ラリア報告2000 Vol.5

そしてブラジルの日だ。
朝から荷物の整理して地球の歩き方に掲載されていたブリスベーンで一番古いレストラン@またもサンドイッチ(苦笑)に行って昼から近場の公園で過ごし、来るべき決戦に備えて鋭気を養ったサッカーファシスト兄弟は、集合場所であるホテルロビーに舞い戻ったのが3時過ぎ。
現地の新聞にはトルシエの談話が載っている。
「失うモノは何もない。ブラジルにはプレッシャーがあるし、勝利の可能性は両チームに等しく存在する」とかなんとか言っていたと書いてあるが、日本のメディア情報に依ると「失うモノは何もない。グラウンドの上で死ぬ気でやるだけだ」なんてサムライチックなことを喋っていたことになっている(苦笑)。
ブラジルの試合は一試合も見ていないのだけど、どうもブラジルってのはアフリカ系に弱いようだ。ごり押しとか放り込みに弱いのかも知れない。そういやどっか東洋のサッカー後進国にオリンピックで放り込みされてキーパーと完全に連携をミスって決められていたのは4年前(笑)。中盤を経由して来る攻めには対応できても、あの手のパワープレイにゃ弱いのかも知れないなあ。
ただそこを日本が突けるかというとそれも微妙だ。日本のフォワード先発予想は柳沢と高原で、空中戦に強いとは言えないし、といって調子が上がらないように見える柳沢に替えて平瀬というのも少しギャンブルかも知れないし。ツアー同行中の平瀬パパ&ママにゃ悪いけどね(笑)。(余談だが平瀬パパはけっこうイケてるおじさんで、アメリカとカメルーンの試合を見たあとブラジル戦を戦って予選通過なったとき、相手がアメリカと知ると「アメリカは17番が良かったよなあ。日本の17番のが良いけど」とおっしゃった。それにあちきが「日本の9番(平瀬)はもっと良いのじゃないですか?」と返したら、「いやあ(照)、日本の9番はまだまだじゃねー」なんてすかさず応じてくれた。イケてるよね(笑))
組立の精度とかスピードはブラジルが上だろうし、そうなると中田不在の日本ではちょっと苦しいって気もする。
それに森岡不在のディフェンスでは宮本か松田か?どっちのがブラジルに合っているのか?
宮本はラインコントロールに秀でて頭がイイけど1対1にゃちと物足りないし、松田は1対1は強いけど1試合に1回はポカがあって、それがレッドになったりするからちと危険(笑)。てなことを悩みつつ(笑)、ブラジル戦の舞台へ赴くファシストなのであった。(スタジアムでオーストラリア風こんにちわ(Good Day!)

試合開始前の練習のとき、グラウンドにブラジルはついに姿を現さなかった。これはかれらの緊張なのか、プレッシャーをかける戦略なのか?武蔵対小次郎?(国歌斉唱のときの両チーム

ブラジル戦の日本のスタメン)試合が始まるとブラジルが緊張している以上に日本の、特に中村俊輔の緊張が目立つような気がする。スロバキア戦ではもっと奔放にプレイしていたし、守備でも危ないところをたくさん救う獅子奮迅だった中村が緊張していると日本の攻撃はどうしても手詰まりになってしまう。中田も居ないし。
逆にブラジルは慎重に戦いながらもきちっとフラット3の弱点は突いてくる。いかにもいやらしいナナメのロングクロスやラインの上げ下げの隙を狙ったドリブルやワンツーなど、技術精度とスピードは流石としか言い様が無い。
でも、思ったほどどうしようもない強さは感じられない。
強いて言えば94年ワールドカップバージョンの守備型ブラジルからロマーリオを引いたような感じ?
ツートップも言われるほど凄さを感じないものの、むしろ中盤のプレイヤーの判断の速さと巧さによってビッグ
チャンスを作っている感じだ。
でも、そういう時のブラジルは逆に手堅く勝つことには長けているもんだよなあ。
そういう手堅いチームが、これこそほんとうのマリーシアといった感じで、日本のあるかないかわからないよう
な心理的な隙を突いてセットプレイでトリック気味な動きから先制点。日本のミス、といっても良いと思うけど、そこを突くところは流石っちゃ流石。
この一点、日本にはかなり重い。
日本は中村がボールを持つと回りが停滞し、なかなかチャンスを作れない。やはり世界レベルのチームと戦うには速攻できないとマズいしなあ。速攻に出ようとするときに相手の上手さに必要以上に敏感になってしまい、前にボールを出せない感じがある。有り体に言えばビビリ入ってるってことか。このチームのサッカーはとりあえずトップにボールを当てることが必要なのに、そこからすでに読みベースのプレッシャーの幻影を感じてしまってチャレンジできないようだ。そうなるとどんどん相手のサイクルにハマるから厳しいのだけど。
こういうときには中田や中村のような攻めの中心が自分のチームに流れを引き寄せるプレイで活を入れないといかんのだけど。まだ中村にそこまで望むのは酷か?
ここでファシストは中田の不在と、そして小野の不在の大きさを感じてしまうのであった(かっくいー(苦笑))。なぜなら中村のリズムで構築される攻撃(明確なパターンが未だ形成されていないからどうしても個人のリズムに依存してしまうんだよなあ)と違うリズムを作れるのって中田か小野しか居ないって思うんだよね。

