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Catherine Ryan Howard 1982年アイルランド・コーク生。小説やノンフィクションの自費出版を経て、2016年デビュー作「遭難信号」がCW新人賞の、翌々年発表した「The Liar's Girl」がMWA最優秀長篇賞の最終候補に選ばれる。 |
「 罠 」 ★☆ |
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2025年6月
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たまには海外ものサスペンスを読んでみたいなという気になり選んだのが本作。 舞台はアイルランド、ダブリン郊外の町。 その地域では連続して若い女性の失踪事件が発生している。 ルーシー・オサリヴァンの妹ニッキも、消息を絶ってから一年以上が経過している。 警察捜査の本気度を疑うルーシーは、自ら囮となって事件の真相を明らかにしようとする・・・。 大抵のサスペンスは視点が特定者に定められるものだと思いますが、本作はそうではない。 ルーシーの他、失踪者捜索班の職員で警察官を志望するアンジェラ・フィッツジェラルド、さらには犯人である“わたし”の視点からも、第一人称にて語られています。 また、ニッキの恋人であるクリス、失踪者の家族、友人、また有能な女性刑事であるデニース・ポープらの、様々な姿、その状況も語られるという、複眼的展開。 捜査の糸口が全くない、という訳ではありません。しかし、捜査は遅々として進まず。 そしてついに起きたことは・・・・。 さて結末、意表を突かれた処もありますが、そうした真相があってもまぁ不思議ではない。 しかし、映画「太陽がいっぱい」のラストシーンを思わせる決着の付け方には、答えは出たと言えるかもしれませんが、中途半端に終わってしまったという感想は否めず。 きちんと決着をつけて欲しかった、というのは私の性格ゆえの意見かもしれません。読者次第でしょう。 ※なお、本作、実際にアイルランドで起き未解決となった女性失踪事件がきっかけになっているそうです。 |