ケイヴィオン・ルイス作品のページ


Kayvion Lewis  米国ルイジアナ州出身、ニューヨーク在住。家族はバハマで暮らす。高校生の頃から図書館や書店で働き、卒業後新人作家の育成プログラムに参加。2021年長編小説「The Half-Class」にて作家デビュー。続いて「怪盗ギャンビット1」が版権市場で大きな話題となり、米、英、独、仏、西、伊、ブラジル、韓国など世界中で出版が決定。24年同作にてウォーターストーンズ児童文学賞YA部門を受賞。

1.怪盗ギャンビット1 

2.怪盗ギャンビット2 

 


                   

1.
「怪盗ギャンビット1−若き"天才泥棒"たち− ★★
 原題:"Thieves' Gambit"        訳:廣瀬麻微


怪盗ギャンビット1

2023年発表

2024年03月
角川書店
(2300円+税)



2024/04/21



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主人公のロザリンは17歳、伝説的な怪盗一家であるクエスト家の一人娘で、自身も類稀な盗みの才能を持つ少女。
しかし、母親と盗みのため忍び込んだ豪華クルーズ船で、あろうことか母親が捕まってしまい、10億ドルの身代金を要求される羽目となる。支払期限は1ヶ月。
他に選択肢がなく、招待状が届いていた<怪盗ギャンビット>への出場を決意する。

<怪盗ギャンビット>とは、世界中から選抜された、類稀な盗みの技術を持つ少年少女たちを集めて行われる、違法で命懸けのコンテスト。そしてその勝利者への報奨は「どんな願いもかなえてあげる」というもの。
母親の命を救うため、ロザリンは危険で熾烈なコンテストに身を投じます・・・。

組織側が設定した物品の盗みを互いに競い合うという内容。
ただ、盗まれる側との攻防は殆ど描かれず、もっぱら選ばれた9人の競い合い、攻防という趣向。
そうした面から、特殊な能力をもった少年少女たちのゲーム的冒険ストーリー、という印象です。
9人もいれば勝ち抜くために互いに手を組む、という展開も生じます。しかし、どこまで相手を信じられるのか、信じ切れるのかという点が妙味となっています。

一瞬でも隙を見せたらそこを突かれる、一瞬でも油断すれば勝敗は逆転する、勝利の鍵は盗みのテクニック以外に頭脳!という展開は
映画「ミッション:インボッシブル」並みにスリリング。
※その点ではいかにも映画化向きですが、既に映画化が決定しているそうです。

少年少女たちのサスペンスフルな冒険に興味がある方に、是非お薦め!

1.ジグゾー作戦/2.<怪盗ギャンビット>への招待状/3.ママの呪縛/4.自由への脱出ルート/5.代償は十億ドル/6.旅立ち/7.若き"天才泥棒"たち/8.第一ステージ:カンヌ<服飾美術館>/9.作戦開始/10.ノエリア・ボシェルト/11.展示室での戦闘/12.一発の銃声/13.ママの命か、イェリエルの命か/14.マルセイユまで、百六十キロ/15.デヴロー・ケンジー/16.マイロとギョンスン/17.停戦協定/18.パリへの車窓から/19.父親の秘密/20.ペナルティ・ゲーム@/21.携帯電話サッカー/22.第二ステージ:カイロ<ザ・ピラミッド・ホテル>/23.ファラオの棺 奪取計画/24.はじめてのドレス/25.オークションの下見会/26.初恋/27.後悔/28.作戦会議/29.父の手紙/30.生まれ変わったブレスレット/31.招かれざる客/32.ペナルティ・ゲームA 2410号室/33.ペナルティ・ゲームA 2310号室/34.2210号室 バルコニーにて/35.空港倉庫/36.無防備な心/37.ファーストキス/38.イギリス領ヴァージン諸島/39.ロザリンの選択/40.新しい扉/41.残酷な真実/42.第三ステージ:スイス<ハウザー寄宿学校>/43.不協和音/44.ニコライ・ボシェルト/45.危険なカーチェイス/46.デヴローはどこ?/47.復讐のとき

             

2.
「怪盗ギャンビット2−愛と友情のバトルロイヤル− ★★
 原題:"Thieves' Gambit"        訳:廣瀬麻微


怪盗ギャンビット2

2024年発表

2024年12月
角川書店
(2300円+税)



2025/05/27



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「怪盗ギャンビット」続編。

前回の<ギャンビット>、
ロザリン・クエストはほぼ手中にしていた勝利を最後になって横から奪われましたが、その代わり得たものはというと、同類といって良い盗みの才能を持つ少年少女たちとの友情、と言って良いのでしょう。
本巻、それが前提に在っての副題「愛と友情のバトルロイヤル」だと思います。

さてストーリー。
ロザリンが恋情を捨てきれないでいる
デヴロー、その母親であるダイアンは過去の怨念からクエスト一家を皆殺するという望みを執拗に果たそうとしている。
一方、
カウントが務める<組織>運営管理責任者を地位をバロンが奪い取ろうと画策、結果的にカウントとバロンの勝敗は<ギャンビット>を以てすると決定され、それにロザリンやノエリアたちが巻き込まれます。
勝負はチーム対抗戦となり、
カウントチームは、ロザリン、
ノエリア、マイロに母リアノン
バロンチームは、デヴロー、母ダイアン、
ギョンスン
その2チームによる三番勝負。
またしても舞台は、
南極、モナコ、南アフリカと地球規模。

ストーリーは単なる盗み合いだけでなく、両チームの騙し合いという処もありますから、当然にしてスリリング。
いかにも映画化に相応しい内容です。

ただし、地位争いのカウント対バロン、過去の怨念関係というリアノンとダイアンという、自分たちの都合で行動している親世代に対して、ロザリンたちの間には確かに友情がある、という構図が嬉しくまた楽しい。

勝負、冒険、友情という要素を散りばめたスリリングがエンターテインメント。
トム・クルーズ「ミッション:インポッシブル」の少年少女版かつ小説版といった面白さです。

1.リオデジャネイロの夜/2.十八歳のバースデープレゼント/3.誘拐される/4.謎の男バロン/5.新たな取引/6.ニューオーリンズ/7.マルディグラ舞踏会/8.ダイアン・アバラ/9.「女王」のティアラ/10.ふたたび戦いへ/11.<いきのびられたらやりたいこと>リスト/12.第一ステージ:南極・核エネルギー研究所/13.最後の一線/14.暗闇からの視線/15.残忍な追っ手/16.氷の海/17.つぎの地獄へ/18.二十年の確執/19.東京で昼の十二時に/20.タイヨウの戦略/21.第二ステージ:モナコ公国 モンテカルロ/22.カジノ<ハーツ・ケイ>/23.偽造チップ/24.キア・ハート/25.カードゲーム<ハーツ・ブラフ>/26.迫真のドラマ/27.本気の勝負をしよう/28.手に入れたかったもの/29.ゲームに勝って勝負に負ける/30.冷酷無慈悲な天才怪盗/31.デヴローの決意/32.勝利か、死か/33.友だちと過ごす時間/34.第三ステージ:南アフリカ ケープタウン郊外/35.フィルム保管室/36.絶体絶命/37.勝者の"願い"/38.ビーチでの休暇

 


   

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