種/2.米篩目-米粉の太うどん/3.麻薏湯-黄麻の葉のスープ/4.生魚片-刺身/5.肉臊-肉のうま煮/6.冬瓜茶-冬瓜の甘いお茶/7.咖哩-カレー/8.寿喜焼-すき焼き/9.菜尾湯-〆のスープ/10.兜麺-五目寄せ餅/11.鹹蛋糕-しょっぱいケーキ/12.蜜豆冰-氷蜜豆 |