『ローハイド』はテレビ西部劇の最高傑作

 「〜ローレン、ローレン、ローレン……、ピシッ! ピシッ!……ローハイド!」
 フランキー・レーンのダイナミックな歌声とムチの音。ディミトリー・ティオムキン作曲
(作詞はネッド・ワシントン)の主題歌は、ポピュラー音楽としても大ヒットした。
 日本では伊藤元道とリリオ・リズム・エアーズがスリッパをひっぱたきながら歌って
いたものだ。
 荒野の中を牛の大群を追うカウボーイ。『ローハイド』は、タイトルからワクワクさせ
る西部劇だったね。

 南北戦争後の1870年代のアメリカ西部を舞台に、テキサスのサンアントニオから
ミズーリのセダリアまで3千頭の牛を運ぶロングドライブ(キャトルドライブ)の物語。
 南北戦争により、供給源だった北部の牛が大量に消費されたため、東部での食肉
価格は異状なほど高騰していた。ところがテキサスでは、テキサス・ロングホーンと
いう牛が500万頭おり、東部では50ドルする牛がここでは3〜4ドルでしかなかった。
そこで牧牛業者は、東部への運送拠点である鉄道のターミナル駅まで牛を運ぶこと
にした。最寄りの駅といっても、テキサスからは1千キロ以上の道のりである。途中
で牛に草を食べさせ、太らせながらの旅だから、3〜4ヶ月かかるのが普通だった。
 牛を狙うインディアンや強盗と戦い、日照りや雷雨・砂嵐といった自然とも戦い、仲
間同士のトラブルも克服しながら旅を続ける。埃に汚れた衣服にカウボーイたちの
生活の匂いと汗がにじみ出ていました。
 他の西部劇にない『ローハイド』の魅力は、牛の大群が画面いっぱいに咆哮する
迫力ある映像(当時は西部劇の名作『赤い河』のフィルムが使われているのではな
いかと噂された)もさることながら、カウボーイ生活をリアルに描いたことにあったと
考えています。

 主演はエリック・フレミング。3千頭の牛と荒くれカウボーイを率いるトレール・ボス
のギル・フェーバーが彼の役柄だった。がっしりした顎、キリッと結ばれた唇は意志
の強さと強い決断力をあらわしている。濃い眉毛の下の鋭い眼は、信念のかたまり
だ。仕事に対しては厳しいけれど、常に部下のことを考えている。リーダーとしての
風格があふれる中年男の魅力がいっぱいだったね。
 フェイバーの人柄に魅かれ、彼をしたう副リーダーがロディ・イエーツ。今では大ス
ターのクリント・イーストウッドが演じていた。若さゆえに純真で、女性に惚れっぽく、
その度にトラブルを起こす。
 エリック・フレミングが1928年生まれで、イーストウッドが1930年生まれだから
2才しか離れていないのだが、10歳以上も年齢に開きがあったような感じがしまし
たよ。 

 フェーバー隊長、ロディ副隊長に従うメンバーとして、コックのウィッシュボーン(ポー
ル・ブラインガー)とトレール・スカウト(偵察員)のピート・ノーラン(シェブ・ウーリ−)も
忘れられない存在だ。
 ウィッシュボーンの料理はお世辞にも美味そうにはみえなかったが、一度は食べて
みたい気がしましたね。ポール・ブラインガーは禿あがった頭で、年寄りのイメージが
強かったけど、当時の実年齢は42歳だったんですよ。
 乗馬が颯爽としていたピート・ノーランのシェブ・ウーリ−は、『真昼の決闘』で悪役
の一人として出演したりしているけど、本業はカントリー歌手です。私、彼のレコード
を持ってるんですよ。
 BS2でも放映されたし、スーパーチャンネルでも放映中(2000年9月末現在)で、
いつまでも古びない作品ですね。

エリック・フレミング

クリント・イーストウッド

     左:シェブ・ウーリー
     中:エリック・フレミング
     右:ポール・ブラインガー

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