日本語の

 

文の仕組み

          技術者のための日本語文法

 

 

 

 

                             2014/6/20   国分芳宏

                               kokubu@gengokk.co.jp


はじめに

ビッグデータを活用したり、人工知能を開発するためには、自然言語をコンピューターで解析することが必須です。しかし自然言語を解析するシステムを構築するためには、人手のかかる問題がたくさんあります。

コンピューターによる日本語処理30年間続けてきた経験をもとに、これから日本語処理の仕事をするひとために書いたものです。言語学の専門家でない者が書いたので厳密でないというおしかりを受けることと思います。しかし、工学的に役に立ちそうなことを、批判を恐れずに積極的に書くように心がけました。

品詞の説明から始めるのではなく、文の説明から始めて、その構造を細分しながら説明を進めていきます。

 

 音声については別稿としました。「パソコンがしゃべる」を参照してください。

 説明の便宜上、音声のアクセントの話をします。アクセントの音の高さの高いところを赤い文字で示します。

 例 次の例の「は」と「し」の2文字は

  端が  ハシガ   平板型

  橋が  ハガ   尾高型

  箸が  シガ   頭高型


 

目次

 

 1.文の仕組み

短文複文照応

構文木 構文解析連体修飾格連用修飾格並立係り受け構文上の強さ

文節 形態素形態素解析

品詞一覧体言用言主語要約

叙述用法限定用法

 

2.連語慣用句

同義語多義語ネガポジ

 

3.命題モダリティー

 

4.表現

敬語表現尊敬表現謙譲表現丁寧表現

否定表現二重否定婉曲的な否定表現疑問表現勧誘表現否定疑問表現時の表現あいまいな表現変化点表現

   

5.自立語

名詞

意味時の名詞数量詞数詞助数詞固有名詞複合名詞接尾辞接頭辞

動詞

動詞の活用動詞の活用形和語動詞「する」と「なる」の対比動詞の持つ側面

自動詞他動詞過去現在の状態未来アスペクト状態動詞継続動詞瞬間動詞第4種動詞意志動詞無意志動詞移動性動詞伝達・思考動詞可能動詞受身動詞自発動詞使役動詞複合動詞

形容詞

形容詞の持つ側面自動詞用法他動詞用法主観的形容詞打ち消し形容詞複合形容詞

形容動詞拡張形容動詞複合形容動詞と/たる型形容動詞

連体詞

副詞程度副詞指示詞疑問詞擬態語擬音語

接続詞

品詞の転生

 

6.付属語

助動詞助詞格助詞係助詞目的の「に」接続助詞終助詞間投助詞並立助詞

準体助詞助詞の省略

形式名詞補助動詞補助形容詞

 

付録

双主文格文法結合価文法

 

索引


文の仕組み

 

短文・複文

 次のような2文からな短い文章を例にして文の仕組みを考えてみましょう。

 

今年の夏は暑かったので紅葉は遅いと聞いていましたが、先日、老いた

母と妻を連れて養老渓谷へ行ってきました。そこはすでに紅葉していて、

道も混んでいました。

 

まず前の文を考えてみましょう。大きく「今年の夏は暑かったので紅葉は遅いと聞いていました」と「先日、老いた母と妻を連れて養老渓谷へ行ってきました」という二つの短文が、「が」という接続助詞でつながっています。それぞれを短文といいます。このように結合されて一つになった文を複文といいます。

 

構文木

 前の文を、構成する文節をその修飾・被修飾関係で整理して図に示します。これを構文木といいます。このように修飾関係で文の構造を整理することを構文解析といいます。この修飾関係を係り受けといいます。

 

  今年の──┐

       夏は──┐

      暑かったので─────┐

         紅葉は──┐  │

            遅いと──┤

          聞いていましたが、──┐

                先日、──┤

       老いた──┐        │

           母と       

             ├──┐    

                      妻を  連れて──┤

                            養老渓谷へ──┤

                                行ってきました。

 

本文では前の部分が後ろの部分に係ります。最終的には、すべての部分が最後「行って来ました」という文節に係ります。

この文は「行って来ました」が受ける次の4つの係り受けが基本的な構造です。その4つの係りの文節をさらにいくつかの文節が修飾しています

 

   聞いていましたが   行ってきました

   先日         行ってきました

   連れて        行ってきました

   養老渓谷へ      行ってきました

 

照応

その後に「そこはすでに紅葉していて、道も混んでいました。」という文が続いています。

 

      そこは──┐

      すでに──┤

      紅葉していて、──┐

                道も──┤

                混んでいました。

 

後ろ文の「そこ」という場所を指す指示詞は前の文の中には場所は「養老渓谷」しかないので「養老渓谷」を指していることが分かります。2つの文から「養老渓谷」が紅葉していたことが推測できます。このように複数の文にわたって、指したり指されれたりする関係を解析することを照応解析といいます。

 

係り受け

前の文を係り受けに分解して文節同士の修飾関係を詳しく見てみましょう。

    修飾側(係り)          被修飾側(受け)

今年の      連体修飾格   夏は        体言で始まる格

夏は       連用修飾格   暑かったので、   用言で始まる格

暑かったので   連用修飾格   聞いていましたが  用言で始まる格

紅葉は      連用修飾格   遅いと       用言で始まる格

遅いと      連用修飾格   聞いていましたが  用言で始まる格

聞いていましたが 連用修飾格   行ってきました   用言で始まる格

先日       連用修飾格   行ってきました   用言で始まる格

老いた      連体修飾格   母と        体言で始まる格

母を       連用修飾格   連れて       用言で始まる格

妻を       連用修飾格   連れて       用言で始まる格

連れて      連用修飾格   行ってきました   用言で始まる格

養老渓谷へ    連用修飾格   行ってきました   用言で始まる格

 

修飾する側と修飾される側との関係を対にしたものを係り受け関係といいます。

 検索やテキストマイニングなどで、このような係り受け関係をキーにすれば、単語をキーにしたときに比べて大幅に精度を上げられるでしょう。

 

文節のことです。体言で始まる格と、用言で始まる格とに分けられます。それぞれを修飾する文節も体言で始まる格を修飾する連体修飾格と、用言で始まる格を修飾する連用修飾格に分類できます。

 

 

体言で始まる格

用言で始まる格

 

連体修飾格

今年の

老いた

体言を修飾します。

連用修飾格

夏は  

暑かったので

用言を修飾します。

 

  代表的な連体修飾格は次のようなものです。

  名詞+助詞(の)      今年の

  動詞の連体形        書く

  形容詞の連体形       強い

  形容動詞の連体形      元気な

  連体詞           いわゆる

 

  代表的な連用修飾格は次のようなものです。

  名詞+助詞         私は

  動詞の音便+て      書いて

  形容詞の連用形       強く

  形容動詞の連用形      元気で

  副詞            先日

 

構文上の強さ

 ここで、連用修飾格の「聞いていましたが、」が近くにある用言「老いた」や「連れて」に係らないで「行ってきました」に係っています。また「遅いと」という連用修飾格は「老いた」という用言にはかかっていません。文節には「(構文上の)強さ」と呼んでいる性質があります。複数の文節は強さのより強い文節でまとめられていて、自分より強い連用修飾格にかかります。自分より強い文節をまたいで、先の文節に係ることはありません。この強さは、ほとんどの場合、各文節の最後にある付属語で決まります。

 

文節を構成する語

 文の構成単位で自立語の後に付属語が続いたものを文節といいます。

 付属語はないこともあります。

 本書では形式名詞、補助動詞は付属語として扱います。

 日本語は膠着語です。言い直すと単語(形態素)に切り離せます。

 (アクセントに立ち入ると屈折語かも知れません。)

形態素

 文法的に意味を持つ最小の単位を形態素といいます。また入力された文章を形態素に分解して各々に品詞などの文法的な要素を付与することを形態素解析といいます。日本語解析で最初にする仕事です。

 「養老渓谷へ行ってきました」という部分は次のような形態素に分解されます。

 

養老渓谷

まし

名詞

助詞

動詞

活用語尾

助詞

補助動詞

助動詞

助動詞

自立語

付属語

自立語

付属語

付属語

付属語

付属語

付属語

文節開始

 

文節開始

 

 

 

 

 

 

 

品詞一覧

さらに自立語は体言(名詞)と、用言(動詞形容詞、形容動詞)その他(連体詞、副詞、接続詞)に分類できます。実際の用語の数だけからいうと名詞が大部分をしめます。

 

 体言

 体言とは言い換えると名詞です。

 体言の使い方

  通常、助詞を伴って連用修飾格を構成します。   学校は

  助詞の「の」を伴って連体修飾格を構成します。  学校の

  断定の助動詞を伴って叙述部を構成します。    学校です。

 

用言

 用言には動詞、形容詞、形容動詞があります。

用言の使い方

 連用形で連用修飾格を構成します。

叙述用法と限定用法があります。

 叙述用法とは、文の後ろで用言の所作を示します。

 限定用法とは、用言の連体修飾格で、体言を修飾します。

 動詞、形容詞は連体形と終止形とが同じ形をしています。

限定用法で使う場合を連体形と、叙述用法で使う場合を終止形と各々呼びます。

     限定用法          叙述用法

  働く  働く社長          社長が働く

  青い  青いリンゴ         リンゴが青い

  閑静  閑静な住宅街        住宅街は閑静だ

 

その他に連体詞、副詞、接続詞があります。

  単独で連体修飾格(連体詞)、連用修飾格(副詞、接続詞)を構成します。

 

 品詞分類を表にしました。

 

 活用がない

 活用がある

自立語

名詞連体詞副詞接続詞

動詞形容詞形容動詞

付属語

助詞形式名詞

助動詞補助動詞補助形容詞

 

