ボードワ・ル・モ・ノ

グラフィックジャパンからのバインダー式のボードゲーム。このバインダー形式のゲームデザインについては以前に書いたので省略。
ワ・ル・モ・ノは、ブラフゲームである。ブラフゲームとは、手の内を明かさず自分の利益を得ようとする。最後には手を明かすが、それまでの駆け引きを楽しむゲームである。もっともトランプなどは手札をもって行うので、すべてがブラフゲームであると言えそうである。しかし、目的が例えば手札を早くなくす(ページワン)とかとか自分でコールしたトリッキングをめざす(ブリッジ)をするなどとは違う。ブラフゲームは、いかに相手をだまして自分に有意な展開にしていくかというのが主眼になる。そういう意味で、ポーカー、あるいは「ババ抜き」もブラフゲームの一種であると言える。ババ抜きは、以下に自分がババを持っていないかのように振るまい、相手がとる位置などを予想しながら手札を配置したりするからだ。
若干、トランプで長く書いてしまったが、ワ・ル・モ・ノはまさにだましだまされ、最後は現金入りのアタッシュケースをもって国外逃亡をするマフィアを演じる渋いゲームである。ババ抜きはできるだけババをとらないように、持っていてもポーカーフェイスで相手がとってくれる機会を待つ。ワ・ル・モ・ノは、自分が現金を持っていることを隠す。または、持っていないかのように振る舞う。同業者同士の抗争、中には潜入内偵刑事がいるかもしれしれない。勝つにはいくつもの障害を乗り越えないといけない。

ゲームの流れは、
中身カード
1.まず、アタッシュケースと中身のカードをもらう。中身は偽金と現金の2種類。配られた段階では見ることは出来ない。
職業カード
2.次に職業カードをもらう。これは配られた段階で見ることが出来る。しかし、相手にその職業を教えてはいけない。職業はマフィアと内偵刑事の2種類。刑事は一つしかない。マフィアは現金入りのケースをもって国外逃亡するのが目的。内偵刑事の目的は、現金を持ったマフィアを現行犯逮捕することである。
チケットチケット指令書指令書
3.流れは指令書を受け取りにいく→その場所に行き空港券か乗船券をもらう→国外逃亡である。国外逃亡するには、一回強制的に止まるマスがあり、そこで券を支払った後にでることが許される。
4.ボード上のマスの移動はサイコロを振って行う。サイコロの数以上は進めないが、それ以内であれば任意で動かすことができる。
5.アタッシュケースのすり替えが行える。(カードの交換)すり替えは、相手のコマを追い越すか接した段階で行う。もちろん、中身を見ないように交換する。すり替え直後の中身の確認は出来ない。
6.中身の確認をするには、移動せずその場でこっそりできる。中身を見た後は移動できない(一回休み)。
7.この他、ピストルを購入して相手を殺して、指令書と空港券などを強奪して相手を病院送りに出来たり(そのかわりピストルは、相手にわたり報復の対象になる)、たれ込みやのマスに止まり、一人のアタッシュケースの中身を見たり出来るイベントがある。

ボード2
ボード上のマスは程良い数で指令をもらう場所からチケットをもらうところ、国外逃亡するところまで行ったり来たりする。また、時々中身をチェックしないといけないため、立ち止まることが多くなる。つまり中身を交換しやすい構造になっている。
すり替えでもフェイクで、すり替えたかのように見せかけて実はすり替えない場合もある。カードの交換で相手に見えないように後ろで混ぜてから返したりと工夫をする。例えば、自分が現金を持っているのにわざと交換を迫ったり(交換するふりをする)、あえて現金を握らせて、ピストルで殺して身ぐるみをはがすとか。
内偵刑事は、自分が現金を持っている場合あえて他のプレイヤーに現金を握らせてその直後に現行犯逮捕することができる。そのため、相手に交換を迫らせられたのに、なぜか現金が手には入った場合、相手が刑事だったかもしれないと、勘ぐることもでてくる。そのため、他のマフィアに現金を押しつけたりする。もしくはマフィア同士で交換したふりをして刑事の人を惑わせたりする。
しかし、内偵刑事がいない場合も起こりうる。わざと現金を握らせ、泳がせながら自分は指令書などの仕事をこなしてからゆっくりと取り返そうとすることもありえる。しかし、その時には、交換に交換を重ねて誰がいったい持っているのか分からなくなっている。暗中模索、疑心暗鬼がうずまく。

プレイオンノート
4人まで出来るゲームであるが、今回は3人で行う。4回ほど行うが、内偵刑事は3回中1回出た。内偵刑事は、役割が強力なので、現金を交換した後すぐに逮捕するのではなく、一回泳がした後に再び接したときに逮捕するルールに変更する。それでも泳いでいる最中にアタッシュケースを交換するアクションが起こりにくいために簡単に逮捕することができる。
中身の確認はいい味を出している。その場に止まらないといけないために出来るだけ相手のコマがいないところで確認しようとする。しかし、自分が確認するときは、たいてい他のプレイヤーも確認するので、待ち伏せをくらったりする。中身を確認した後たいがい無口になってしまう。
国外逃亡のルートは2種類。券はオープンなので、どのプレイヤーがどこから逃げることができるのか分かるため、自分が現金を持っている場合、わざと違うルートのあたりでぶらぶらしたりブラフをかますことで逃げる機会をうかがったりする。
ルールはすぐに覚えることができるので、あとはどのように振る舞うのかということに集中できる。また、勝ち方もシンプルで、いかに自分のスタイルで出し抜くかということに集中できる。しかも、交換するふりや交換のしやすさからケースの中身がめまぐるしく変わり、記憶力も当てに出来ない。プレイバランスもすばらしいゲームである。
(2005.6.12)

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