後半、ちょっと日本はやり方を変えてきた。
ブラジルのサイドバックはまるで3バックのように上がりっぱなしのことが多いので、サイドを突け、という指令が出たのか、サイドへ展開するようになって流れを少しずつ作ることができるようになる。
そして稲本が調子が上がらない中村に代わって獅子奮迅。バックラインも徐々にブラジルに慣れてきたのか、そしてブラジルが慎重になり前に思い切って出てこないからか、安定してくる。
それでも日本にはミスが多い
ブラジルはこのスタジアムで3戦目(かなり有利なんだよなあこういうのがあると)なので、グラウンドに慣れている感じもあるのに対し、日本は凡ミスに見えるパスミスとかが多い。原因には精度の問題ももちろんあるし、ブラジルのプレッシャーが強いということもあるのだけど、グラウンド問題もあると思う。
ちょっと膠着した感じで試合は展開するが前半よりも日本のチャンスは多くなり、場内はかなり盛り上がってくる。入場者36608人のうち1万数千から2万弱は日本人が居たようだし。でも応援慣れしてない人も多く、声援はそろわず散発的になりがちなのが惜しい。声を合わせられるとブラジルにゃプレッシャーになるのに。
そんなときスロバキアリードの報が場内を駆けめぐって、日本サポはちょっと安心(笑)。っていうか気抜けした(笑)。まあこれも予選だけどね。
サミアが喜んで控え室から出てくる前に、スロバキア2−0南アフリカという報が電光のように場内に伝わって歓声。そんな雰囲気の中で日本は果敢に攻めにでるが、中盤からスピードを上げようとするときにブラジルのうまい引っかけにスローダウンさせられてなかなか攻めきれない。
トルシエはサミアからの知らせに控え選手たちと喜んで拍手(試合中なんだけど(苦笑))して、そして試合は終わった。試合後インタビューされてるトルシエ。そして試合場をあとにする

稲本が「もう一回やったら勝てる」と言ったようだけど、そんな甘いものではない、と思う。
でも、逆にその言葉は真実だとも思う。
ブラジルがこんなに日本を警戒してくるなんてのは、ただもう光栄としか言い様が無いけど、でもあちきのイメージのブラジルはとにかく調子に乗ったら手が着けられないほど破壊的で、そのかわり代々センターとキーパーが弱くて終わってみると4−3とかってチームなのだけど、おそらく90年代からは様変わりして守備でも上手さを発揮するようになってきた。
その代わり、ブラジルの持つ破壊力はなかなか出てこなくなってきているような気がする。
スペインリーグでその破壊力を出しているリバウドもブラジル代表じゃおとなしいし。
このブラジルは着実に勝っていくことはできるチームだけど、比べるのもおこがましーけど日本と同じくアフリカに弱くて、決定力にも不安がある。もちろん技術精度や判断の速さはまだブラジルが上だけど、でもこのブラジルになら戦えると思う。
決勝とかで再会?ってスポーツ新聞にゃ書いてあるけど、その前には決定力は無いものの良いサッカーしてるアメリカやイタリアスペインといった強豪が控えていることを忘れちゃなんめー。
でも楽しみだなあ。といいつつブラジル戦の直後にオーストラリアを後にしたのであった。(ブリスベーン国際空港

(結局日本はアメリカと分け、PKでその先に進めなかった。まだまだ長い大会を戦い抜くメンタリティも体力も無いっていうところかなあ。)

終わり

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