 2つの例文は「行って来ました」「混んでいました」という受けの文節がそれぞれの文の中心です。それにいくつかの修飾語が付いたものです。ここに上げた例は動詞文で、文の種類は(中島文雄 「日本語の構造 英語との対比」岩波新書)には次の4通り上げてあります。

 (1)動詞文「(もう)寝るよ」

 (2)形容詞文「(ずいぶん)寒いね」

 (3)形容動詞文「静かだね」

 (4)名詞文「雨だ」

 

要約

 この文をどうしたら要約できるかを考えてみましょう。これまで述べたようにこの文章は「行ってきました」「混んでいました」という2つの文が基本です。これだけでは意味が取れないので、もう少し付け足してみましょう。

 複数の文節が係っているので、どれを採るかが問題ですが、一番簡単にするのは、直接係っている文節をすべて残す方法があります。しかし副詞を除く、結合価に記述してあるものを優先するなどの処理をして下記の文章ではいかがでしょうか。

 「養老渓谷へ行って来ました。道も混んでいました。」

 

主語

 とここまで書いてきましたが、最初に上げた例文を英語に翻訳することを考えてみましょう。この文を英語に翻訳しようとすると、まず主語が必要になりますが、この文には主語は書いてありません。この文では陽に書いてありませんが「私」という動作主体が暗黙のうちに想定されています。実際の翻訳では敬語表現モダリティーなどに注目して主語を推定して翻訳することになります。

 別稿 「翻訳のための主語の推定」を参照してください。


2.連語と慣用句

 

文節の修飾関係によって決まる文の仕組みについて述べましたが、係り受けについてもう少し詳しく調べてみましょう。係り受けを構成する用語の組み合わせを連語といいます。慣用句も連語に含まれます。文の構造を調べるためには連語の関係さらには意味的な近さも考慮する必要があります。このような意味的な関係を調べるにはシソーラスが不可欠です。

単語による検索は精度の面でそろそろ限界にきているといえます。これからは連語を基本に検索をすることを考える必要があります

 

連語といっても同じ意味の独立した用語があるものもあります。また自動詞・他動詞の対応のものもあります。

 家に帰る  → 帰宅

 足を止める → 立ち止まる

 学校に行く → 登校

 気が楽になる→ 安堵する。

 気を楽にする→ 安堵する。

 

連語を導入したことによる効能

次の目的で連語を導入しまました。

どんな用語の組み合わせでも連語になるわけではありません。、

・意味解析で係り先の曖昧性を減らせる連語があります。

 係り先を決定するのに連語になる組み合わせを優先します。

・多義語の意味を特定できる連語があります。

・慣用句として新たな意味が発生する組み合わせがあります。

 

2.1 連語を調べて構造を決定します。

構文解析にも連語関係を考慮する必要があります。例えば「事故が寂しい場所で起こった」という文は、体言、用言の修飾関係を調べただけでは次の2つの構造が考えられます。

 

   事故が─┐               事故が─┐

      寂しい─┐          寂しい─┐ 

        場所で─┐          場所で─┤

          起こった           起こった

 

   誤った解析の例             正しい解析の例

 

 前の解析では「事故が」という連用修飾文節が「寂しい」という用言文節に係っていますが、後ろの解析では「起こった」という文節に係っています。「事故が」という文節が、「寂しい」「起こった」の2つの文節のどちらに係るかを考える必要があります。「事故 が 起こる」という連語が連語辞書に登録されているので「事故が」という文節は「起こった」という文節に係るようにします。

 

さらにもうひとつ「彼は血の出るような努力を重ねた」という文を考えてみます。ここで「血の出るような」というのは慣用句でひとかたまりにして考える必要があります。これを慣用句として扱わないと左の図のような誤った構造になってしまいます。ここで慣用句をひとかたまりにして扱うと「彼は」は途中の「出るような」には係らずに右の図のようになります。

 

 彼は血の出るような努力を重ねた

    彼は               彼は

    血の             血の 

  出るような          出るような┐│

     努力を            努力を

      重ねた              重ねた

 

   誤った解析の例             正しい解析の例

 

2.2 意味的な近さにより並列構造を決定します。

 いまここで「先生とビールを飲む」という文と「お酒とビールを飲む」という文とを比較してみます。

 

「先生とビールを飲む」   「お酒とビールを飲む」

 

  先生と─┐            お酒と─┐

  ビールを─┤                ├─┐

       飲む          ビールを┘ 

                       飲む

 

 意味的な距離を考慮すると2つの文の構造は異なった形になります。

 「お酒」と「ビール」とは意味的に近いのでこの「と」は並立助詞と考えられます。一方「先生」と「ビール」とは意味的に遠いので並立助詞とは考えられません。並立助詞にしてしまうと先生を飲んでしまうことになります。このような用語同士の意味的な距離もシソーラスで測ります。

 

2.3 多義語の意味を特定します

 多義語とは複数の意味を持った用語をいいます。国語辞書を調べると数十の意味が記載してある用語もあります。本書では、それぞれの意味で異なる関係語を持っている用語を多義語とします。定量的に調べたわけではありませんが、よく使われる用語に多義語が多いようです。例えば「明るい」という形容詞は、

 例 明るい

  係り   受け (説明)    関係語

  月が   明るい明暗    輝く

  性質が  明るい性格    朗らか

  将来が  明るい雰囲気   有望

  歴史に  明るい知識    詳しい

 

 同義語は基本的に置き換えができるという点からみると、自動詞、他動詞同形の動詞も多義語で、関連語です。

  例 戸が 開く(自動詞)

    戸を 開く(他動詞)

 

慣用句などで、特殊な用法の場合

下記の例では「叩く」という単語は直接物理的な動作を指していません。

  例 尻を叩く。 「催促する」という意味です。

 「尻を叩く」で1語として扱い「叩く」は多義語にしません。

 

連語として組み合わせた相手により意味が特定できる多義語があります。

次の例の「甘い」は連語の相手によって意味が異なります。

   果物が甘い  (甘味、スイート)

   検査が甘い  (手ぬるい)   

 

ネガポジ

 ここでネガポジについて説明しておきます。

 文を「推奨する文」か「推奨しない文」かを判定するために、用語を推奨するポジティブな意味の用語「ポジ」と、推奨しないネガティブな意味の用語「ネガ」とに分類します。全ての用語がネガポジの性質を持つわけではありません。

 

 ポジの用語の例   安全 失敗 直す 得する 美しい 

 ネガの用語の例   危険 成功 壊す 損する 汚い

 

連語でネガポジの変わる組み合わせがあります。

 例 連語の組み合わせでネガポジの変わる例

   寿命が延びる   ポジ

   寿命が短い    ネガ

「寿命」「延びる」「短い」などの用語は単独ではネガポジの性質を持っていませんが連語関係になるとネガポジの性質を持ちます。

 

連語の組み合わせで意志動詞か無意志動詞かが変わる組み合わせがあります。

 例 「落とす」という動詞が意志動詞か、無意志動詞かが変わります。

  汚れを落とす   意志動詞

  命を落とす    無意志動詞

 

2.4 連語辞書に必要な情報

係り受けの辞書には「係り」と「受け」の用語と、間に挟まれる「格助詞」記入しておく必要があります。「係り」に固有名詞などを含めて同義語も扱えるようにするために係りの用語として意味や接尾辞を指定できるようにしてあります。

 例 動詞「行く」が受ける「係り」の例

   駅    に 行く

  (場所)  に 行く   場所の意味を指定

   ~所   に 行く  「所」接尾辞を指定

 

 係りまたは受けが複数の文節で成り立つ場合があります。

 例

   頭の 中が   真っ白だ     係りが複数の文節の例。

   ライバルに   後れを 取る   受けが複数の文節の例。

   製品が     コンピューターの 歴史に 新たな 1ページを 加える。

   成績の 低下に 歯止めが かけられない。

 

 さらに連語という範囲を超えているかもしれませんが、対等の関係を持つ固有の組み合わせがあります。キーになる助詞を並立助詞のところで述べます。

  例 下線を施した部分同士が関連性を持っている。

    見たり聞いたりしたことを話す。

    机だろうが、椅子だろうが全て新たに買い入れた。

    書いては直し、書いては直しで出来上がらなかった。

    どんなに頑張っても頑張りすぎることはない。

 

2.5 慣用句

 複数の文節の組み合わせが慣用的に単独の単語のときとは別の意味で使われます。例えば、「目から鼻へぬける」などという連語の中では「目」「鼻」という単語は元々の意味はありません1つの慣用句として扱うべきでしょう。単語では表現しきれない意味空間の空隙をうめていて、意味空間で重要な役割をはたしています。

 

他の人と同じ言い方を避けるためにわざわざ違った言い方をする

  耳に入る           知る

  甲子園行きの切符を手にする  地区大会で優勝する

  拍車をかける         推進する

  傘の花が咲く         雨が降る

強調するために毎回決まりきった限定詞を伴って使われる慣用句

  長蛇の列           列

  秘伝のタレ          タレ

「数の横暴」などという語はこれだけでまとめて一つの複合名詞と考えるべきで、「横暴」という用語単独では形容動詞で「横暴が」という言い方は許されません。「数の横暴」とまとまったときに、「数の横暴が」のように名詞として働きます。

慣用句が一つの名詞になる例

 数の横暴

 言葉の綾、言葉の暴力、言葉の力

 

 慣用句は活用があるので用言として扱うことになりますが、使い方によって語順や間に挟まれる格助詞も変わります。一つの用言としてまとめた形で登録することができません。分解して扱う必要があります。

 

機転が利く友達は     (限定用法)

機転の利く友達は     (限定用法、連体詞形)

友達は機転が利く     (叙述用法)

機転を利かせる      (叙述用法、使役形)

