2639.日本の基盤・東南アジア史



日本と米国の国益が微妙にすれ違い始めている。日本の味方は東南
アジアしかいない。そこで東南アジア史を知る必要がある。Fより

日米の首脳会談を見ていると、日本と米国の国益が微妙にすれ違い
を起こし始めているように感じた。先の戦争を正当化しようとする
日本の歴史見直しの障害は中国、韓国だけではなくて、米国も同様
であることが痛いほど分かったと思う。このコラムで日本の動きを
非常に心配していたが本当のことになってしまった。

そして、次の訪問地として日本の安倍首相は石油の安定供給のため
に中東5ケ国に行く。中東の石油でも欧米のメジャーから自国石油
利権に目覚めた産油国が主導権を握っている。ここで現地での交渉
が上手くいくと、それはメジャーを蔑ろにしたことになり、米国の
国益と離反した動きとなる。というように日米の国益は微妙にすれ
違い始めているのである。それだけ平時の外交になったということ
である。

日本と国益が一致しそうな国は東南アジア諸国しかない。日本企業
が工場を海外移転したが、どこで生産した製品が日本企業を潤して
いるかというと、東南アジア(タイ、ベトナム、マレーシア)など
に進出した工場だ。

中国や韓国と違って、日本への憎しみも少ない。中国人のように、
直ぐ真似してコピー商品を作るような無作法なことはしない。どち
らかと言うと、日本人と同じように従順で忍耐強い。この人たちと
一緒に仕事をして、お互いに利益を共通した方が精神的にもいい関
係でいられる。

日本企業が中国に進出したが、この目的は中国市場を開拓するため
になっている。中国工場で作り世界に輸出するモデルは今後無くな
ると見る。それだけ中国人は扱いにくいし、技術を習得したと思う
と直ぐに止める。

このために、東南アジアの歴史を知る必要がある。中国史は日本の
中学から教えているために、普通の日本人であれば、ある程度知っ
ているが、東南アジア史は学校で習わないので知らない。

東南アジアは、12世紀に今のハノイにベトナム族の中国人的な李
朝ダイベト(大越)と今のダナンにチャム人で大乗仏教のチャンパ
王国、今のカンボジアにクメール族のヒンズー教、大乗仏教のアン
コール王国があり、今のタイ・ビルマにはビルマ族の上座仏教のバ
カン王国があった。そして、まだタイ族は今の昆明あたりで大理王
国を作っていた。

ベトナム族は揚子江中流域に住んでいた民族が、北方から来る民族
に押しやられて、今のハノイに来た米作農耕民族であるし、タイ族
も揚子江域で米作農耕民族であるが山に逃げ込んだ状態になってい
た。

インドネシアにはインド大乗仏教拠点のナーランダーと関係があっ
たスマトラ島のシュリビジャヤ朝、ジャワ島にクディリ朝があった。
インド大乗仏教はチベットだけでなく、インドネシアに一時、逃げ
込んだのである。このインドネシアからチャンパ王国などインドシ
ナ諸国に大乗仏教は伝来するので、重要な役割を果たした。インド
シナの中心的な国家がチャム人のチャンパである。香木はここの産
でありこれにより、莫大な利益を得ていた。チャンパとインドネシ
アの王国は東西貿易で富を得た。

13世紀にはモンゴル帝国がダイベト(大越)に襲い掛かるが、ア
ンコール、チャンパ、ダイベトの連合軍で、これを防いだ。この時
からベトナム民族は中国との戦いを続けているが、後に属国になる。
中継貿易で利益を得るチャンパ王国を潰す。大理王国も1257年
にモンゴル帝国に併合される。タイ族の南下が始まる。1283年
パガン王国が支配下に入る。1270年代後半にチェンマイにスコ
ータイ王国が出来て、タイ文字を作り、ここにタイ族の大理から今
のタイにその拠点を移した。タイは上座仏教を今のスリランカから
入れている。そして、南下してアユタヤ王朝になる。今のラオスに
いるラオ族もタイ族の一派である。

13世紀末イスラム教がインドネシアに入る。マレー族のサムドラ
・パサイ王国である。そして、14世紀末にイスラム教のマラッカ
王国がマレー半島にでき、マレー族の国家である。このマラッカ王
国が繁栄する。

15世紀からポルトガル人がマラッカを占領して、国際貿易拠点と
する。これ以後は欧米人に東南アジアは植民地にされていくことに
なる。タイ(チャクリ朝)だけは緩衝地域として、独立を許された。

ここで分かるのは、東南アジアが大乗仏教の中心であったことで、
インド大乗仏教の後継地であった事実である。このため、ボロブド
ールやアンコールワットなどの大寺院ができたのだ。日本にも大乗
仏教としてインドネシア経由で大きな影響を与えている。今はイス
ラム教地域であるインドネシアが重要なキーを握っている可能性が
ある。またアンコール王国、チャンパ王国のベトナムなどを詳しく
知る必要がありそうだ。

今後、この東南アジア史を研究する価値がある。
どうですか、日本人が知らない東南アジア史について、少し分かっ
ていただいたでしょうか??この研究は継続する予定です。現地の
調査もしようと思いますのでお楽しみに??


コラム目次に戻る
トップページに戻る