2012.8
新人口推計と社会福祉のゆくえ
鼎談
- ・2010年時点で1億2800万人をピークに、2048年には1億人を割り、2060年には8600万人になると予測。50年に人口が1/3になる。その減少のスピードは2041年に100万人ペースとなる。
- ・高齢人口は激増し、2014年には生産人口の倍以上になる。高齢人口が年少人口を超えたのが1997年だったことを考えるといかに短期間に変化したか。ちなみに高齢化率は2060年には約40%、人口の中位数年齢は2010年は45歳だが、2060年には57歳。国民の半分がその年ということで、いかに高齢化が進むか‥
- 出生率の著しい低下が人口減に拍車を掛けている。諸外国に比べて20年遅れでようやく「子供・子育て新システム」の議論が始まっており、特に大きな対策が取られていないのが日本の現状である。
- 労働力の人口は減っていくことに変わりはないが、高齢者や子育てで無業状態の女性をいかに活用するかでその減少幅を狭くすることが可能である。とはいえ、高齢者の再雇用なども含めて働き方が変わっていく必要がある。育児・介護休業の推進など。また雇用の二極化、非正規雇用の拡大と正規雇用の格差など若い人を中心とした労働の流動化なども懸案事項である。
- 地方の高齢化と人口の流出は止まっていない。都市部への流出は止まっているように見えるが、それは若者の数が少なくなっているからで実際は止まっていない。
- 世帯数が増えているように見えているが、高齢者の単身世帯が増えているためである。今後は孤立死が当たり前になりニュースにもならない時代がやってくる。また人口密度が下がることで高齢者が散在することで移動や介護のコストが上がる。また生活保護の受給者が増えていること。今後は高齢化によって総数の増加や年金水準の低下などで増える要因はまだまだある。
- 2025年の団塊世代の65歳以上の母集団の出現は年金支給や社会保障の問題が顕現する。制度設計の見直しをしていく必要がある。介護の分野を社会保険内のフレームに治めるのか。産業化して完全に市場サービスにするのか。社会保険のフレームだけでは恐らく無理で、かといってフレームを外してしまうと低所得者に不利益になってしまう。
少子化対策を考える(柏女霊峰)
少子化の原因は、晩婚化1955年から5歳程上昇。結婚に拘らない風潮。住宅環境や経済的な要因での出生数の減少が上げられる。その中でも子育ての負担感が大きく影響しているとの論点。
少子化対策はこれまで取られていなかったわけではなかったが、結局年金、医療、介護を支えるための橋桁としか捉えてこなかったことが若い人の共感を得られなかった。また社会保障を支える橋桁でしかなかったため税を中心とした政策であったことも規模を小さくしてしまった。
子供子育て支援新システムでも、労働政策は置き去りにされ、教育と福祉の統合に焦点化され社会保険と税の統合は咲く送りされ中途半端になってしまった。
人口構造の激変と「医療」「介護」のゆくえ(宮武剛)
75歳以上の要介護認定の率も人口も急増している。
医療保険も介護保険も市町村を保険者として地域保険である。しかし、高齢化や人口減少により、例えばインフルエンザが流行るだけでたちまち赤字に陥る。そして小規模保険者は将来的に更に増えていく。広域化や再編などで財源を確保していくことは先進国から学ぶ必要がある。
病院でなくなる率が現在は約80%であるが、年間の総志望者数は120万人からピーク時には167万人であり病院頼みでは晩年の居場所は確保できない。医療のスリム化と介護の拡充を進めていき、長期入院の解消と退院後の居場所の確保が求められる。
過疎化と地域福祉の将来像(原俊彦)
現在過疎地域の居住者は日本の総人口の8%にすぎないが、全国市町村の44%に当たり、面積は57%と国土の半分を超える広がりを示している。また都市型過疎など大都市圏にも広がっている。
大都市圏での自治体でも第一次ベビーブーム時代の人達が集中して住んでいるため、その人達が滞留したまま高齢化率を押し上げていくし、既に過疎化している自治体も人口流出のために高齢者率が増え続けることになる。勿論、税収も減るので地域福祉の基盤となる財政状況は悪化の一途を辿る。
少子化高齢社会における働き方(武石恵美子)
省略
人口減少社会の課題とこれからの社会保障政策(加藤久和)
省略
2014.11.23