機転は利かない      (叙述用法、否定形)

 

 係りの用語にさらに連体修飾格が係ることもあります。慣用句を一つの動詞として登録した場合、連体修飾格が受けられません。これも慣用句を分解して扱う理由です。

 例 慣用句に連体修飾格が係る例

 彼の足を引っ張る

「足を引っ張る」という慣用句に「彼の」という連体修飾格が係っています。

 

2.6 限定用法と叙述用法で検索します。

 連語の使い方に限定用法叙述用法があります.「年老いた母」(限定用法)と書いてある連語で、「母が年老いた」(叙述用法)という文は検索できません.検索漏れを減らすためには限定用法の連語は叙述用法にして両方の用法で検索する必要があります。

 

 格助詞の変更

  限定用法叙述用法の変更をするために助詞を変更する必要があります。自動詞他動詞かによって置き換える格助詞が異なります。

 例

   限定用法          叙述用法

  食べたリンゴ   ←→   リンゴを食べた(他動詞)

  落ちたリンゴ   ←→   リンゴが落ちた(自動詞)

  赤くしたリンゴ  ←→   リンゴをくする(形容詞の他動詞用法

  赤くなったリンゴ ←→   リンゴがくなる(形容詞の自動詞用法

  元気にした病人  ←→   病人を元気にする(形容詞動詞の他動詞用法)

  元気になった病人 ←→   病人が元気になる(形容詞動詞の自動詞用法)

  机にした廃材   ←→   廃材を机にする詞の他動詞用法)

  机になった廃材  ←→   廃材が机になる詞の自動詞用法)

 

受動態受身の場合には係りと受けの間に挟まれる格助詞が変わります。

例 受動態、能動態で格助詞が変わる例

   能動態            受動態 

  田中が 広める(他動詞)  田中に 広められる 

  噂を  広める(他動詞)  噂が  広められる  

  父が  死ぬ (自動詞)  父に  死なれる   

 

 連語のあいだに挟まれる格助詞が省略された場合もあります。

  父死す         格助詞が省略された。

 

副助詞や係助詞に置き換わっている場合もあります。

 田中まで広めた     副助詞に置き換わった。

 田中は広めた      係助詞に置き換わった。


3.命題とモダリティー

 

次に文節の内部調べてみましょう。

例えば「暑かったので」という係り受けをここでは「暑」と「かったので」の2つの部分に分けて考えます。

「暑」という語幹の部分を「命題」といいます。「かったので」という執筆者の命題に対する説明を「モダリティー」と呼ぶことにします。ここでは「過去の事象に起因する理由」を示しています。益岡隆志(2000命題とモダリティの境界を求めて日本語文法の諸相 くろしお出版)の分け方とは少し異なります。本書では益岡の命題に含まれる否定・肯定、ボイス、テンスなどを、含めたものをモダリティーと呼んでいます。

 

命題

命題とは例外がありますが、ここでは文節の先頭の自立語と考えてください。論理学でいう命題とは違います。命題とモダリティーとは完全に独立したものではなく、意味の上ではお互いに干渉します。

 

モダリティー

命題の後ろに続く付属語の並びの持つ機能をモダリティーと呼びます。その持つ意味を「モダリティーの意味」と呼ぶこととします。モダリティーは文を書いた人の意図を表します。例えば「調べる」という動詞を例に説明します。 付属語も参照してください。

 補助動詞補助形容詞形式名詞などの付属語モダリティーの構成要素です。

 

 例 調べたい      → 希望

   調べてごらんなさい → 指示

   調べませんか    → 勧誘

   調べてもらえないか → 依頼

   調べるつもりか   → 意志を確認

 

日本語では主語を陽に書きませんが、モダリティーでもある程度の主語の推定ができます。

 例 調べたい。      希望(1人称)

   調べてごらんなさい。 指示(2人称)

   調べたということだ。 伝聞3人称)

また時制の推定などできます。

   例 調べたか      (過去の処置の質問)

 

 モダリティーの意味は、実際の会話ではイントネーションで変わることがあります。

  調べる。↑ 疑問      (↑)は疑問のイントネーションを示します。

  調べる。  意志

 

資料主語の推定に有効なモダリティーとその意味を上げました。

 


 4.表現

 

 自立語はいくつかの付属語を伴って文の上での働きをします。この働きを表現と呼ぶことにします。表現には代表的なものとして「敬語表現」「否定表現」「疑問表現」「勧誘表現」などがあります。

 

敬語表現

 日本語の文章は主語を陽に書きません。この敬語表現と前節のモダリティーによって主語を示しています。敬語表現には、尊敬表現(主として主語が2人称)と謙譲表現主語が1人称)とがあります。

  例

    申し上げたことは、おっしゃっていることとは違います。

   (謙譲表現:私が)  (尊敬表現:あなたが)

  この文は主語を付加して「私が言ったことと、あなたが言ったこととは違います。」と

同じ意味です。

別稿の「翻訳のための主語の推定」を参照してください。

 

  尊敬表現

 主語はほとんどの場合、2人称です。尊敬表現であれば、陽に主語がなくても主語は2人称であるといえます。(話の焦点が3人称の場合は3人称のこともあります。)

 

  謙譲表現

 主語は必ず1人称です。謙譲表現であれば、陽に主語がなくても主語は1人称といえます。

 

丁寧表現

 美化語や丁寧の助動詞を使って示します。美化語とは丁寧の接頭辞「お」または「ご」を伴った用語です。別稿「美化語の一覧」を参照してください。

   ます

   です。

   ございます。

 

敬語専用の動詞があります。

尊敬語の例 

  召しあがる、おっしゃる見られる(尊敬の助動詞)

 謙譲語の例

  いただく、申し上げる

 

名詞にも敬語があります。

  御社        尊敬語

  弊社        謙譲語

 

和語動詞は次の形で尊敬表現、謙譲表現を構成します。

  お読みになる    尊敬表現

  お読みする     謙譲表現

 

サ変動詞は、「いたします」「なさいます」などの接尾辞と複合語を作って尊敬語、謙譲語を構成します。

  読書なさいます   尊敬表現

  読書いたします   謙譲表現

 

否定表現

多様な表現法があります。また他の表現と混同しやすいものもあります。

形容詞

 (多く)ない   (「ない」は「ありません」に置き換えられます。)

助動詞

 (動か)ない

 (動か)ず

 (動か)ぬ

 (動き)ません

動詞

 打消しの形でしか使わない慣用句(動詞形)があります。

   例 やむをえ/ない、一方なら/ない

 

  形容動詞

    ダメです

 

「ない」を含んでいるが否定の意味を持たない語があります。

例 もったいない、やるせない、やぶさかでない

 

 二重否定

  構文上の一つの文節になります。意味は肯定になります。

    例 言うに違いない、ないこともない、

    「違い」と「ない」が二重否定になります。→肯定

 

婉曲的な否定表現

さらに肯定表現と同じ形をしていて否定の意味を持っている否定表現があります。

 日本語があいまいだといわれる原因のひとつです。

   どうかと思います。

   いかがなものかと思います。

   いかがなものでしょうか。

   結構です。(否定にも肯定にも使います。)

 

疑問表現

話し言葉では、イントネーションで表現しますが、書き言葉では終助詞の「か」で表します。「はい」「いいえ」の答えが許されます。英文からの借用で疑問符(?)で示すこともできますが、まだあまり定着していません。4.章 動詞の否定疑問表現も参照してください。

 

疑問詞疑問表現

  疑問詞を含む疑問文で、「はい」「いいえ」の答えが許されません

          質問      答え

  疑問文    酒を飲むか?  はい/いいえ

  疑問詞疑問文 何を飲むか?  酒/水/ジュース

否定疑問表現

  あることを期待しているのにもかかわらず否定疑問表現で質問します。

  忘れ物はありませんでしたか    なかったときに「はい」と答えます。

  言ったではありませんか      確認

 

 さらに動詞が絡むと動詞が意志動詞無意志動詞かで表現の意味が異なり、答も逆になります。

 

 

勧誘表現

 意志動詞のときにだけ成り立ちます。

   例 お酒を飲まないか

  「お酒を飲むか」と同じ意味になります。

  「はい」→ 飲む

 他にモダリティーによって勧誘を示すこともできます。

   飲もうよ

   飲んではどうか

 

無意志動詞のときに通常の否定疑問文になります。

 例 車に酔わないか (車にうは無意志動詞です。)

  「はい」→ 酔わない

 

時の表現

日本語では過去の助動詞「た」がついて過去を、

推量の助動詞「う」がついて未来を表現します。

後ろに「ている」がついたときに、動詞のアスペクトによって時制が違います。

  終わっている  瞬間動詞 過去を表す。

  歩いている   継続動詞 現在進行中ないしは現在の状態を表す。

あいまいな表現

人は文脈によって多義語の意味の違いや表現を識別しています。話し言葉ではイントネーションで区別している場合もありますが、書き言葉ではその区別もありません。文脈を理解していないコンピューターではなかなか正確に解析ができません。日本人はよく無意識に識別しているものだと感心することすらあります。やはり人間同士の会話でも間違えて笑い話のもとになったりすることもあります。

 例

  足がしびれて  立てない  (可能動詞

  棒を      立てない  (他動詞

           

形式名詞に格助詞などがついたものと表面的に同じ形をしている表現があります。

どちらと解釈するかで構文構造、アクセントが異なります。

   動いたものの  ウイタモノ    形式名詞

           イタモノノ    接続助詞・逆接 

 構文解析でよく問題になるのが、接続助詞の「ところが」「ものの」「ものを」「のに」「くせに」は、直前が用言の連体形につながることもあって形式名詞に助詞がついたものと区別がつきません。

 

