フルフェナジン fluphenazine フェノチアジン系精神神経用剤 1172

【組成】
[散]:マレイン酸エステル をフルフェナジンとして0.2%
[錠]:1錠中マレ イン酸エステルをフルフェナジンとし て0.25 mg,0.5 mg,1 mg
[注]油性:1バイアル(1 ml)中エナント酸エステル又はデカン酸エステル25 mg
エナント酸フルフェナジンfluphenazine enantate(JAN)は淡黄色〜帯黄色の粘fな液で,通例,透明であるが,しばしば結晶を生じて不透明となり,わずかに特異なにおいがある。メタノ−ル,氷酢酸,エタノ−ル,エ−テル又はクロロホルムに溶けやすく,水にほ とんど溶けない。光によって徐々に赤色を帯びる デカン酸フルフェナジンfluphenazine decanoate(JAN)は淡黄色〜褐黄色の粘fな液又はろう状の塊,粉末,若し くはそれらの混ざり合ったものでわずかにエステルようのにおいがあるメタノ− ル,無水エタノ−ル又はエ−テルに極めて溶けやすく,氷酢酸に溶けやすく,水に ほとんど溶けない マレイン酸フルフェナジンfluphenazine maleate(JAN)は白色 〜微黄色の結晶性の粉末で,においはない。氷酢酸にやや溶けやすく,メタノ−ル又はエタノ−ルにやや溶けにくく,水に溶けにくく,エ−テルにほとんど溶けない。 融点:約157°(分解)

【適応】
[内]:精神分裂病,神経症における不安・緊張 [注]:精神分裂病

【用法】
[内]:フルフェナジンとして神経症には1日0.25〜2 mg,精神分裂病には1日1 〜10 mg,分服(増減)
[注]:(エナント酸エステル)1回12.5〜25 mgを10〜20日間隔で筋注又は皮下注。薬量及び注射間隔は病状又は本剤による随伴症状の程度 に応じて適宜増減並びに間隔の伸縮を調節する。(デカン酸エステル)1回12.5〜75 mgを4週間隔で筋注。薬量及び注射間隔は病状又は本剤による随伴症状の程度 に応じて適宜増減並びに間隔を調節する。初回用量は可能な限り少量から始め,50 mgを超えない

【注意】
(1)一般的注意
(a)(デカン酸エステル)抗精神病薬の長期投与が必要な慢性精神病患者に使用するものである。本剤を用いる場合は,過去の治療で抗精神病薬の投 与により症状が安定した患者に投与することが望ましい
(b)(デカン酸エステル)投与に当たっては,持効性製剤であることを考慮して,初回用量は患者の既往歴, 病状,過去の抗精神病薬への反応に基づいて決める。なお,複数の抗精神病薬を使 用している場合は,可能な限り整理した後,できるだけ低用量から始め,必要に応 じ漸増することが望ましい。投与初期に用量の不足による精神症状の再発の可能 性も考えられるが,その場合には原則として,本剤以外の抗精神病薬の追加が望ま しい。また,次回投与時にはその間の十分な臨床観察を参考に用量調節を行う必 要がある
(c)(デカン酸エステル)本剤による副作用の種類はフルフェナジン製剤 のそれと同様のものであるが,持効性製剤であり,直ちに薬物を体外に排除する方 法がないため,副作用の予防,副作用発現時の処置,過量投与等について十分留意 する必要がある()本剤投与においても,他のフルフェナジン製剤と同様,Syndrome malin(悪性症候群)や重篤な錐体外路症状に対しては抗パ−キンソン剤等による 対症療法を速やかに行う(副作用の項参照)()誤用等による過量投与により呼吸抑 制,血圧低下,過度の鎮静等が生じた場合には,気道の確保,人工呼吸,輸液・血製 剤・アルブミン製剤・ノルエピネフリン等の昇圧剤(エピネフリンは禁忌)等によ る血圧の確保等の処置を行う
(2)禁忌
(a)(デカン酸エステル)昏睡状態の患者又はバルビツ−ル酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者。(その他)昏睡状態,循環虚脱状態の 患者又はバルビツ−ル酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある 患者
(b)(デカン酸エステル)重症の心不全患者
(c)(デカン酸エステル)パ−キンソン病のある患者

【作用】
(1)薬効薬理
(a)加水分解後,フルフェナジンとして薬理作用。作用機序は完全に解明していないが,中枢神経におけるドパミン作動性,ノルエピネフリン作動性神 経等に対する抑制作用によると考えられる
(b)(デカン酸エステル)マウス及びラットでは筋注で弁別回避反応に対する持続的抑制作用,メタンフェタミン誘発運 動興奮に対する抑制作用及びアポモルヒネ誘発常同行動に対する持続的抑制作用
(3)臨床適用(注射)
(a)臨床効果(精神分裂病に対する有効率):(エナント酸エステル)57.3%(401/700)。約60%が1回12.5〜25 mg,2週間おき投与。(デカ ン酸エステル)28.4%(107/377)[軽度改善以上59.7%(225/377)]。約70%が1回25〜5 0 mg,4週間隔
(b)副作用及び臨床検査値の変動:(エナント酸エステル)副作用は5 1.2%(411/802)に,錐体外路症状47.6%(382件),不眠等精神症状16%(128例),倦怠感 10.1%(81例)等。臨床検査値の変動は,GOT,GPTの上昇,ウロビリノ−ゲン陽性等肝 機能異常5例。(デカン酸エステル)41.4%(161/389)に錐体外路症状36.5%(142件), 不眠8.2%(32件),便秘6.7%(26件),倦怠感6.4%(25件)等。臨床検査値の変動では,G OT,GPT,Al-P,γ-GTPの上昇等の肝機能検査値異常等。プロラクチンの上昇が認め られた

【製品・薬価】
アナテナジンデポ− 昭和薬化 25mg1瓶 974
フルデカシン注25mg 吉富 25mg1ml1瓶 2,107
フルメジン糖衣錠(1) 吉富 1mg1錠 9.90

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