変化点表現

翻訳などで必要な情報を取り出しやすくするため、解析の精度を上げるため出来事が移り変わる点を示す表現を導入します。モダリティーを拡張してその一部に自立語を認めます。

例えば「体重が増加の一途をたどる」から「体重が増加」という係り受けが抽出するために、名詞を含んだ「の一途をたどる」をモダリティーとしてまとめておきます。

 

 体重が                 体重が

    増加の一途をたどる。       増加の

                      一途を

                         たどる

 

  まとめた場合            まとめなかった場合

 

ここでは「一途」という自立語をモダリティーの一部として取り入れます。

このように自立語を含むモダリティーは他にもいくつかあります。

 ~を手始めに、~を皮切りに、~を手掛かりに


5.自立語

 

これまでは、文節とその相互関係について説明して来ました。ここから文節の先頭の要素の単語(自立語)について説明します。

自立語は文節の先頭になります。大きく、体言(名詞)と、用言(形容動詞、形容詞、形容詞、動詞)その他(連体詞、副詞、接続詞)に分類できます。

 

自立語の生成

独立した単語だけでなく、いくつかの単語が組み合わさって新しい単語(複合語)ができます。出来上がる複合語の品詞は、最後の単語によってきまります。詳しいことはそれぞれの品詞のところでのべます。品詞の転生も参照してください。

 

複合名詞

   言語+工学 → 言語工学

 

複合動詞

   勇気+付く → 勇気付く

 

複合形容動詞

  煙+臭い → 煙臭い

 

複合形容動詞

   抽象+的  → 抽象的

 

名詞体言

助詞を伴ってを構成します。また断定の助動詞などを伴って名詞文を構成します。

 意味により次の9種類に分類してます。

   意味     例

   人名     先生、太郎

   機関名    学校

   物      机、コンピューター

   時      朝、8時

   場所     道路、東京

   数量     5本、少し

   抽象     文化

   動作     勉強、印刷

   数詞     523、十九、いく、何

シソーラス

意味はさらに細分して階層にできます。意味により体系立てて整理したものをシソーラスといいます。

通常の辞書は、あいうえお順や、アルファベット順に整理してありますが、シソーラスとは意味で整理した辞書です。用語を同義語、狭義語、広義語、関連語、反義語などの意味的な関係をたどって探します。

 

形式名詞は付属語のところで扱います。

 

時の名詞

 時を表す名詞です。

   例 今日、夕方、去年

 助詞を伴わずに単独で連用修飾格としても働きます。

   昨日飲んだ。

   昨日飲んだ。

 

数量詞

数量を表す名詞です。

数量詞とは数詞と助数詞の組み合わさったものです

一本、8冊、5個

   5個買った、

 他に1語で数量詞として働くものがあります。

   片方、少し

 

 助詞を伴わずに単独で連用修飾格としても働きます。

また助詞の「ずつ」が付くという特徴があります。

片方なくした。

5本ずつ

片方ずつ

 

数詞

 同じを書くのにいろいろな記述法があります。

 203

 二百三

 二○三

 アラビア数字で書いたときに2つの読み方があります。読み方については別稿「パソコンがしゃべる」を参照してください。

  203  ニヒャクサン

       ニーレーサン

 

数字以外に数詞と同じように助数詞を伴って用いられ、数詞といったほうが良い名詞があります。

 複数  (複数本)

 何   (何台)

 

助数詞

 数詞の後ろについて数量詞をつくります。

  例 5

 

  、百、千、万などの数字の桁も助数詞です。

  この桁を現す助数詞には3つのレベルがあります。

 十、百、千   のレベル:その桁の数値が1の時は省略します。

 万、億、兆、京 のレベル:その桁の数値が1でも省略できません。

  小数点も助数詞です。

 

 助数詞は発音上複雑な変化をします。

  ここでの説明は省きます。「NHKアクセント辞典」を参照してください。


固有名詞

 人名、地名など個々のものを指す固有名詞があります。どこまでが一般名詞で、どこからが固有名詞かという問題もあります。新しい用語がどんどん生産されています。そのため辞書にすべての固有名詞を登録するのは不可能です。日本語処理システムでは、どうしても未知語になってしまい精度を上げられない最大の原因になっています。辞書の保守をしていて最後まで手が抜けず手こずる問題です。

 

意味としては下記のものがあります。

   人名

   機関名

   製品名

   地名

 

 企業名などで、元の意味と変わってしまうことがあります。

   例 「電気」は物であが「日本電気」は機関でする。

     ディーゼル」は物であるが「日産ディーゼルは機関の意味になります

 

発音や表記が普通の用語と表記法がずれているものがあります。これはおそらく会社名をき決めたころ、仮名小文字がなかったためでしょう

   キヤノン、富士フイルム

  御茶ノ水(地下鉄)、お茶の水(JR)

 

さらに普通名詞と紛らわしい読み方用語もあります。

   ブルドックソース (製品にはBull・Dogと書いてあります。)

   ビックカメラ

   英雄(ひでお)       (野茂英雄)

   勝利(かつとし)

  君子(きみこ)

 

同じ表記にいくつかの読みがあります。なおかつ決められた読み方しか許されません。そのため正確に読ませるためには人手によるチェックが必要になります。

卓 たかし、たく、すぐる

  中谷 なかたに なかや なかのや

  日本電気(にっぽん) 日本芸術院(にほん)

  町(ほんちょう、ほんまち、もとまち)どの県かで読み方が異なります。

                     調べてから読ませる必要があります。

 

一般名詞と同音の人名は一般名詞と区別するために、読みが同じでもアクセントが異なるものがあります。

例    普通名詞 固有名詞     

 岸  キ   

谷  タ   

島  シ   

 

固有名詞にしか用いない異体字を含むものがあります。

 逆にこのような異体字があったら固有名詞だと判断できます

  例 

  ゐゑヰヱヲヂヅ も固有名詞でしか使いません。

 

複合名詞

 多くの場合漢語を組み合わせて複合名詞を作ります。しかし「見積もり書」のように和語由来の要素の組み合わせもあります。

 最後の語が全体の意味になり、前に来る用語は修飾語です。

 例えば「言語工学」は「工学」という用語を「言語」という用語が修飾しています。「言語工学」は「工学」の狭義語です。

 また「工学言語」という用語があったとすると、こんどは「言語」という用語を「工学」という用語が修飾していることになります。

単独の場合とアクセントも異なります。

  言語  ンゴ

  工学  コーガク

          言語工学 ゲンゴコーガク

 

四文字熟語の複合語は、二文字ずつの用語が結合されたものが多いのですが、途中で切れないものもあります。

「生年月日」

 

接頭辞と接尾辞が両方付いた四文字熟語

「前近代的」

 

接尾辞

 名詞、形容動詞の後ろに付いて複合語の後端部分を構成します。後ろに付く短い文字列なので、名詞に付加された付属品と思われがちですが、複合語全体の品詞、意味だけでなくアクセンまでも決定する重要な部分です

 例

  接尾辞に「書」を持つ用語は全て書き物でアクセントは平板型(例外:秘書)

    請求書、案内書、説明書、納品書

  接尾辞に「員」を持つ用語は全て担当者でアクセントは中高型(例外:幅員)

    清掃員、案内員、説明員        

 

和語系複合名詞

動詞の連用形が名詞になるものがありますが、それに名詞が付いた複合名詞があります。

例 動き、生き

  飲み物、調べ事、焼き鳥、漬物

 

形の上では連体修飾語を伴った名詞ですが、連語として扱うよりも一語として考えた方が扱いやすい名詞です。複合語としての意味を持っています。例えば「お袋の味」という複合語は「郷土食」とほぼ同じ意味で、「お袋」という用語の直接的な意味は薄れています。

 例 お袋の味、木の葉

 

接頭辞

 名詞、形容動詞の先頭に付いて複合語の先端部分を構成します。

 後ろの語の限定詞として働きます。

 「国際」のように単独では用いられず、複合語を作るときに接頭辞としてだけしか用いられない造語要素の語もあります。

         名詞  サ変動詞 形容動詞

国際     国際性 国際化  国際的

抽象     抽象性 抽象化  抽象的

 

語末の長音

 「コンピューター」などのカタカナ語の最後の長音は普通の書物では付与しますが、

JISの用語では、長音を付けないことになっているために工学分野では省略されることがあります。通常の会話や表記では長音がついているので、長音は付けるようにJISを改訂するべきでしょう。


動詞

 動詞文を構成する叙述用法体言を修飾する限定用法とがあります。

まずその取りうる語形、そのあとで動詞の持つ側面について述べます。

 

動詞の語形

活用により変化しない部分を語幹、変化する部分を活用語尾と言います。

 語幹    活用語尾

 書     く

 食べ    る

 

動詞の活用の仕方(活用形)の種類  

本書では以下の17種類の活用形を許しています。

   五段動詞(子音動詞とも言います)

      カ行五段      書く

      カ行五段*    行く(1例だけ)

      ガ行五段      泳ぐ

      サ行五段      押す 使役受身ありません。

      タ行五段      立つ

      ナ行五段      死ぬ(1例だけ)

      バ行五段      遊ぶ

      マ行五段      飲む

      ラ行五段      走る

      ラ行五段*    下さる

      ワ行五段      買う

      ワ行五段*    問う

  一段動詞(母音動詞とも言います)

       一段動詞      生きる

  カ変動詞     

      カ変          来る (1例だけ)

  サ変動詞

1文字からなるものと、2文字からなるサ変動詞名詞形とがあります。

サ変和詞      察する 使役受身がありません。

                信ずる 語幹の最後の音が撥音のとき活用語尾が

濁音になります。

サ変漢語   勉強する (漢語動詞)

 

サ変動詞名詞形は以後の説明で漢語動詞として説明します。名詞としても働き、直後に格助詞がつながることがあります。格助詞がつながったときは体言になり、連体修飾格を受けます。

私が 組織する  用言:連用修飾格を受ける

私の 組織が   体言:連体修飾格を受ける

 

活用形の種類の例外

活用形の説明で(*)印のものは連用形、音便形の活用形が特殊です。教科書では説明されていません。比較のために下段にカッコに入れて通常の活用形のものを示しました。

カ行段  終止形 連用形   音便形

      行く  行きます  行った   「行く」1例だけ

     (書く  書きます  書いた)

ラ行段  終止形 連用形   音便形

      下さる 下さいます 下さった   連用形が特殊

     (走る  走ります  走った)

ワ行段  終止形 連用形   音便形

      問う  問います  問うた    音便形が特殊

     (買う  買います  買った)

通常の活用形の他に終止形だけに古い形も使われている動詞があります。

      ゆう(言う)

      ゆく(行く)

      うる(得る)

注意 学校文法とのずれ

 段動詞を学校文法では文語文法との関係で上一段(10種類)、下一段(12種類)に分けています。工学的な辞書では活用語尾の先頭の1字を語幹に繰り入れることによって1種類にしています。

   学校文法            本書

   悔/いる            悔い/る

   生/きる            生き/る

   /見ない            見/ない

   語幹がないことがあります。   活用語尾がないことがあります。

注意 段動詞とラ行五段動詞は両方とも終止形が「る」で終わっています。

   未然形を調べて区別します。

   終止形     未然形

   着る      着ない    一段動詞

   切る      切らない   ラ行五段動詞

漢語の動詞はサ変動詞になりますが、外来語でラ行五段活用をする動詞があります。

トラブル    トラブった

ダブル     ダブった

牛耳る     牛耳った

 

連語が省略されて、ラ行五段になるものがあります。

   日和見主義になる   ひよる

   グーグルで調べた   ググった

 

動詞の活用形

 動詞の活用の変化を説明します。1例ずつを使って各活用を説明します。

段活用   書く

段活用   調べる

カ変     来る

サ変和語   察する

サ変漢語   発表する

 


 

活用形

五段

一段

カ変

サ変和語

サ変漢語

未然形1

書かない

調べない

来ない

察しない

発表しない

未然形2

書かず

調べす

来ず

察せず

発表せず

意志推量注1

書こう

調べよう

来よう

察しよう

発表しよう

連用形

書き

調べ

察し

発表し

連用音便形

書いて

調べて

来て

察して

発表して

終止連体形

2

書く

調べる

来る

察する

発表する

仮定形

書けば

調べれば

来れば

察すれば

発表すれば

命令形

書け

調べろ

調べよ

来い

察しろ

察せよ

発表しろ

発表せよ

受身形

書かれる

調べられる

来られる

察せられる

発表される

可能形

書ける

調べられる

来られる

察せられる

発表できる

使役形

書かせる

調べさせる

来させる

3

発表される

使役受身

書かされる

調べさせられる

来させられる

3

発表させられる

謙譲表現

お書きする

お調べする

参る 注4

お察しする

発表いたす

尊敬表現

お書きになる

お調べになる

いらっしゃる 注4

お察しになる

発表なさる

尊敬表現連体

お書きの

お調べの

いらっしゃる 注4

お察しの

ご発表の

 

命令形より下に書いた形は意志動詞のときだけあります。

 

1 動詞が意志動詞ときは意志で、無意志動詞のときは推量です。

      調べよう  意志動詞   意志

      晴れよう  無意志動詞  推量  

2 直後に自立語が来たときは連体形で連体修飾格を作り、限定用法です。

それ以外は句点が来たときは終止形で、叙述用法です

3 この活用形はサ行5段およびサ変和語には欠落しています。

4 別の動詞を使います。

 

和語動詞

五段動詞、一段動詞、カ変動詞、1字からなるサ変動詞をいいます。実際の語源は「牛耳る」ラ行5段漢語、「トラブる」ラ行5段など英語のこともありますが説明の都合上活用形に注目して和語動詞を定義します。

 

 「する」と「なる」の対比

形容詞との組み合わせで「する」は他動詞になり「なる」は自動詞になります。

  赤くする   元気にする  (机にする)   他動詞用法

  赤くなる   元気になる  (机になる)   自動詞用法

和語動詞の敬語表現での用法では「する」は謙譲表現になり、「なる」は尊敬表現になります。

  お読みする   謙譲表現

  お読みになる  尊敬表現

 

 

動詞の持つ側面

動詞によってある種の表現が出来るか出来ないかという側面を持っています。この側面を持つか持たないかで分類します。

 

自動詞/他動詞

 動作が動作主体で終わるか終わらないかを示します。

 

自動詞

 動作が自分自体で終わり他の対象におよばないものです。

  例 変わる、広まる

  *対象を示す「を格」を取りません。

例外 移動性動詞は自動詞ですが「を格を取ります

  *てある がつかない。

 

 他動詞

 動作が対象におよぶものです。

  例 変える、広める

*対象を示す「を格」を取ります。

例外「犬が手にかみ付く。」    犬にかみ付かれる

 

 自他動詞

 自動詞他動詞両方の性質を持つものです。サ変動詞に多いのですが和語動詞にもあります。

  例 開く          閉じる

    本を開く        目を閉じる

    本が開く        目が閉じる       

 

アスペクト

時の表現のための能力接続助詞の」が後に付いたときに示す時(テンス)が異なります。

 状態動詞

  状態を示します。

  例 いる、おる、ある

  ている、てある、ていく、ておる、てくる、てしまう 

などの補助動詞が付きません。

*ある、おる には未然形がありません。

 

 継続動詞

  現在継続して行われている動作を示します。

例 歩く、食べる

  *動作現象が時間的にある幅をもつもの

  *ている が付いたとき英語で言うと現在進行形になります。

  *上記以外の動詞も「~続ける」などの継続化補助動詞がつくと継続動詞になります。

   (継続複合動詞)

 

 瞬間動詞

   操作が瞬間に終了することを示します。

   例 始まる、終わる

  *動作現象が時間的に「点」で、瞬間的に完了するもの

  *「ている」が付いたときは、英語で言うと現在完了を示します。

  *上記以外の動詞も「始める」などの瞬間化補助動詞がつくと瞬間動詞になります。

   (瞬間複合動詞)

 

 第4種動詞

  状態動詞の一種で、必ず「ている」がついた形で用いられます。

例 そびえる、すぐれる

  「ている」が付いた形で1つの動詞として辞書に登録しておけます。

 

意志動詞/無意志動詞

行為者の意志でその行為ができるかできないかを示します。

の概念構文解析上、重要な性質なのですが、学校文法にはありません。もっと意識をする必要があります。

意志動詞

   行為者の意志によりその行為をできるものです。

   例 歩く、読む

  *命令形、勧誘表現などの意志表現があります。

受身・可能・尊敬・自発の形があります。

*使役動詞は意志動詞です。

意志推量の助動詞「よう」のついた形が意思になります。

例 食べよう

 

無意志動詞

  行為者の意志がその動作に及ばないものです。使用法にいくつかの制限があります。

   例 生まれる、砕ける、裂ける

受身・可能・尊敬・自発の形がありません。

  使役形がありません。

  *命令形、禁止依頼、、勧誘、意志表現がありません。

  意志推量の助動詞「よう」のついた形が推量になります。

例 生まれよう

次の語形変化による敬語の表現が許されません。

お(動詞連用形)する 

     お(動詞連用形)なさる

  希望の助動詞「たい」がつきません。

  *主体が自然無生物などです。

  *てある、ておく、てみる、てみせる、てあげる、てくれる、てもらう

などの補助動詞が後に接続しません。

  *可能動詞は無意志動詞です。

 

意志動詞/無意志動詞性質は動詞に固定的なものでなく、連語の組み合わせによって変化することがあります。この場合は、多義語と考えるべきでしょう。

 

  意志動詞になる例

   汚れを落とす

   道を曲がる

  無意志動詞になる例

   命を落とす

   棒が曲がる

 

意志動詞か無意志動詞かをどちらとも決めにくい動詞もあります。

  例 笑う 楽しむ 嘆く

 

 直後に来る動詞が意志動詞か、無意志動詞かが推定できる副詞があります。

  意志動詞に係る副詞

例 自ら、意図的に、ひたすら

 

  無意志動詞に係る副詞

  例 自ずから、自然に

 

また助動詞によっても変化します。

  例 分からせる   使役:無意志動詞が意志動詞に変わります。

    食べられる   受身・可能・尊敬・自発

:意志動詞が無意志動詞に変わります。

移動性動詞

  移動を伴う動作の動詞です。

   例 行く、来る

  *目的の「に」を受けます。

  *自動詞ですが「(場所)を格」を受けます。

    例 道を行く。

  *(場所)へ格を受けます。

 

伝達・思考動詞

   例 言う、思う

 

  *引用の「と」を受けます。

    と見る、とあります

 

  *「(ら)れる」ついたときに自発形が許されます。

(他の動詞は自発形が許されません。)

 

可能動詞

  可能の意味を持つ動詞を含めてここで述べます。

  *後に可能の助動詞が付きません。

  五段動詞でかつ意志動詞のときは可能形があります。

    働く   

     働ける  (可能形)

 

 一段動詞のときは、可能の助動詞「られる」が付いた形になります。

 この「ら」が省略されていわゆる「ら抜き言葉」になります。この「ら抜き言葉」は可能の意味しか持ちません。現在のところ文章では誤りとされています。

 

 他に可能の意味を表すには次の形があります。

  動詞自体が可能の意味を持つ動詞があります。

  例 可能だ、分かる、出来る

    変換できる  (サ変動詞につく複合語)

 

受身動詞(受身形)

  受身は受身の助動詞によって表現されます。

   挟まれる    五段動詞

   見られる    一段動詞

   察せられる   和語サ変動詞

   変換される   漢語サ変動詞

 

  受身形は少数の語義的に良い意味をもつ例外を除いて迷惑の意味になります。

   例 兄に食べられる

  迷惑の意味がない場合は別の言い方になります。

   例 兄が食べる。

  例外としていくつか迷惑の意味を持たない受身形があります。

   例 褒められる信用される。崇められる。讃えられる。助けられる。愛される。

 

自発動詞

   動作の主体は不特定で動作の起こったことを示します。無意志動詞です。

   例えば「閉まる」「閉める」のように自動詞・他動詞対応の動詞の自動詞がこの働きをします。

   例 戸が閉まる。

 

   例 閉まる、始まる

助動詞「(ら)れる」がついて自発動詞になる動詞は、主に伝達・思考動詞で数が限られています。

例 思い出される、偲ばれる

       認められる、見受けられる、見て取れる、

 

使役動詞

*使役の意味を表すためには使役の助動詞「させる」を使ます。

*五段動詞の未然形がサ行の使役動詞として働きますが、使役受身の形を

除いて使われません。代わりに使役の助動詞が使われます。

サ行5段および1字からなるサ変動詞にはこの形はありません。

    例 書く  → 書かさす  △(使役動詞

          → 書かせる  ○(使役の助動詞)

          → 書かされる ○(使役受身)

   元々サ行五段の動詞には対応する使役動詞がありません。

   そのせいかサ行五段の動詞は全て他動詞です。

 

複合動詞

 動詞または助動詞の連用形の後ろに別の動詞を付加したものを言います。活用形は後ろのものになります。

後ろに来る動詞の機能によって、2つに分けられます。

2つの意味を結合させて1つの意味のなるもの。組み合わせは限られていて、組み合わされたもの1つの動詞としたほうがよいと考えられます。

例 注ぎ込む 組み立てる 打ち合わせる。

 

アスペクトを変えるために組み合わせたもの。アスペクトは後ろの動詞のものが有効になります。

  騒ぎ出す (瞬間動詞にします。)

  騒ぎ続ける(継続動詞にします。)

 いろいろな動詞だけでなく助動詞とも組み合わせられます。

  働かさせ始める

  働かされ始める

前述の2つの意味を結合させる複合動詞にもつきます。

  例 注ぎ込み続ける

 

複合動詞のアスペクト変化は後に続く動詞に固定しているものではなく、どちらにも使われる動詞があります。

  問題点を書き出した   意味を結合させる場合。(読み込むの反対の意味)

  急に書き出した     アスペクトを変える場合。瞬間動詞にします。

              (書き終わるの反対の意味)

 

名詞について結合したものが動詞になることがあります。

  臆病付く     名詞について動詞になった例

 

連用形の活用語尾が省略されることがあり、表記の揺れの原因になっています。

  打ち合わせる

  打ち合せる

  打合せる

 後ろに来る動詞の先頭の音が清音のときに前の動詞の連用形の活用語尾が促音化することがあります。

  蹴り+飛ばす → 蹴っ飛ばす

  ぶち+切る  → ぶっきる

 

複合動詞の前に来る動詞が「取り」の場合は、この「取り」は全く意味を持ちません

  取り扱う  →扱う

  取り調べる →調べる

  取り外す  →外す

例外「取り締まる」は「締まる」ではない。


形容詞

 形容詞文になる叙述用法体言を修飾する限定用法とがあります。

広い意味で形容詞といわれるものは3種類あります。ここでいう和語由来の形容詞と、漢語由来の形容動詞とよばれるもの同じく漢語由来の「と/たる型形容動詞と呼ばれるものです。形容動詞は名詞と似ているので比較のために名詞も表に上げました。

形容詞は活用があります。語幹の部分と活用語尾に分けられます。ゴシックの部分が語幹で、それに続く部分が活用語尾です。

元気

日本一 (拡張形容動詞

堂々たる

 

 

形容詞

形容動詞

拡張形容動詞

と/たる

(名詞)

推量

青かろう

元気だろう

日本一だろう

 

机だろう

否定

青くない

元気でない

日本一でない

 

机でない

連用

青く

元気に

元気で

日本一に

日本一で

堂々と

机に

机で

過去

青かった

元気だった

日本一だった

 

机だった

終止

青い

元気だ

日本一だ

 

机だ

連体

青い

元気な

日本一の

堂々たる

机の

仮定

青ければ

元気ならば

日本一ならば

 

机ならば

丁寧形

青うございます

青いです

元気です

日本一です

 

机です

他動詞用法

青くする

元気にする

日本一にする

 

机にする

自動詞用法

青くなる

元気になる

日本一になる

 

机になる

 

 

形容詞の持つ側面

形容詞と副詞との共起関係を調べるため(朴 俌)では形容詞を感覚、感情、属性、評価の4グループに分けています。

感覚形容詞

 痛い、冷たい

 ~たい

感情形容詞

 嬉しい、楽しい

属性形容詞

 美しい、重い

 元気、明白、優秀

評価性形容詞

 望ましい、激しい

 

状況性の形容詞

  他に状況性の形容詞が分類できます。語幹の最後が「し」で終わっています。

    美しい、楽しい

 

主観的形容詞

  (朴 俌)の分類では感覚、感情がこれに入ります。1人称の主観を示す形容詞です。事象を主語にとることもあります。事象が主語になることがあります。

    暑い  眠い 

    *彼が 暑い   ×

    部屋が 暑い   自称が主語

 2,3人称の場合は代わりに「がる」がついた形で動詞になります。

    *彼が暑がる  ○

 「暑っ」というくずれた言い方があります。

 

打ち消し「ない」には助動詞と、形容詞の2種類があります。助動詞の場合は付属語で、形容詞の場合は自立語です。

  動か なく  ない

     助動詞 形容詞

助動詞と形容詞とでは音便形の形が違います。

  助動詞 動かないで  (付属語:動詞の未然形につきます)

  形容詞 机がなくて  (自立語)

打ち消し形容詞とは、「関係ない」のように助詞を挟まずに「ない」を伴う複合形容詞です。助詞の「」が省略された形とも言えます

  関係+ない 関係+ありません 関係+ございません

  関係がない 関係がありません 関係がございません

 

形容詞の丁寧形

 普通の語は「です」を付けると丁寧形になりますが、形容詞の場合はまだ認められていません。筆者らの世代では使いません。学校文法では形容詞の音便形に「ござい」を付けた形が正式ということになっています。

  早いです     早うございます

この形は、会話のあいさつ語の中だけに残っています。

  ありがとうございます。おめでとうございます。

過去形の丁寧形では「早かったです」に対しては「早かったのでございます」とでもしなくてはなりません。

 

複合形容詞

 動詞の連用形について形容詞を作ります。

   ~たい、~にくい、~やすい、~がたい

 名詞について形容詞を作ります。

   必要ない、~臭い、~らしい

 

形容動詞

 主として漢語由来の形容詞です。用法は形容詞と同じです。名詞違いは格助詞を伴って連用修飾格を作ることはありません。

 

・直後の断定の助動詞に連体形「な」が許されます。

   閑静な  ○   形容動詞

   学校な  ×   名詞

 但し、いわゆる「のだ構文」のときには「な」が付きます。

   学校なのだ

 

注意 「大きな」、「小さな」、「おかしな」は語末が「な」ですが活用がないので連体詞です。

 拡張形容動詞

「日本一」などという用語は普通の辞書では抽象名詞として扱っていますが特殊な言い回しの場合を除いて格助詞がつくことはありません。本書では形容動詞の一種の「拡張形容動詞」として扱っています。

 連体修飾格を作るとき「な」は付きませんが格助詞の「の」がつきます。

 このような拡張形容動詞は大和言葉が複合してできた複合語に多く見受けられます。

    例「日本一(の)「相部屋」「二日続き(の)」「相変わらず(の)

 拡張形容動詞は用言なので連体修飾格を受けません

        母国の┐

    日本一の┤

        山     「母国の」は「日本一」を飛び越して

」に係ります。

 

     母国の

      日本の┐

        山     「母国の」は「日本」に係ります。

 

複合形容動詞

 形容動詞は漢語由来なので造語成分として機能することが多いためか出来上がった複合形容詞も多数あります。

国際的、抽象的、近代的

~がちだ

~みたいだ

組織ぐるみ、会社ぐるみ

 

と/たる型形容動詞

 現代語として使われる用語も少なく、学校文法でも副詞(「と」の付いた形)、連体詞(「たる」の付いた形)として扱われています。

   堂々とした  矍鑠とした   副詞(連用形)

   堂々たる   矍鑠たる    連体詞(連体形)

活用のしかたも通常の形容動詞に変わってきています。

   堂々たる行進。→ 堂々の行進


それ自体で連体修飾格になるものを連体詞、連用修飾格になるものを副詞といいます。

おのおの単独で一つの文節(を構成します。

 

連体詞

  単独で連体修飾格になります。

  ほとんどの場合、直後の体言を修飾します。

 

  こんな、どの

  大きな、小さな、おかしな

  ある、来る(動詞の連体形由来)

副詞

単独で連修飾格になります。

話者の感情や態度、状況や程度などを伝えます。否定、疑問、注釈、強調、比況、推量、完了、未来、仮定、依頼、、可能、累加、程度、順序、概略などを表します。

副詞も単独で連用修飾格になります。

複数の用語が複合して他の品詞に納められない用語が副詞になっていて、いろいろな品詞の寄せ集め的性格があります。

  「おはよう」などのあいさつの用語は副詞として扱います。

  「あはは」「あれれ」…

  今日学校へ行く    この「今日」は副詞です。

        今日のあとに「は」が省略されたと考えると良いでしょう。)

  今日学校へ行く    この「今日」は名詞です。

 

程度副詞

形容詞を強調する副詞です。普通の副詞は形容詞を修飾しませんが「程度副詞」だけは直後の形容詞を修飾します。この他に、程度を示す副助詞なども形容詞を修飾ます。

例 とても、かなり、少し、少々


接続詞

複文の後ろの単文の先頭に来るものです。係り受けの受けになることはありません。しいて言えば、前の文全体を受けています。直前には句読点などがきます。直後の性格として、連体修飾格になるものと連用修飾格になるものとがあります。

より小さい形態素に分解することもできますが、構文上の働きが異なるので一つの品詞として定義しました。字面的には、文末と同じ形をしているものが多く見受けられます。前文をそのまま繰り返すのを避けて、文末だけが残って前の文全体が省略されたと考えられます。文中にあるときとはアクセントが異なるものが見受けられます。

  依頼すると   イライスル

  すると        スルト

 

構文上の強さは強くなります。

  例

  「では」

  「すると」

  「にもかかわらず」

  「とはいえ」

  「あるいは」     注 「AあるいはB」というときは複合助詞で構文上の強さも弱くなります

  「という話で」

 連体詞のように体言を修飾するものがあります。

  「と言う」      「と言う問題で」

  「と言った」

 

 「そのうえ」「一方」「一方で」「その一方」「その一方で」

  (「その」「という」の部分を連体詞として考えることもできますが全体を接続詞と考えたほうが良いでしょう

 

  接続詞は大きく次の7つの意味で分類できます。

       例

   順接  従って

   逆説  だが

   添加  さらに

   対比  一方

   転換  さて

   同列  すなわち

   補足  ただし

 

これまで説明した主として係り受け関係を決定するための品詞分類法のほかに、機能に注目して分類できる分類法があります。

 

疑問詞

疑問を表す用語で、文法的な働きによって名詞、連体詞、副詞、数量詞があります。

   例

   どれ、どなた、誰       名詞

   どんな、どの         連体詞

   どう、どのように       副詞

   いつ、何本          数量詞

 

指示詞

  照応の処理では、これらの用語が前の文のどの用語を指しているかを調べて構文解析をします。*印の語は疑問詞の性質も兼ね備えています。

   例 これ、それ、あれ、どれ*   名詞(物をさす)

     ここ、そこ、あそこ、どこ*  名詞(場所をさす)

     この、その、あの、どの*   連体詞

     こう、そう、ああ、どう*   副詞

  日本語では、「こ、そ、あ、ど」の後につながってできる用語が数多くあります。

 

擬態語擬音語

  音素的に特徴があります。カタカナの外来語はすべて擬音語です。詳しくは別稿 「パソコンがしゃべる」を参照してください。

例えば、促音(っ)の後は和語では清音ですが、擬音語濁音も来ます。

   例 ぎらっぎら、がらっがら

 

「き」と「ら」で始まる擬音語を濁音になる場合を含めて集めたものですが、ニュアンスや使い方によっていくつか変化した形があります。

 

きらきら、きらきらと、きらっと、きらり、きらりと、きらーっと 副詞 清音形

ぎらぎら、ぎらぎらと、ぎらっと、ぎらり、ぎらりと、ぎらーっと 副詞 濁音形

きらつく、ぎらつく、 きらめく                動詞として使う

きらきらな ぎらぎらな                  形容動詞として使う

 

清音形はポジティブな意味に、濁音形はネガティブな意味になります。

  例 きらきら    ポジ

    ギラギラ    ネガ

 

形容動詞になる場合は、アクセントが変わります。

 ぎらぎら  ラギラと (副詞)

       ギラギラな (形容動詞)

 


品詞の転生

 同じ形のままで例えば副詞としても名詞としても使われる用語があります。

 接尾辞が付くことなどにの語形変化によって他の品詞として使われます。

 比較的数多くの用語で成り立つ規則を上げました。

 

 一段動詞      生きる  ←→  生きが   名詞

 五段動詞の連用形  動きます ←→  動きが   名詞

 サ変動詞(漢語形) 勉強する ←→  勉強が   名詞

 形容動詞      元気な  ←→  元気が   名詞

 ザ変動詞      信ずる  ←→  信じる   一段動詞

 動詞の終止形    ある   ←→  ある    連体詞

 五段動詞の仮定形  動けば  ←→  動ける   一段動詞(可能動詞

 

 形容詞語幹+さ        ←→  強+さ   名詞

 形容動詞+さ         ←→  元気+さ  名詞

 人名先行詞+人名後続詞  雅+子   名詞

             (雅ちゃん:という言い方もある

 造語要素

通常接尾辞がついた形で使用されます。接尾辞によって出来上がる用語の品詞が異なります。

 例 国際

 造語要素+性      国際+性  名詞

 造語要素+化      国際+化  サ変動詞

 造語要素+的      国際+的  形容動詞

 

 

 


6.付属語

付属語は自立語の後ろに付いて文節にいろいろな表現を与えます。単独で意味を持つだけでなく、いくつかの付属語が組み合わさった結果新たな意味を持つこともあります。モダリティーを参照してください。

 付属語は活用のある「助動詞」と活用のない「助詞」とに分けられます。本書ではさらに形式名詞、補助動詞、補助形容詞を付属語に分類しています。

 

助動詞 

活用があります。

活用の形は動詞形だけでなく、形容詞形もあります。

どの活用形に接続するかで整理してみました。

 

名詞などに接続するもの

      

断定

 活用形

だろう、だり、だっ、で、だ、(な)、なら

 連用形の「で」は格助詞の「で」(手段、場所)と、過去完了の助動詞と同じで区別がつけにくく識別に苦労します。構文上の性質が異なります。

 例

     あの建物が学校である。    断定助動詞

     運動会が学校である。     場所を示す格助詞

 

          遊んでいたのは学校でで

 

 


        過去完了  格助詞(場所)  断定助動詞

 

 

です

丁寧断定 

 活用形

でしょう、でし、です

断定の「だ」の連用形「で」に「あります」が続いた形が短縮されたものです。 「学校であります」→「学校です」

                                

 

未然形に接続するもの 

よう/う

意志・推量

 活用形

 直前の接続した動詞が     意志動詞のとき意志を表します。

                 例 書こう

                無意志動詞のとき推量の意味です。

                 例 晴れよう

                段動詞のときは「お段」の活用形に接続します。

                一段動詞のときは「よう」の形になります。

    

ない

打ち消し

 活用形

なかろう、なかった、なく、なかった、ない、なければ

    

ず、ぬ

打ち消し

 活用形

ず、ず、ず、ね、ざれ

    

打ち消し

 活用形

じ  活用形が1つしかない。

    

せ/させ

使役

 活用形

させ、させよう、させ、させる、させれば、させろ

 使役動詞(動かす)は使役受身動かされる)を除いてあまり使われません。

 むしろこの助動詞の方がよく使われます。

    

れ/られ

受身、尊敬、可能、自発

 活用形

られ、られよう、られ、られる、られれば、られろ

 

連用形に接続するもの

ます

丁寧

 活用形

ませ、ましょう、まし、ます、ますれ、ませ

    

たい

希望

 活用形

たかろう、たからず、たく、たかった、たい、ければ

  主語は1人称で、2人称のときは動詞形「たがる」を使う

    

そうだ

様態

 活用形

だろう、だり、だっ、で、だ、(な)、なら

 

音便形に接続するもの

 

た    

過去、完了

 活用形

たろ、たり、て、た、たら

 この助動詞は動詞のテンスを決めるもので非常によく使われます。元来連用形に接続しますが、接続するときは連用形の活用語尾のを変えます。この変化させた結果が音便形と呼ばれています。また前の動詞が中高のときのアクセントも変化させます。

    書いて   イテ  (下記の連用形に比べて、音、アクセントが変わります)

    書きます  カキマス (連用形)

 前の動詞によってこの助動詞自体が濁音化する場合もあります。

    書き+て  →   書いて

    飲+て  →   飲んで

特に「て」はこれだけを接続助詞として扱われています。また省略されることも多く省略されて連用形だけが残った形を「連用中止」といいます。連用中止では音便形の音は元の連用形に戻りますが、アクセントの変化は残ります。

   書いて  イテ

   書き、  キ      連用中止

 補助動詞を構成するときにも使います。

    書いています。

    書いてみます。

 

終止形に接続するもの

    

そうだ

伝聞

 活用形

だろう、だり、だっ、で、だ、(な)、なら

    

ようだ

比況

 活用形

だろう、だり、だっ、で、だ、(な)、なら

    

みたいだ

比況

 活用形

だろう、だり、だっ、で、だ、(な)、なら

    

らしい

推量

 活用形

かろう、からず、く、かった、い、い、けれ

 「らしい」には複合形容詞の場合と、助動詞の場合とがあります。話し言葉ではアクセントで区別してます。

  らしい     オンナラシイ   「らしい」が接尾辞  複合形容詞

  らしい     オンナイ   「らしい」が助動詞

    

べし

当然

 活用形

かり、からず、く、し、き、けれ

    

まい

打ち消し推量

 活用形

まい

注:「べし」「まい」はサ変動詞に接続したとき、最後の「る」を飛ばして接続することがある。

  例 注目すべき       (注目するべき)

 

 

動詞系付属語の順序

付属語の最大の構成順序を考えてみました。

 

動詞 使役  受身 否定  補助動詞 丁寧 過去 比況  断定丁寧 過去

           希望  *

 動か させ  られ ない  で い  まし た  よう  でし   た。

           たく  て い        らしい

 

*補助動詞は繰り返すことがあります。

  例 動いてきていて

助詞

自立語の後ろに付いて文節を作ります。活用がありません

 

 格助詞

 体言に付いて、用言に対する体言の役割を決めます。

連用修飾格を構成します。

    動作主体

を    動作対称

  移動性の動詞のとき経由点

に    存在の場所、位置

     受身の対象    子供に泣かれる

へ    動作の方向

と    並立 引用

より   起点 比較

から   起点

で    場所・手段・材料

連体修飾格を構成します。

  の    所有の主体

 

この他に補助動詞で構成される助詞相当語が多数あります。

  連用修飾格を構成します。

    ~について

    ~に関して

  連体修飾格を構成します。

    ~について

    ~に関する

 

係助詞

  用語にある意味を添えて用言にかかり、それらの用言働きに影響を及ぼします。

は     強調

も     提示、列挙、添加

こそ    強調

さえ    累加・強調

しか    事柄以外の否定

すら    累加・強調

だに    累加・強調

でも    類推

 

 

目的の「に」

 動詞連用形の直後で移動性の動詞係ってその動詞の目的を示します。

  前の用語に与えるアクセントの影響に注意が必要です。

に      遊びに行く

 

副助詞

  用語にある意味を添えて、副詞のように用言を修飾・限定します。

  後ろに格助詞が繋がることがあります。連体修飾の格助詞がついて連体修飾格を構成することがあります。

  「程度」と書いてあるものは程度副詞として働きます。

ばかり(ばっかり) 分量 程度

だけ     分量 程度

のみ     分量 程度

ほど     段階 程度

くらい(ぐらい)  強調 程度

など     総括 婉曲

やら     不定

なり     例示

たり     例示

きり     切れ目

ところ    否定 対照

      不確実  誰か来たようだ

ならでは

 

接続助詞

 用言に付いて、用言に接続し、前後の文(または文節)の意味上の関係を示します。

て(で)   動作前に済んだことを示す。

非常に多用され、1文中に繰り返して使われることもあります。

「見てて」

ても(でも) 上記の「て」を強めた形

      条件

も     格助詞「と」を強めた形

けれど(けれども) 逆接条件

なら(ならば)順接条件

ところが   逆接仮定

ものの    逆接

ものを    逆接

ながら    並立動作

が      逆接

のに     逆接

なのに    逆接

ので     原因理由

なので    順接

から     原因理由

からは    順接

からには   強調

し      強調

くせに    逆接

けど     逆接

たり(だり) 

ほか

より

よりほか

 

補助動詞で構成される助詞相当語で接続助詞を構成するものもあります。

    かも知れなかったのですが

    にもかかわらず

 

終助詞

 種々の用語に付き、文の終わりにあってその文を完結させ、希望・禁止・詠嘆・感動・強意などの意を添えます。話者が推定できるものがあります。女性だけが使うものがあります。

動作主体が1人称か、2人称かが決まるものがあります。

か(かい)  疑問、勧誘 (2人称)

かしら    不審(女性語)(1人称)

な      禁止(終止形)(2人称)

ぞ      自分の意志の強調(1人称)

ぜ      自分の意志の強調(1人称)

とも     肯定の強調

の      断定を和らげる(女性語)(2人称)

わ      (女性語)(1人称)

わよ     (女性語)(1人称)

わね     (女性語)(1人称)

もの     (1人称)

もーん    (1人称)

な       動きな(指示) 動きなさいの省略形

だこと

 

間投助詞

  文中または文末の文節に付いて、語調を整え、感動・余情・強調などの意を添えます。終助詞は意味を変えますが、間投助詞は意味を変えません。

    な(なあ)

    ね(ねえ)

    よね

    

    

 

並立助詞

 種々の語に付いて、二つ以上の用語を対等の関係で接続するのに用います。多は、格助詞・係助詞・副助詞・接続助詞などから転用されたものです。

    酒

に    酒に肴

か    酒かビールか

や    酒やビール

やら   飲むやら食べるやら

の    飲むの騒ぐの

も    酒もビールも

だの   酒だの肴だの

だろうが 酒だろうがだろうが

なり   飲むなり、食べるなり

たり   見たり聞いたり

 

準体助詞

  現代文法では形式名詞と扱います。

「飲むものが」の形式名詞「もの」の「も」が脱落した形です。

    飲むのが

  さらに準体助詞の直後が「だ行」の音のときは、「ん」になります。

    飲むもんだ

  またさらに「も」が脱落します。

    飲むんだ

 

助詞の連続する順序

  例外が多いが一般的に助詞は下記の順につながります。

副助詞+格助詞+係助詞+終助詞

  例 学校だけにもね

 

同じ形の助詞で異なる分類に属する助詞があります。

   が       から

学校が     学校から    格助詞

終わったが   終わったから  接続助詞

 

 助詞の省略

  よく使われる助詞ほどよく省略されます。

   

   が(格助詞)

   

   文節末の「に」

  省略形      元の形

  私バカよね    私はバカよね

  動くため     動くために

 

読み上げる時には省略した助詞の位置に休みの拍が入ります。その結果アクセントも異なります。

  書いて送った    書き送った    助詞のての位置

  書くことに疲れた  書くこと/疲れた  形式名詞の後の助詞の「に」の位置

  今日は学校へ    今日/学校へ    時の名詞の後の助詞の「は」の位置

 

 

 

 

文を見ただけでは助詞の省略か副詞かの区別ができないことがあります。

一番列車が

    一番が副詞のとき         イチバン/レッシャガ

    「一番が名詞で複合名詞になったとき イチバンレッシャガ


形式名詞

動詞、形容詞などの連体修飾格に付いて全体を名詞としての機能を持たせます。

本書では形式名詞は自立語ではなく付属語に分類しています。

例 読むことは、働くひとは、買ったものを、書いたとき、書くために、

食べるわけは

 

直後の助詞が省略されることがあります。

例 読むこと好きじゃない。

 

ある単語が必ず形式名詞となるわけではありません。

形式名詞でない例

  ひとは働く

 

形式名詞と通常の語とでアクセントが異なるものがあります。

人は              トワ              通常の語

働く人は                        形式名詞

 

補助動詞

接続助詞「て」などに接続して、助詞だけでは表現できない、体言と用言との関係を記述します。多くの場合平仮名で書きます。また、本来その動詞が持っていた意味がなくなってしまっています。

 

例 ~という 元々の「言う」という意味がなくなってしまっています。

  ~てい

  ~ている

  ~て

  ~て

   ~てたまらない(否定の意味はない

  ~について

   ~に関して

   ~になって

   ~というわけで

いくつか重なることがあります。

   ~になってきていて

 

形式名詞と同様で同じ動詞が補助動詞でないこともあります。どこまでを補助動詞と認めるかは、文脈によって異なります。

 補助動詞でない例

    社員がいる。

    社長はいった。

 

補助形容詞

 補助動詞と同じような例が形容詞にもあります。

   ~ていい

   ~てうるさい

   ~てない

   ~てはだめだ

 

 

 

 

 

おわりに

 長い間かけて書き続けていたので、一部に昔のものが残っていて矛盾があるかもしれません。際限のない問題に取り組んでいます。調査のためにはインターネットという素晴らしい手段を用いていろいろと気が付いたことを書き足していくつもりです。

まだ書いている途中ですが、ご意見をお寄せいただけると幸いです。

 

 

 

 

 


 

索引

 あ

あいまいな表現

アスペクト

意志動詞

移動性動詞

意味

受身

受身動詞

打ち消し形容詞

 

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係助詞

格助詞

拡張形容動詞

過去

可能動詞

勧誘表現

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擬音語

擬態語

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形容動詞

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助詞

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補助動詞

 

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名詞

名詞文

命題

目的の「に」

モダリティー

 

用言

要約

 

連語

連体詞

連体修飾格

連用修飾格

 

和語動詞

婉曲的な否定表現

 


付録

 

資料1 モダリティーとその意味     整理中

資料2 敬語の表            整理中

 

参考資料

金谷武洋   日本語に主語はいらない 百年の誤謬を正す (講談社選書メチエ)

金谷武洋  『日本語は敬語があって主語がない 「地上の視点」の日本文化論』 (光文社新書)

中島文雄 「日本語の構造 英語との対比」岩波新書

朴 俌 形容詞による属性叙述表現の構造に基づく意味分析 

第5回コーパス日本語学ワークショップ予稿集(2014年3月 国立国語研究所)

アクセント辞典  日本放送協会

 

下記の記事がホームページにありますのでご参照ください。

国分芳宏 パソコンがしゃべる 

国分芳宏他 複数の観点で分類した自然言語処理用シソーラス 自然言語処理 Vol.17 No.1 pp.247

国分芳宏他 シソーラスを組み込んだ意味解析システム 自然言語処理 Vol.17 No.4 pp.43

国分芳宏 翻訳のための主語の推定 

国分芳宏 美化語一覧 

 

ホームページ http://www.asahi-net.or.jp/~wd2y-kkb/

 


以下エピソード

双主文

 日本語には一見すると主語が2つある文があります。

  象は鼻が長い は/鼻が長い)

  私は大きいのが好きだ。    

叙述部には断定表現が許されません。

  日本は工業が発展だ (誤り)

 

結合価文法

動詞と名詞とがどんな格助詞を介して文中に共存できるかを記述した文法です。

太郎 が 行く

→ 「行く」という動詞は「が」という助詞を介して「太郎」という名詞と1文中に共存する

 

格文法

 動詞がどのような格を必要とするか、またどのような格が禁止されるかを記述した文法です。格としては主格、場所格、目的格、時格などがあります。

 例えば 太郎が 学校へ 遊びに 行く

     主格  場所格 目的格